第21話 帰り路のない地図
マモルは得たばかりのお金を使い王都のブティックで服を購入した。
この世界ではお金の単価として 1ギル と数えるらしい。マモルは1ギルは日本円で20円くらいだろうと察しがついた。
なんとなく時代や文化の違う服であった。というより、この世界においてマモルのジャージという格好の方が大分異端だった。
マモルは森のツリーハウスに到着した。
ハシゴを登ったところから大木の幹を囲うように螺旋状にいくつかの部屋がある。部屋はトイレや風呂、キッチンまで、用途別に複数存在していた。
マモルはリザの部屋の扉を軽くノックし開ける。
「おかえりマモル。遅かったのね。」
リザは夕飯の支度を既に終えていた。
「ああ、ただいま」
「あれ、服、買ったのね!」
「騎士団で、監獄の件で世話になったって金もらったんだ」
そう言ってマモルはギル札が包まれた包みをリザに手渡す。
「すごい!20万ギル以上ありそうだわ」
「これ、リザにやるよ」
「って、ええ!?」
「世話になってるしな、俺は働くから」
「けどこんな大金受け取れないわよ!」
「リザは仕事してねーだろ?多分。だから使え」
「それはそうだけど、これはマモルがもらった物なんだから」
「どうせ、俺は明日から仕事でしばらく帰らないだろうから。持っててくれ」
「え、仕事で帰らないって、一体何始めたの!?」
「…何でも屋、?」
「何でも屋って何!?」
「雇われ用心棒、とか言ってたな」
「…騎士団みたいなものなのね」
「まぁ、マモルが仕事を見つけられたのはいいことなんだけど。その、何でも屋ってけっこう危ないんじゃ?」
「…だろうな。」
- 騎士団の奴らと一緒に仕事するって時点で安全な仕事なわけがないんだけどな。
「一体何をするの、?」
「明日からは、なんか海の調査だとか」
「海の調査…?って、もしかして大境洋の輸送船が消えるっていう、?」
「ああ、それだ」
- なんだ、リザは意外と詳しいのか
「もし俺が帰ってこなかったら財産は全部やるよ」
「バカなこと言わないの!それにマモルが残してる財産なんてないでしょ半日前まで無一文だったんだから」
「冗談だっての」
「…!!マモルが冗談とか、信じられないわ」
「悪かったな」
「…とにかく、帰ってくるわね?必ず」
リザはマモルの目を見てそう言った。
「帰ってくるよ。必ず」
マモルは答えた。
リザは笑顔になる。
「よし。…ならもう何も言わないわ。心配なのは間違いないし、不安なのも変わらないけど、生きて帰ってきてくれるなら、それでいい」
「ああ。ありがとう」
「ほんとに…、今日のマモルは珍しいのね」
「悪いか?」
「悪いなんていってないでしょ!変だけど」
「……」
「ふふっ」
リザは少し笑った。
そして、
「マモルがかえってきたら、話があるの」
翌日、午後21時。ルガルクロ南港。
「全員、集まったな?今回の調査班のリーダーを務めることになった。カイだ。今回の班はルガルクロの騎士団の1番隊と3番隊。用心棒のマモルで構成されている。現地で何があるか分からない。皆、覚悟して臨んでくれ」
黒髪に黄色い目、身長は165cm程度と思われる小柄な男が、カイと名乗る。
- あれが、1番隊隊長。カイ = ミリサルバ 。騎士団の中で団長のフルングニルに次ぐ実力者と言われている騎士か。それにしても、低いな。
「おまえ、今カイさんのタッパ見て低いなーとか考えてたろ?」
不意に聞き覚えのある声がしたので振り返ると、
「スザクさん。あー、3番隊もってことは、スザクさんも今回参加するってことですね。あと思いました。すいません 」
「もちろん。まぁまぁ、別に攻めてるとかじゃねーよ。誰だって最初はそう思うさ。だが、あの人は本当に強いぞ。単純な剣術の優劣ならルガルクロで間違いなく一番だろう」
「ってことは騎士なんですね」
「当たり前だろ騎士団なんだから」
「けど王国騎士団て騎士団のわりに騎士じゃない人けっこう多いじゃないですか」
「まぁ、な」
「俺だって剣は使いませんよ。まぁ俺は騎士団の人間ではありませんが」
「まぁなんでもいーさ、あの人が強いのは間違いない。」
「そろそろ出発するぞ。」
カイの指示で、調査班の人間は船に乗り込んだ。
陸を離れる。
- また、始まったんだな。そんで、帰ってこないと、だな。




