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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第2章】眠れる妖精郷 篇
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第29話 天災の夜明け


目覚めて最初に思ったのは全身の傷が癒え、痛みがほとんど消えていたこと。

そして目覚めた場所がどこであるか、それはすぐに分かった。見慣れた木造の壁と天井、決して大きくはないが居心地の悪さを感じさせない狭さ。


- リザの家、か。あれ、俺どうなったんだっけ…


「起きた?マモル」


半身を起こし声の主の方を向く。


「リザ…おはよう」


「おはよう、マモル」


「…どうなったか聞いていいか?」


リザは頷いて立ち上がる。


「立てる?」


マモルは言われるままに立ち上がった。

入り口の戸を開けたリザに続き外へ出る。


ツリーハウスの外に出たマモルはそこから見える光景に唖然とした。


「これは…」


森の一部が、海から大きな一本道ができたかのように綺麗になくなっていた。

大木に作られたツリーハウスの高さからではそれが一望できた。


「あの、大蛇か」


「そう。マモルがとめてくれた、ね」


リザはそう言ってマモルを見つめる。


「改めて…ありがとう、マモル。マモルがいなかったらルガルクロは壊滅していた」


「壊滅って、まぁあの大きさじゃあかなりヤバい被害出ただろうけど」


「ううん、あの蛇は海底で眠っていた天災級の生き物なの。あのままなら間違いなく壊滅していたわ」


「そうだったのか。けど、ってことは俺、あの化け物を殺せたんだな」


マモルは自身の両手をまじまじと見つめる。やはりそこにも傷跡はあるがほとんど回復していた。

両手を見つめたまま、マモルは大蛇と対峙したことを思い出す。


- あの時、俺は手から出た変な光の玉で蛇の頭を飛ばしたはずだ。あれは一体なんだ?


意識がはっきりしていなかったためにその記憶も確かではなかったが、マモルはその光景が焼き付いていた。


「マモル、」


リザの声でマモルは我に返る。


「ああ」


「王都でも今回のことが大きく出回ってるの。あの場所にいたマモルがきっと必要になる。動けるなら、はやいうちに王都に行った方がいいわ」


「そうだな。すぐにでも行ってくる」


マモルはすばやく着替えを済まし支度を終える。

出発する際にマモルはリザに尋ねた。


「俺の怪我、もしかしてリザが治療してくれたのか?」


「うん、騎士団の人たちとかも後から来て手伝ってくれたんだけどね」


「そうだったのか。にしてももうここまで治ってるなんて」


「私の能力よ。前にも言ったでしょ?」


「自然の力が味方するってやつか、なるほどな。助かったよ、ありがとう」


「ありがとうだなんて、そんなの。当たり前じゃない」


「じゃあまぁ、お互いさまってことで」


「そんなことで埋め合わせなんてできないよ。マモルがしてくれたことには全然釣り合わない」


「いいんだよ釣り合わないとかそんなこと」


「けどそれじゃこっちの気がすまないわ」


「まぁ、また後でゆっくりその話はするとして、」


「そうよね。今ははやく王都に行かないと」


「いってくる」


「うん、いってらっしゃい」




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




数十分後、マモルは森を抜けて王都に入った。

王都はいつもより騒がしく賑わっている。


- この場合って、騎士団の本部に行けばいいのか?


マモルは人混みを掻き分けて進み、騎士団本部を目指す。


「おい!マモル!」


聞き覚えのある声がし、マモルは立ち止まり、進行方向を変えて人混みからの離脱を試みる。進む人々。それとは反対に向かう人々との流れの中をかいくぐりどうにか人の波を抜けた。露店が並ぶ王都の一角の壁沿い。そこに声の主がいる。


「アガリオ」


「おお、やっぱりマモルか」


「ちょうどよかった。騎士団の本部に行こうと思ってたんだ」


「俺らも、マモルを見つけたら連れてくるように言われてたんだよ。行こう」


マモルはアガリオに続き薄暗い路地を歩く。


「あんなに人がいちゃまともに歩けないからね。そんな時のための裏路地裏ルートだよ」


「それ表じゃあないのか」


「裏路地の裏は不可抗力だからね」


マモルはもう何も言わなかった。


「…そーいや、俺を見つけたら連れてくるってことはやっぱり、昨日の大蛇の件か?」


「それ以外にないだろうね。っていうか、ほんとよく生きてたよね。そんで倒しちゃうし」


「まぁ、倒そうと思って倒したわけじゃないんだけどな」


「あんなの、一人で殺したとか正直信じられないよ。騎士団が大掛かりで作戦立てて駆逐しようとしても9割失敗だろうね」


「そんなに、やばかったのかあの大蛇?」


「当たり前だって!天災級の種のリヴァイアサンだよ

?ほんとよくやったよ。どうやったっていうんだ」


「天災級の種?リヴァイアサン?」


「まさかそれも知らない、?まぁしょうがないか。マモルは異世界から来たんだもんね一応」


一応という言葉に反論は当然あったがめんどくさかったのでスルーする。

アガリオはそのまま続けた。


「この世界にはまぁいろんな生き物がいるわけなんだけど、主に魔獣、その他を含めてそれぞれの生物としての脅威が階級ごとに分けられているんだ。天災級は最高クラスだ。そうそう巡り会うものじゃない。下手をすれば世界全体滅ぼしかねないからね」


「そんなやつを、俺が?」


「自分でもびっくりしちゃってるわけね。まあ、不幸中の幸いというか、あのリヴァイアサンはまだ赤子だったみたいだけど」


「あれが赤子なのか?」


「ああ。言ったろ?天災級の種の生き物は下手をすれば世界全体滅ぼしかねないって。今回の規模ならまあ、ルガルクロが滅ぶくらいはであり得た。それを1人で止めたやばいやつがマモル、君ってことだ」


そう言ったアガリオが足を止めた。


「着いたよ。おしゃべりは終わりだ」



そう言って路地を抜ける。薄暗い路地がでてきたためき陽の光が眩しい。

ゆっくりと目を開けるとそこには騎士団の本部があった。


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