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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第1章】 厄災を呼ぶ妖精少女 篇
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第18話 森の家


目を覚ますと、見知らぬ天井があった。

天井といっても、騎士団の本部の部屋のではない。

木、自然の屋根だ。

ずっと夢を見ていたようだ。

少し遅れて全てを思い出す。


- ここはリザの住んでる家、で、俺は、寝ちまったわけか。


マモルは本部を出た後、王都を出て森に来ていた。ここは森にあるツリーハウスでありリザの家であった。

夜の間戦い、朝地上に出て、騎士団の本部での用もあったために疲れて寝てしまっていたのだ。

要するに昼寝。


- 昼寝とか、いつ以来だよ。


マモルは起き上がりツリーハウスの外へと出てハシゴを降りる。


- リザはどこに行ったんだ、?


マモルは森を見渡すがリザの姿はない。


- まぁ、そのうち戻ってくるだろ。


マモルは素振りを始めた。

久しぶりに普通の生活をしているという気がした。

もっとも、異世界での生活がまず普通ではないのだが。

マモルはすっかり慣れてしまっていた。

しかし結局、この世界に来た理由や何もかも全てが謎のままである。


- そーいや、明日もう一度騎士団本部に来いってユーシアに言われてたんだっけ。


マモルは素振りをやめ、的当な大木に目をつけ打撃を打ち込んでみた。


ドンッッ!!


- おお、意外といける。


監獄にいた間、壁を殴り続けていたように木にパンチを繰り出す。


ドンッッ!!ドンッッ!!ドンッッ!!


「何やってるの!!?」


背後から突然殴られた。頭にパンチをもらう。


「痛ぇな、何すんだいきなり」


「いや私のセリフ!!何やってるの!?森の木を傷つけないで!」


リザであった。


「え、あ、悪い。なんか意外といけんなーて」


「いやいや、いけんなーじゃないわよ。自然にはちゃんと命があるの」


「そりゃあまあそうだろうけど」


「それに感情だってあるのよ?」


「それは俺には分かんねぇよ」


「分かんなくても!殴られて嬉しいわけないんだからしないの!」


「悪かった」


「もうしないって言うなら許すわ」


「…もうしない」


「よろしい」


既に慣れてしまった流れが繰り返される。


「っていうか…俺、なんでリザの家に来てるんだ?騎士団の本部にいたってよかったろ」


「騎士団本部に居座るつもり??肩身がせまい思いをするのはマモルよ。全員が全員マモルを知ってるわけじゃあないし」


「まぁそうだな。居座るっていうか、1日くらいは寝床を確保したいって思ったんだよ」


「そうよね。だからマモルはやっぱり働くべきよ」


リザの唐突な提案にマモルは驚いた。


「働くって…?」


「仕事をするの!それでお金も稼ぐの!食事や家だって必要になるんだし…」


「そりゃあそうだけど」


「マモルさえ良ければ、住む場所が確保できるまではここにいてもらっていいわ」


「…へ、?」


「ここに住んでいいって言ってるのよ」


「リザと、ってことか?」


「なんだかその言い方だと違うような気もするのだけど…。そういうことね。私の家は好きに使ってくれていいわ」


「…けど、こんなとこに住むってのも変わってるよな」


リザの顔がほんの少しだけ曇る。


「……王都に住むわけにもいかないの」


そう答えた。


どことなく、寂しそうな目。表情は完全に悲哀のものだった。それから、恨み、のような感情も含まれているようだった。

いけないことを言ってしまったのだろうか。

マモルはそれ以上は聞かなかった。


ツリーハウスと言っても大木に作られたその家は中々の大きさであり、部屋もいくつか存在した。もはやツリーハウスというよりも樹木に作られた豪華な家。人が二人住む程度なら何の問題もなさそうであった。



「けどよ、」


「もうすぐ日も暮れるわ。夜の森を歩くのは危険よ。大人しく泊まっていくのがいいわ」


「わかったよ」


マモルは闘技場で相対した巨大な熊を思い出した。


- 森にあんなのがいるってんなら、御免だな。



すぐに日が暮れ、森に静けさと闇が立ち込める。

同じ場所とは思えないほど、昼間の明るさや穏やかさは既に森にはなかった。

どこかで野獣の遠吠えのようなのが聞こえた気がした。

マモルが考えていた以上に夜の森というのは危険で恐ろしいらしかった。


リザに調理された夕飯を食べた。主食である恐らくは米と野菜や木の実が煮込まれたスープに白身の魚の蒸し料理。この世界に米があることに感心。スープもちょっとゴロゴロしたポトフだし未知の魚も普通に魚らしく美味しかった。

何というか、この世界は元の世界と通ずるところがあるようだ。ある意味でのカルチャーショック。最初に驚いたのは言語が通じたことであった。


「…どう、かな?美味しい?」


「ああ、普通だな」


「普通て…いいのそれは?」


「ああ、いいぞ」


「それって褒めてる?」


「褒めてんだよ」


「そーなの、?」


「俺のいた世界とそんなに違わないから普通に食えるって言ったんだよ」


「そーなのね、なら味つけの感覚とか全然違っちゃうみたいなことはないのね」


マモルたちは食事を終えて早めに就寝する。

リザに言われた通り、指定された部屋に寝ることになった。とこに着く。あとは身体と意識が寝てしまうのを待つだけだ。


マモルは久々の暖かく柔らかい布団に感動しながら寝入った。





ありふれた日常に感謝してマモルは目を閉じた。



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