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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第1章】 厄災を呼ぶ妖精少女 篇
29/58

第25話 オト


マモルが扉を開けた。

そこにリザの姿はなく、マモルは部屋の中が無残に荒らされた光景を目の当たりにした。


「一体、何が…!?」


たくさんのものが散っており、壊れていたり砕けている。窓や壁には傷。明らかに何者かの介入があった跡があった。


「…リザ、!!?」


マモルは部屋を出て、他の部屋を手当たり次第に確認した。しかしどの部屋にもリザの姿はない。


- 一体どこに…!?


「リザ!!どこだっ、どこにいる!?」


マモルは叫ぶ。

家を出て森の中を走り回った。


珍しく、マモルは必死だった。つい先程海で死ぬほど激しい戦闘に巻き込まれたばかりだったが既にマモルの意識の外であった。


- …なんで、なんでいねーんだよ!?どこ行ったってんだ…


「どこだよ、リザ!!!」


森中に響くような声だ。

いつのまにか、辺りは暗くなる。既に大きな黒雲に太陽はその姿を隠され、なきものにされていた。

ぽつり、と水滴が一粒、マモルの頬に落ちて、潰れ、瞬間的に丸みを帯びた形が崩壊し、はじける。


- 雨、か…


その一粒の雨がはじけたところから、決壊したように無数の雨粒が空から降り注ぐ。

強くなる一方で勢いは止まることなく増し続ける。

豪雨だ。

森の木々が傘の役目すら果たせないほどの豪雨。


森の生き物たちの気配は消え去り、地面は泥濘み、辺りは暗く、ぼやけて見えない。


- これは、まずいな。


マモルは森の中を駆け出した。









- …雨、?


少女は目を開ける。高く覆い被さる木々の間から少しだけ真っ黒な空がうかがえた。

どうやら少女は仰向けで倒れ、上を見上げているらしかった。


「…ああ、また、私はやってしまったの…」


当然、身につけていた衣服はびしょびしょに濡れ、目で見なくとも雨水で誕生した泥が染み込んでいることが分かった。動きにくさ、というよりも気持ち悪さを感じる。まぁ、動こうという気はないようであるが。


少女は強い罪悪感に潰れそうになりながら泥に塗れ汚れた手を目にあてる。


「もう、何も見たくない…。だって、私の目には悪いものばかりが映るもの…」


今にもどうにかなってしまいそうだった。

とてつもない罪悪感、怒り、怨み、全て自分自身に向けられた自分の感情だった。

もはや感情という枠を越えた意識、思い。


何も出来ず、何かをしたわけでもなく、何かが起こり、何かがおわる。


無数の感情が彼女の中で混濁し、支配する中で、彼女は残された極小の意識のから、一言だけ、


誰にともなく呟いた。




「誰か……、





















…私を、殺して」










「見つけた。」


そう、声が聞こえた。

彼女は手をどけてうすらと目を開ける。



「…あな、た…は、」


「やっと見つけたぞ、リザ」



そこにはマモルが立っていた。


そして、リザが横たわっていた。


そこは最初にマモルとリザが出会った場所だった。




「リザ…おまえ何を、


「駄目よ、マモル…。もう、駄目なの」


「何が、何が駄目なんだ、」


「もう、終わりなの」


「終わり…、?一体何が終わるんだ?」


「あなたにも、止められない」


「何だよそれ…」


「本当に、申し訳ないと思っているわ」


「だから、何が…」


「分かっていたはずなのに、ずっと、遠ざけてきたのに……」


「リザ、」


「最後に、受け入れてしまいそうになってしまった。受け入れてほしいと思ってしまった…」




「…だから、何がだよっっ!!?」


マモルは叫んだ。


と、同時に


グォォォオオオオオンンンッッ!!!!

と、どこかで聞き覚えのある雄叫びがした。




- まさか…


マモルは嫌な予感がした。


- あり得ないっ…、まさかそんな……


雄叫びが聞こえた方を見つめる。王都とは真逆の方向。マモルが森の家へと帰ってきた道。



「…リザ、おまえ…」







「ごめんね。マモル」



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