第27話 咆哮
「来るぞっっ!!!」
大蛇は再び進行を始める。
「マモル、これ使え」
マモルはスザクが投げた長い筒を受け取る。
「これは…、」
中身を見てマモルは驚いた。
「三節棍だ。とりあえず持ってきたからやるよ」
三節棍。一本の棒が三つに分かれ、鎖等で繋がれているため振り回して攻撃する。という武器だ。
- 使ったことねぇぇ、けど、何も無いよりマシだ
「あ、あとな、その三節棍はちょっと特殊なんだ、魔法の術式が組み込まれてる」
「え、魔法、?」
思いがけないところで、この世界に来て初の魔法に対面した。
「ふつうに使ってりゃただのむっちゃ硬い棒だよ。おまえの意思に応じて三節棍の方が勝手に展開する」
「よく分かんないけど分かりました」
「さぁ、やるぞ。インフェルガウス!」
再び大岩が発射される。大岩は直撃したが大蛇は足を止めない。
「あいつっ!!慣れてきてやがんのか!?」
スザクは大きく動揺した。
マモルは即座に思った。
- きっと、インフェルガウスは続けて発射できない。次に撃てるようになるまでしばらくブランクがいるはずだ。
「マモルッ!!かまえろ!!!」
大蛇は既に目の前までやってきていた。
- ヤバいっっっ!!!!
マモルは三節棍を地面に突き刺す。
そのまま大蛇はマモルへ突っ込んだ。
「マモルッッ!!!」
スザクの叫びが届くよりもはやく、マモルは大蛇の突進を受け、そのまま大蛇は進行した。
それでもマモルは耐え続け、構えをやめない。
大蛇の突進を、三節棍たった一本で受け止めたまま、マモルは押される。
- ぐぅっっ!足が、磨り減ってるみてぇだ
進行は続く。マモルの抵抗も続く。
ついに大蛇の進行は森に到達した。
三節棍は壊れないが、マモルは既に限界を超えていた。
- 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
- 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
- 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっっ
- 意識が、ぁぁあ、ああ、とびそうだ、
- あぁぁああ、
「ああああああぁあぁあっっっ」
- ぁぁあぁああぁああああぁああ
「ああああああああぁぁぁぁああぁっっ!!」
-ぁぁあ、あり、ぁぁぁり、あ、りあ、ぁあ
「りあぁぁあ、あ、り、あぁ、ぁあぁぁあ!!!」
既に、痛みの感覚はない。
マモルは叫んだ。
「リザぁぁぁああああああっっっ!!」
その声は、森中に響き渡る。
「……マモル、。」
「ぁぁぁあぁぁぁああぁぁあっっっ!!」
マモルは三節棍を手放す。
自由になった手で、マモルは大蛇の頭を掴みにかかる。
なんとか掴むことができたが凄まじい勢いに振り落とされそうになる。
力の限りつかんでこれを必死に耐える。
「ぁぁぁああぁあああああああっっっ!!」
マモルはほとんど思考が働いておらず
ただ目の前の化け物を食い止めることだけを考えていた。
吼えるマモルに無意識に力が溢れ出す。
マモルの両手から透明のキューブ体が出現した。
片方の手から四つずつ、合計八つ。
透明なキューブ体はそれぞれが肥大化し重なるように大蛇の頭全体を包みこむ。
「しぃいぃいええああぁぁあぁぁっっ!!」
キューブ体は凄まじい光を放ち、辺りが見えなくなるほどに眩しく輝いた。
光が消え、
辺りはもとの光景へと戻る。
その時、既に大蛇の進行は止まっていた。
数十分後、ルガルクロ王国 王国騎士団の部隊はスザクと合流し、大蛇のいる森に到着した。
「…っっ!!! これ、は…」
その場にいた全員が愕然とした。
そこは大蛇の頭があるはずの場所。
しかし、そこには大量の血が残っているだけで大蛇の頭は跡形もなく消えていた。
「これ…マモルが、あいつがやったのか…?」
「…団長、これは…」
「…あぁ、凄まじいな」
いつのまにか、空を覆っていた黒雲は晴れ、太陽が地に降り注いでいた。




