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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第2章】眠れる妖精郷 篇
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第32話 ギルド


オリバと名乗った青年と、マモルは握手を交わした。


「あの、ギルドって?」


マモルはフルングニルとオリバに向けて尋ねた。


「ああ、そうか。初めて聞く名だったね、マモル。ギルドというのは、騎士団とは別の、依頼を受けて仕事をする組織だ」


フルングニルが答えた。


「そ。んで俺が、そのギルドのランク★★★★★のオリバ隊所属兼隊長のオリバってわけ」


オリバもそう答えた。


「さっき魔法師って言ってましたけど、」


「敬語じゃなくていーぜ?ふつーでいーぞマモル」


「じゃあ、オリバ。さっき魔法師って言ってたけど、ってことはお前、魔法が使えるのか?」


「ああもちろん。魔法が使えない魔法師なんていないぜ?飯食うのにクソしねーのといっしょだ」


「オリバ、品のない発言はやめろ断ち切るぞ」


フルングニルが代わりに答える。


「さーせんさーせん。名高い王国騎士団団長の発言とは思えないけどー」


「まったく…、こんなんだが一応、この国ではトップクラスの魔法の使い手だ。実力はある」


「そーそ、特に火属性魔法な」


「魔法に属性があるのか?」


「もちろん、基本の 火 水 土 木 金 と、虚 。」


「虚属性?」


「そ、稀にいるんだよ。五つの系統に分類できない魔法の適性が出るやつがな。それが虚属性」


「オリバは火属性が適正なのか」


「そーいうわけ。まぁ火属性適正だからって他属性魔法が使えないわけじゃねーからな。あくまで向き不向き、タイプの問題ってわけ」


「俺にも使えるのか?」


「まぁ、修行積めばできるだろうよ。ラグナみたいに先天性の力じゃあないからな」


「なるほど」


- ちょっと分かった気がする。


マモルがファンタジーの世界っぽさを肌で感じた瞬間だった。


「んじゃ、そろそろ行くわ俺」


「またなオリバ」


「おうフルングニルさん、マモルもな」


別れを告げてマモルは再びフルングニルと二人きりになった。


「フルングニルさん」


「どうした?」


「俺、雇われ用心棒ってことになってますけど、さっきのギルドってのでもよかったんじゃないすかね」


「ああ、まぁ言いたいことは分かるが。マモルにとっても、顔を知ってる騎士団の連中がいる組織にいた方が肩身の狭い思いをしないんじゃないか?」


「そう、ですね。まぁ、不満があるとかってわけじゃないですけど」


「それに、ギルドとなると隊を組む必要があるからな。ほかのメンバーを見つけなきゃならない」


「たしかにそれは面倒ですね」


「だろう?それに、騎士団団長としても、マモルを騎士団に置いておきたかったしな」


「え?」


「お前に実力があるのはまぁ間違いない。それに、お前には潜在的な何かを感じるよ。処刑での件、ガイアロックでのヘルガの件、そして今回のリヴァイアサンの件。

お前がこの世界に来たのには何か意味があるのかもな…」


「…え?」


一瞬、強い風が吹きぬけ、世界が止まったように錯覚する。

一瞬という言葉の通り、世界はまたすぐに動き出す。


マモルには、フルングニルが言った言葉の、その真意が分からなかった。


「それはどういう…」


「なんてな」


フルングニルは笑って一言そう言った。

マモルはまだよく分からない感覚でいる。


「私も、ここでお別れだ」


いつのまにか、騎士団の本部の前まで来ていた。


「ではまた」


そう言い残し、フルングニルは騎士団の本部の中へと消えていく。

マモルも、何とも言えない胸の内を明かすことなく押しとどめたまま王都を後にするのだった。







※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






夕刻、どこか薄暗い場所。そこに怒りに満ちた声だけが響く。


「クソがぁっっ、殺す、殺す、ぜってぇ殺す」

「あいつだけは許せねぇ、殺す、殺すっっ」


「あーあ、久々に戻ってきたと思えばそんなに怒り狂っちゃってさーあ」


「うるせっえぞ、俺は今滅茶苦茶に腹が立ってんだよ」


「こいつが騒がしかったのは前からだけどな」


「ってか、お前がここまでやられるってまぁ珍しいよな」


「そんなに強かったのかその相手は?」


「……。」


「どーせ油断してたんじゃねーの?」


「なんでもいいから静かにしてくれない?殺すわよ」


「まぁ負けたからって気にすんなよ、生きてんだし」


「負けてねぇっっ、俺は負けてねぇぞ!」


「分かった、分かったからっての」


「はぁ、はぁ、マジでムカつくぜ、あの野郎」


「どうにかしてよ団長、こいつずっとこのまんまじゃん」


「団長がどーにかするよーなことじゃねーよ」


「そーだよ、そもそもこいつが目的果たせずのこのこやられて帰ってきたのが悪いんだし」


「てめぇらなぁ、さっきからごちゃごちゃうるせぇんだよ!」


「うるせーのはおめぇだろうが」


「あーくっそ、なぁ、団長!俺にチャンスをくれ、あいつぶっ殺さなきゃ気がおさまらねぇ」


「団長、きかなくていーよ」


「そうそう、どーせまたしばらく騒いで落ち着くから」


「ね、団長」


「……なぁ、ヘルガ。お前をやった奴の名前、分かるか?」


「名前?たしか、マモル、だったな。リクドウ マモル。変わった名前だったから忘れねぇよ」


「……へぇ、」


「え、団長?」


「どしたの?団長」


「団長、なんか笑ってるけど?」


「ヘルガ。」


「なんだ、団長」









「そいつは、かなりおもしろいな」




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