表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第2章】眠れる妖精郷 篇
49/58

第44話 フィリア神殿遺跡開幕戦


突然に起きた岩床の崩落。

巻き込まれたのはマモルと、その後を追ったアガリオ。


「…ったくあの馬鹿が!!」


「どうしますか?団長」


「…2人を追ってここを降りるのは賢明ではないな」


「同感です。高さもかなりあるようですし、優先すべきは本来の目的かと。それに、」


そう言ってツートが階段を指差す。


「遺跡の構造を考慮しても、下へと向かうようにできているみたいです」


「アガリオは自分から飛び込んでったんだ。それでくたばるくらいなら俺様がもう一度殺してやるよ」


「なんで二回殺すんだよ」


隊列は現在の状況以上の被害を防ぐ判断をとる。

選択を誤り、時間と人員をさけば作戦が失敗に終わりかねない。

マモルと、とくにアガリオが落石による最悪の被害を避けた可能性を信じ、場合によっては切り捨てることも覚悟した判断。

それが現場での正しい選択といえた。


「ならば我々は下に向かいましょう」





そのときだった。



「団長っ!!!上ですっ!!!」



言われてすぐにフルングニルが鞘から剣を抜きかけた。



ガギィィンンッ!!!



隊列のいる開けた空間に響く金属同士の衝突音。


上からの襲撃。


「…ったく、足止めばっかうぜぇんだよ」


剣を受けたのは狙わられたフルングニルではなく大剣を構えたロッソであった。


襲撃者は片手で扱えるほどの刀身の剣で頭上から頭蓋を叩き斬ろうと向かって来ていた。


「やるじゃないか。おまえ」


「…この男、アシッド = ウーバ。…団長!」


ツートが叫ぶ。


「ああ、間違いなく“ 白竜 ”が絡んでるな」


フルングニルが抜きかけた剣を再び構えようとする。


しかし、


「団長たちは先に行ってくれや」


「ロッソ?」


「さっきからずっとムカついてんだ、俺様に斬らせろ」


「…ったく、しょうがねえな」


カイが声を上げた。


「ここはロッソに任せて、全員、下に降りるぞ」


フルングニルが剣を鞘に納める。


「…ロッソ」


「任せてくださいよ団長」


「わかった。頼んだぞ」



全員が階段を降り、残ったのはロッソとアシッドという男の2人。



互いに身構える。どちらかが動けばすぐさま戦闘が始まる。


「外れ引いた感じかあ俺…」


心底残念そうにアシッドは言った。



「…ああ?」


「べつにいいけどな。俺はただの時間稼ぎだし」


「何がいいてえのか分からねえけど要するにてめえは俺が相手じゃ役不足だって言いてえわけだな」


「ん、ああ、役不足だろうね。王国騎士団ごときに俺らが遅れなんてとるわけないしな

ましてや団長が負けるはずがない

……まあ、カイ = ミリサルバ と フルングニル = クルオゼフだけは別だけど」


「団長とカイさん以外になら勝てるってか?」


「当然」


「卑しく低俗な殺戮ギルド連中が随分と調子に乗ってやがるな」


「王国騎士団とか、そういう肩書きだけの面子じゃないんでね。俺たちは」



「上等だ。殺してやる」


ロッソは自身の背中から大剣を引き抜く。


「へえ」


「俺は王国騎士団5番隊隊長。ロッソ = ダムドだ」


「俺はアシッド。アシッド = ウーバ。お仲間は知ってたみたいだけど」


「てめえは死ぬんだ。知らなくたっていい話だな」


「俺も、君が善戦したら覚えておいてあげるよ。殺した相手の名前、すぐ忘れちゃうから」




空気の流れが止まる。

そして動き出す。



ガギィィィンッッッ!!!



ロッソが引き抜いた大剣を凄まじい速さで振るう。

そしてその攻撃をアシッドが剣身の細い4本の剣で受け止める。



拮抗。


衝撃が散り、2人とも力に跳ね返されながら体勢を整え第二の攻撃へと移る。


ロッソは弾かれた大剣を、その勢いを利用し身体ごと捻りそのまま再度振るう。

アシッドは片方に2本ずつ両手に計4本の細長い剣を今度は 受け ではなく斬り裂くため間合いを詰め懐へと迫る。



少しだけアシッドの方が速い。




振るわれた大剣よりも先にアシッドの剣先がロッソの腹に到達、


するかと思われたが宙を走る光の線がその剣を弾きロッソの腹部を護った。


すぐさまアシッドは距離をとる。

振るわれた大剣は、攻撃が弾かれそのまま間合いの外へ逃げるアシッドに届かない。

アシッドはかなり後方まで一気に跳んだ。


間合いはかなり離れたが、着地するまでの時間。それがアシッドの隙となる。


ロッソは大剣をアシッドに向けて放つように投げる。

瞬時にそれをやってのける判断とパワーは言うまでもなくえげつないものだった。

未だ宙にいるアシッドには避ける手段が無い。


アシッドは片手を地面に向けて伸ばし、細長い剣身は突き立てられる。

そのまま身体を剣に寄せ落下よりも速い速度で地面に到達、着陸したアシッドは間一髪のところで大剣を避けた。

大剣はそのまま遺跡の壁へと深く突き刺さる。

壁を破壊しかねない威力。

当たっていれば致命傷は免れなかった。


「ふぅ、あぶない」


流石に少し焦ったアシッド。ロッソはほぼ必中するはずだった渾身の一撃を躱され驚きはしたもののすぐに受け入れ次の攻撃へ。

アシッドに向かって突っ走り間合いを詰める。

剣を拾い立ち上がろうとするアシッドだが、先程のロッソへの当たったかのように思えた攻撃を弾いて防いだ光が今度は拾おうとする剣を弾き、2本だけ掴みって立ち上がる。

大剣を放り武器を持たないロッソはそのまま突っ込む。アシッドの手に一本ずつ握られた剣を、一方の剣は腕をつかんで止め、もう一方の剣には棒状になった光を握り剣のように扱って止める。



再度の拮抗。



ジリジリと力を削り合う。



















「お前たちは、ここで死ぬんだ」



マモルとアガリオはその声に聞き覚えがあった。


「…ヘルガ」


アガリオが呟いた。


「お前たちは、俺が殺す。そんですぐに全滅させる」


ヘルガは指を指し、はっきりと敵意を示した。


「特にてめぇだ。リクドウ マモル」


「…」


「裏切ったてめえは一番ムカつく。だから一番に殺してやる」


ヘルガはそう言って剣を向ける。



“八頭蛇は廻り裂く(ヤマタノブレイド)” が来る。



「やるしかないみたいだ」


アガリオも剣を抜いた。

マモルも拳を握る。





妖精郷リトートピア フィリア神殿地下遺跡にて、

闘いが始まった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ