第24話 束の間の団欒
暗黒の海に光が射し始めた。
太陽が昇ったのだ。
- 朝、か。
全員がその場に崩れ落ちた。
「何だったんだ…さっきの…」
「に、しても、よくやったスザク」
「ほんと死ぬかと思いましたわ」
「おまえが撃たなきゃ全員死んでたよおまえも含めてな」
「けどとどめはカイさんすからね、俺の功績も全部持ってかれた気分ですわ」
「生きてんだからなんでもいーだろ」
「それもそーっすね、あーーむっちゃ疲れた」
マモルもスザクとカイのところに近づいた。
「おお生きてたかマモル」
「横で見てただけですから」
「いや、だけどさ…ってかそうだ、点呼とらねーと。誰か死んでたりいなかったりするかもしんねーからな」
カイはそう言って立ち上がる。
「全員聞こえるか!!点呼取るから中央に集まれ!」
カイの呼びかけでへたり込んでいた者たちは皆立ち上がり、船の中央へと集まる。
「…おっし、1番隊は全員いる、な。スザク、そっちはどうだ?」
「…3番隊も全員います、あとマモルも。これで全員。いない奴はいないっすね」
「死傷者なし、か。上出来だろ。」
「あの状況なら全員死んでたとしても不思議じゃねーからな」
全員、再び緊張が解け座り込む。
マモルも息をついた。
- …すごかったな、さっきの
マモルはカイとスザクの大蛇との戦闘を思い出した。
- …スザクさんのインフェルガウスで撃ち落として、カイさんが攻撃。カイさんの能力はなんだ…?斬撃、の類だとは思うが…
「どうかしたか、マモル?」
スザクがマモルの表情から何かを感じとってか声をかける。
「いや、さっきの、カイさんの能力って何かなって」
「あーあれな。あれはー、なんだ斬撃?的な…」
スザクもいまいち分かっていないようだった。
「カイさん、カイさんの能力って結局なんすか?斬撃を一度にたくさん飛ばす的な?」
スザクは考えた末にカイに尋ねた。
「言わねーよ内緒だ内緒」
「えー、教えてくださいよ」
「ぜってー言わねーー」
「はぁぁ??」
「んだそれおまえ、その態度。さっきの今でもう死にてーのか??」
「死にたいわけないじゃん」
「んだとてめぇマジで殺すぞ…」
「やってみろやぁぁぁ!!」
「上等だぁ歳下!!!」
カイとスザクは取っ組み合って暴れる。
- 疲れないのかこの人ら…
マモルはしぶしぶ仲裁に入ろうとする。
「ちょっと二人とも…
「あーいいよいいよ」
不意に横から声がした。見ると背の低い少年。制服を見る限り1番隊の騎士らしかった。
- 子供…に見えるけど違うのか。?けど騎士だしな。
「ぼくはツートといいます。はじめましてマモルくん。」
「ああ、はじめまして。それで、この人たちは大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ、いつものことですから」
ツートは笑って答えた。
その笑顔からはより幼さが感じられた。
- ほんとに、子供みたいだな…
「しつけェぞスザクてめぇ!」
「あんたが先に喧嘩吹っ掛けて来たんだろうが!」
「おまえがそれより先にナメた態度取ったからだろ!」
「ただのタメ口だろ!?そんだけでナメた態度になんのかよ!」
「先輩には敬語を使え馬鹿が!」
「敬ってねーよあんたなんか!」
「年下だろーが!敬語なんて当たり前なんだよ!」
「年下年下って、一つしか変わんねーだろ!俺より一年早く生まれただけじゃねーか!」
「一年ありゃなんだってできんだろ!」
「あんたはどーせ何もやらねーよ!」
「はぁ!?おまえは騎士団の騎士のくせに剣使わねーだろーが!修行が足りてねーんだよ!!」
「剣使わないやつなんて他にもたくさんいるだろ!なんで今になって言うんだよ剣バカ野郎!!」
「ならおまえは銃バカ野郎だなぁぁ!!」
「「痛っだぁぁぁっ!!?」」
突然二人が同時に声を上げた。
原因は、ツートが二人の頬を殴ったからだった。
「何しやがんだツート!!なんで俺まで殴る!?この銃バカ野郎だけでいーだろ!」
「それはあんただって言ってんだよ剣バカ野郎!」
「「痛っだぁぁあっっっ!!!?」」
再び二人は声を上げた。再びツートが殴ったのだ。
「いい加減にしろや二人とも!!うるさいんだよ!!」
さっきまで終始ニコニコしていた表情が一変、鬼の形相に変わっていた。
「分かった!!分かったってツート!!」
「俺らが悪かった!だから怒んな!!」
二人は冷静になり、また別の恐怖によって抑え込まれていた。
「…ったく、もう着きましたよ。」
「え、?」
「え、?」
- え、??
船の外を見る。太陽は完全に昇り、船は既にルガルクロの港の湾内に到着していた。
「もう着いたのか?」
「あんたらがバカやってる間にね」
そう言って船を降りる。他の騎士たちも既に船から降り、陸にいた。
ようやくカイとスザク、マモルも船を降りる。
船を降りたマモルにツートが言った。
「マモルくん、君はもう家に帰ってもらって大丈夫だ。あとのことはぼくらに任せてくれ。調査の報告とかは騎士団の方でやっておくよ」
「いいのか、?」
「もちろん。君は騎士団が雇っているわけだしね。もしかしたらまた呼び出されることがあるかもしれないけど、一先ずは大丈夫。」
「そうか、分かった。ありがとう助かる。」
「いーえ!おつかれさまでした。報酬もまたその時に。」
ツートは最初に見たときの笑顔でそう言った。
そのままマモルは森へと戻る。
- …今の時間は、7時くらいか?
マモルは森の家に辿り着く。
- リザはもう起きてるだろ
そう思って扉を開けた。
「…え、?」
そこにリザの姿はなく、家の中は襲撃にあったかのように荒れていた。




