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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第2章】眠れる妖精郷 篇
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第34話 見据える先の國


「お口に合いますか?」


「うん。これすごく美味しい」


「なら良かったですー。マモルさんは?」


「ああ。美味いよ」


「わざわざありがとうね、リイチさん」


「いえいえ、ぼくも食べるわけですから!むしろいつもより人が多くて嬉しいですよー」


「飯は大人数で食った方が美味いらしいしな」


「あれ、マモルがらしくないこと言ってる」


「んだそれ」


ルガルクロの外へと出たリザとマモル。二人を連れた竜車とその運転車の青年、リイチ。

彼らは峡谷を丸一日進み続け、夜となった現在も峡谷を抜けきっていなかった。

峡谷の途中に竜車を停め留まり、その夜はそれ以上先に進むことなくリイチが作った夕食を食べていた。


「っていうかリザ、俺らリイチが作った飯食ってるけどおまえどうするつもりだったんだ?」


「え、あ、忘れてた」


「おい」


「マモルだって今朝全然起きなくて何もしてなかったでしょ」


「おまえが行きたいって言いだしたんだろ」


「いーじゃない。こうしてリイチさんの美味しいご飯食べられてるんだから!」


「それとこれとは別だろーが。おまえ飢え死にしてーのか」


「一日くらい食べなくたって行きていけるわよ」


「そーいうことじゃねーだろ」


「あっははは…面白いなぁお二人は」


不意に、マモルとリザのやり取りをすぐ横で見ていたリイチが笑いを堪えきれず噴き出した。


「いやぁ、仲がいーんですね。お二人はやっぱり恋人同士なんですか?」



「「 はぁぁ!!? 」」


二人同時に声を上げる。


「おいリイチ何言ってんだよおまえ。解雇するぞ」


「ちょ、ちょ、ちょっとリイチさん何をっ!」


「え、違うんですか、?」


「「 違う 」」


「けどお二人はとても仲が良いみたいですし」


「そう見えるのかおまえには」


「変なこと言わないでくださいよっ!」


困惑するリイチ。

冷静なマモル。

赤面するリザ。


「なんでおまえはそんなに焦ってんだ」


「は、はぁっ!?べ、べつに焦ってないし!焦ってないし!」


「なんで二回言ったんだ」


「今二回言いましたよね?」


「二人ともなんなのよ!吹き飛ばすわよ!?風神で!」


リイチは「あ、あーー」と事態を察し、黙り込んだ。


「どうしたリイチ?」


「い、いえ!何でもありませんよマモルさん!」


「ん、?お、おうそうか」


リイチはリザに目線を送る。


「はは…」


余計なことは言うなとでも言いたげな顔をしていた。


「あ、あ、そうだ!お二人は何故リトートピアに??」


リイチが話を変えようと試みる。すると、


「あ、俺もそーいやまだそれ聞いてなかったな。なんで行くんだ?」


マモルもすぐに切り替わった。


「リトートピアに私の家族…みたいな人がいるの」


「家族みたいな人?」


「小さい頃からずっと私の面倒を見てくれていたの」


「なるほどな」


- 前に、本当の親の顔は見たこともないし知らないって言ってたもんな


「その人に会いに行くの」


「俺も行って大丈夫なのか?」


「ちゃんとマモルのことも紹介するつもりよ」


「…問題無いならいいけど」


「優しい人だから大丈夫よ。私の、おじいちゃんみたいな人かな」


「あのう、」と、二人の会話の中にリイチが申し訳なさそうに踏み込んでくる。


「リトートピアに住んでいるということは、妖精族の

方ですか?」


- 妖精族、?


マモルは聞いたことのない単語に興味を惹かれた。


「ううん、その人は妖精族じゃないの」


「そうだったんですね。すみません。出しゃばってしまって」


「なぁ、その妖精族ってなんだ?」


マモルは木の実やキノコ類を煮込んだスープを飲み干し、そう尋ねた。


「妖精よ」とリザは一言で答える。


「…。フェアリーとかってやつか?」


「まぁフェアリーも妖精だけど、妖精っていうのはもっと大きいくくりよ。ラグナとかみたいにね」


「…なんとなく分かった。それで、その妖精ってどんなのなんだ?」


「んー、背中に羽が生えてて空を飛んだりするの」


「大体はそんな感じですね。リトートピアは大半がその妖精と呼ばれる種族が暮らしていて、妖精郷として名高い国なんです」


異世界素人のマモルにとって簡単で分かりやすいリイチの説明は竜車の運転者さながらのものであった。


「なるほどな。妖精郷、か」


そのまま三人は食事を終え、焚き火を消して真っ暗になった峡谷の中腹で眠りについたのだった。







ガタガタという振動と足場の良くない道を走る車輪の音で目を覚ました。

うすらと目を開ける。

次々とうつりかわる外の景色が視界に入った。


「お目覚めですか?」


リイチが竜車を運転しながら、起きたばかりのマモルにそう言った。


「リイチか」


「おはようございます。マモルさん」


「ああ、おはよう。もう出発してたのか」


「はい。早朝から。かなり走ってるんでもうそう遠くないですよ」


隣を見ると、そこにリザが寝ている姿があった。


「おいリザ、起きろよ」


そう語りかけ肩をゆする。


「うーーん、、、ぐらっちぇ」


- どんな夢見てんだこいつ…


「マモルさん!見てください!」


リイチの呼びかけで前方を見るマモル。

先の方に峡谷に大きく囲まれるような形で湖や王都が見える。

自然に囲まれ、秘境とも呼べるような地に存在する国。

遠目から見ても、そこが妖精郷と呼ぶに相応しい場所であるとマモルは思った。



- あれが、妖精郷。









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