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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第1章】 厄災を呼ぶ妖精少女 篇
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第19話 地上でも多忙な日々


小鳥のさえずりが聞こえる。

うすらと目を開けた。窓から直射される日光が顔を照らしていて眩しい。マモルは手をあてて目を覆い、こすってそのまま起き上がる。

部屋の扉を開けて外に出た。ひんやりとした空気に肌が触れ、目を覚ました。意識がはっきりする。

大木の上方から辺りを見渡す。数多くの自然に取り囲まれた気持ちのいいところだ。

ハシゴをおりて森の中を歩く。森には様々な植物が生えていたが見たことあるようなないようなものばかり。やはりここは別の世界なのだと身に染みる。

しかしいい加減慣れてきていた。


- そもそも、俺は帰りたいのか?


考えてみれば、帰ったところで何があるのか?元々、なんで生きてるのかなんて分からなかったのだ。

勘違いしないでほしいが、決してネガティヴだったり、病んでいるというわけではない。死にたいと思っているわけでもない。感情だってもちろんある。

切実に、マモルには生きようと思える目標がなかった。誰しもふと思うことがあるだろう。


自分は何をやっているんだ?何がしたい?

何のために生きている?


マモルの無気力は それら だ。それら をマモルは人一倍強く思っていた。それだけだった。

ボクシングを続けていたのも、とくに好きだったとかではない。

しかし、地下のリング、ルール無用のあの暗い世界で王座に君臨していたあの頃は、楽しいと、少なからずそう思っていたのかもしれない。


- この世界になら、何かもっと面白いものがあるかもしれない。


マモルは少しだけ期待していた。


- けど、か…


「マモル。」


名前を呼ばれる。聞き慣れた声だ。

後ろを振り返る。


「おはよう。何してるの?」


「リザか。何してたってわけでもねーよ。ただの散歩だ。」


「散歩ね。起きてすぐにどっか行っちゃったからびっくりしたのよ」


リザは就寝用の部屋着。白いローブを身にまとっていた。マモルはただのジャージ。


「マモル、それ昨日から着てたでしょう?さすがに着替えた方が…って言っても着替えはない、わよね?」


「ああ」


- 言われてみればそうだな。俺もさすがに嫌だぞ。


「うーん、どうしよう。私の服は貸したって着れないわよね。」


「さすがに無理だろ。リザの服なんて着ないし着れないぞ」


「分かってるわよ。そんなこと。けどほんとにどうしよう」


「今日、騎士団の本部へ行く用で王都に行かなきゃだから、そん時に見てくる。」


「マモル…お金あるの?」


「え、…ない」


言われてみればそうだ。マモルは文字通りの無一文。財布は無いしあったとしても日本円の紙幣や硬貨は使えるはずもない。


- 俺、意外とヤバかったのか…


「とりあえず、マモルは王都の騎士団本部に行って用を済ませてきて。あわよくば服が手に入るかも!」


「ねぇだろそんなこと。あわよくばてなんだ。」


「あるかもしれないでしょ!私もその間に何とかしてみるから。とにかくマモルは行ってきて」


マモルは仕方なく王都へ向かった。

森はけっこう複雑な道だが意外にもすんなり出ることができた。


一度見たことあるような道を進む。騎士団本部は王城の次に大きな建造物であるためそこまでたどり着くことは簡単であった。

中へと入る。マモルは中央の受付へ行きユーシアの名前を出して用件を伝えた。間もなくしてユーシアが現れた。


「やぁマモル、一日ぶりだね。よく来てくれた」


「ああ。それで、用って何だ?」


「君をぼくたち王国騎士団の団長に会わせたいんだ」


「団長?何で俺なんかに?」


「ガイアロックの件で、直々にお礼が言いたいんだってさ」


「そうなのか」


「ああ。じゃあ上にいこうか」


マモルとユーシアは左右に二つある大きな階段の内、左を登って上へと進む。上階に上がると奥に伸びた大きなフロアが広がっている。二人は奥へと進む。


「随分と広いな。その割にはなんていうか物が少ない」


「ああ、そうだよ。侵入者や敵と戦いやすくするため

かな?なにせ騎士団だから数は多いわけだし、ラグナもそこそこいるからね」


「隊長たち以外にもラグナはいるのか?」


「まぁね。けど魔法使いとかもいるよ。みんなとても優秀だ」


「魔法は、ラグナの能力に劣るのか?」


「一概には言えないけど、まぁ基本はラグナの能力の方が高度で強力かな。ラグナの能力は魔法と違って本能的なものだから。その人独自の複雑かつ強力な能力で起動も簡単なんだ。生まれ持つものだからね。魔法は使おうと思えば誰でも使えないことはないし」


「ユーシアの能力は、瞬間移動みたいなものだよな」


「…瞬間移動。まぁそうもとれるのかなぼくの能力は

“空白を統べる閃光(ギアフォトン)"

定められた空間の中で瞬間移動、とうか座標の移動ができる。ヘルガに剣を刺した時のは、瞬間的なスピードで刺したというものではなくて刺さる位置の座標に移動させたんだよ。刺しに行くのではなく既に刺された状態にするんだ」


「…なんだか複雑だな。ラグナの能力は」


「そうなんだよ。さっきも言ったがそれがラグナの能力の強み。他にはない特殊性や個性なんだ。」


二人は奥の部屋に着いた。ユーシアが大きな扉をノックして開ける。


「失礼します」


「ユーシアか?」


「はい。団長。リクドウ マモルを連れて来ました」


中には男が一人、二人の向きとは反対の方向を向いて立っていた。


「ごくろうだった」


男は振り返り、こちらに近づいてくる。

銀髪で赤い目をしている。黒と赤の入り混じったコートをみにつけていた。


「やぁ。はじめまして、マモル。私がルガルクロ王国騎士団団長。

フルングニル = クルオゼフ だ。」



そう言って、彼はマモルに向けて手を差し出した。





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