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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第1章】 厄災を呼ぶ妖精少女 篇
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第23話 背水の陣


グウォォォオオオオンンッッッ!!!


と、その巨大な蛇の化け物は唸り、雄叫びを上げたのだった。


まるで、獲物を前にして奮い立つ獰猛な獣のように。



- もう疑いの余地はない…、あれは生きてる。


船は蛇から逃げるように進み続ける。が、蛇との距離は離れるどころか次第に近づく。


「…このままじゃ、追いつかれるのも時間の問題だな」


スザクはそう言った。冷静だが、落ち着いてはいない。ひどく動揺し、焦っている。まだ混乱もしている。それは他の者、ましてもマモルも同様であった。


「…やるしかない」


スザクとマモルのところにやってきたカイがそう言った。


スザクも覚悟を決める。


「…はぁ、マジかよ。あんなやつ相手にすんのか…」


「大きさで言えば、山ひとつ分くらいはありそうだな」


「勝てる気しねーー…」


「腹くくれスザク」


「分かってますよ…やりますってもちろん」


二人は蛇と交戦するつもりらしかった。


「勝とうとするな。絶対に無理だからな」


「無理なんて言わないでくださいー分かってますけども…」


「ちげーよ馬鹿、勝たなくていいんだ。俺たちは奴を食い止める。足止めして時間が稼げればいい。それで船は逃げられる」


「俺も、何かするべきですか、?」


マモルはカイに尋ねた。


「いや、マモルは対人戦闘以外は避けるべきだろう。実力は申し分なくても相手が相手だ。おまえはラグナではないから能力もない。ここは俺たちだけで対処する」


「分かりました。お願いします」


「ほんとは死ぬほどやりたくねーけどな!!!」


と、スザク。


「なら死ぬか?おまえは死にてぇのか??」


「死ぬのは一番嫌っですね」


「ならやるしかねぇだろ。俺だって別にやりたかねぇわ」


「二人は船から降りるつもりですか、!、?」


マモルはまさかと思い尋ねた。


「降りるわけねーだろそこで死ぬわ」


とスザクは答える。


「いや、ここで戦る」


カイが答えた。


「ここって、船の上で、ですか、?」


「そうだ。…といっても、あくまで俺たちが狙うのは奴へ攻撃を当てて足止め、最高で撃退。船に上がろうとした時点で始まる」


「カイさん、……でいーですか、?」


「ああ、それでいく」


「了解」


「しくじるなよ」


「がんばります…」


「おまえがミスれば終わりだ」


「どっちにしろカイさんが決めなきゃ終わりですから」


カイとスザクは軽く作戦を立てる。

マモルは黙って話を聞いていた。


- 俺は今回、何もできない。カイさんたちの作戦とやらは、聞いた限りでは高確率でこの場の全員が死ぬ。新たに緊張と恐怖が体を支配しようとする。


蛇はさらに距離をつめ、いよいよ近くなってきていた。

船は急いでルガルクロへと戻ってはいるが蛇から逃げ切るにはまだあまりに足りていない。


スザクは何も握っていない手を突き出して構える。

カイはそこかは離れた位置に移動。マモルはそれを観察する。

スザクが突き出した手に見覚えのある大きな銃が出現し、握られた。


- “ 無敵の轟銃 ” (インフェルガウス) か。


と、マモルは蛇が現れる前のスザクとの会話を思い出す。


- インフェルガウスは、その時に最も有効な攻撃が銃から発射され発動する能力。あの大蛇に有効な攻撃が、できるかもしれないのか。


いよいよ、蛇は船に接近する。


「来いっ…!!」


スザクが叫んだ。

その直後、蛇は海の中へと潜り、消える。

そして次の瞬間、蛇は海から突き出すように船の目の前に現れる。大きく飛び上がった蛇の体は船の頭上を飛ぶ。


- でけぇ…


ドンッッッ!!!!


と、

大きな発砲音。


インフェルガウスが発動したのだ。

発射されたのは大きな衝撃波。大気が震え、唸る。

衝撃波を食らった蛇は雄叫びをあげて悶える。


- インフェルガウスの攻撃が、効いてる!!


そのまま下へと落ちる。

進み続ける船のぎりぎりの船上に蛇の頭が乗っかった。

文字通り目の前に現れた巨大な蛇を目の当たりにし、その大きさを直に感じる。


そこへカイが走る。

右手に握られた剣が蛇の左目に突き刺さった。


「…10秒、たったぞ」


カイがそう呟いた直後、その刹那に、無数の斬撃が蛇の頭部に繰り出される。おびただしい数の斬撃だ。そのうえ一発一発が軽くない。全てが深く肉への刻まれる。


グォォォオオオヲヲヲンンッッッッ!!!!!


苦痛で蛇は再び雄叫びを上げた。

そのまま海の中へと消えていく。今度は完全にどこかへ行ってしまった。

やがて再び海は静けさを取り戻した。

波も穏やかに変わる。


「…撃退、したのか…」


その場に全員が倒れ込む。

安堵の息をつく。

マモルもようやく落ち着いてきた。

ふと気がつくと辺りが明るくなり始めている。


暗黒の海が朝を迎え、太陽が昇ったのだった。




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