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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第1章】 厄災を呼ぶ妖精少女 篇
32/58

第28話 優しい人



地面は泥と雨水が混濁し、ぬかるんでいる。


ぐちゃ、ぐちゃ、と地を踏みしめる。




「ぁぁ、あ、…」


- …行かなきゃ


「ぁぁ…」


- …行かなきゃ


「ぁあ…」


- 行かないと


「ああ、ぁあ…」


- 俺が、行かないと、







マモルは、ようやく足を止めた。


「…マモル、」


「…リザ…」


マモルはその場に倒れた。


「え…マモル!マモル!」


「……」


「うそ…、しっかりして!ねぇ、マモル!!」


「…」


「マモル!マモル!!起きてって!!!」


「 、」


「マモルッ!!」























「…ここは、?」




気持ちのいい場所だ。花畑がどこまでも続いている。


どこか、見覚えのある場所だった。



「ああ、そっか。ここに来たんだったな、」



懐かしい。とても懐かしい。


遠い昔の記憶だろうか?





暖かい





ああ、いつだったかな、最後にここに来たのは






このまま、ここにいてもよいのだけど、



そうもいかないか








あぁ、そっか





そうだった



思い出した








ここにはもう来れないんだった






だってもう
















さよなら、



さよなら。





















「…あぁ」


うすらと目を開ける。




「マモル…、マモル!!!」


目覚めると、そこにはリザがいた。


「…え、リザ?」


「そうよ!マモルッ!!」


「一体、何が起き、て…」


「覚えて、ないの、?」


「え、いや、あ……



周りを見るとたくさんの木々。見慣れた光景だった。


- あぁ、そうだ。俺、さっきまであのデカい蛇の化け物と戦って…


「大丈夫、?怪我もひどいみたいだし、」


「あぁ、大丈夫だ。まだ痛むけど…」


「よかった…本当に…。…ごめんね、私のせいで、」


「…え、?…」


「私のせいで、マモルをこんな目に…、」


- ああ、そうだ。俺は、この子を助けるために…、


マモルは全てを思い出した。


マモルは起き上がる。そしてリザを見つめた。



「…リザ」


「マモル…、?」


「リザ、よく聞け」


リザは黙って頷いた。


「おまえは、勘違いしてるよ」


「勘違い、?」


「ああ。おまえは、自分で自分を忌み子だと、厄災を呼び、周りを不幸にする存在だと、そう言ってたよな」


「そう、だよ。今回だって、私はマモルを巻き込んだ」


「違うよ。俺は、おまえと出会って不幸になんかなってない」


「…え、。?」


「この世界に来て、初めて声をかけてくれたのがリザだ。監獄にいた俺を、無実だと証言して助けてくれたのがリザだ。家も食いぶちも金も、何もない俺に全部くれたのがリザだ。」


「……」


「俺はおまえに救われたんだ」


「…そんな、そんなの…」


「信じられねーか?」


「そうだよ、だって、だって私が、人を不幸にして人に嫌われて恐れられて、蔑まれてきた私が…」


「そんなの関係ねぇよ。俺は不幸になんてならなかった」


「今回だって、巻き込んで、こんなに辛い思いさせて、いっぱい傷つけた…」


「でも、最後には俺が倒しただろ。厄災も大したことねーのな」


「違うよ…」


「違わねーよ」


リザも勢いよく立ち上がる。


「私は、生きてちゃいけないの、生きてることが駄目なんだよ!生きたいと思うことが罪なんだよっ!!」


リザは涙を流していた。



「おまえが明日を生きようとするのを、誰が罪に出来る?」



マモルはリザはを見つめなおす。



「…リザ。厄災なんてのはな、俺が何回だってぶっ潰してやる」


「…なんで、」


「おまえが一人で抱え込んで悩んでるなら、俺もいっしょにそれ思いっきり抱きしめて悩みまくってやる」


「…なんでよ、」


「おまえが願うなら、俺はおまえを助けてやる」


「なんでそんなに…優しくしてくれるの、?」



「俺がおまえに生きてほしいからだ」


「……え、?」


「俺は、自分がなんで生きてんのか正直わかんねぇよ。だから切実に生きたいと願うおまえに、生きてほしい」


「そんなの…」


「だから、これはおまえの為に言ってるんじゃねぇよ」


マモルはリザを見つめ、微かに笑った。


「これは、全部俺の為だ」




「……何それ、」


リザも、マモルを見つめ、笑った。


リザが、初めて幸せを感じた瞬間だった。




「悪いか?」


「ううん。…変だけど、ありがとう。マモル」













「優しい人ね」





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