第16話 目に余る地上の陽光
不意にユーシアが言った。
「マモル、君に会わせたい人がいる」
「会わせたい人、?」
- 俺を知ってる奴がいるのか?もしくは俺のいた世界のことを知ってる奴。?
同時にエレベーターが止まった。
「ここから出たら詳しいことは話すよ」
4人はエレベーターを降りる。
「ここが最下層、47階」
寂しいところだった。正面に二つの扉、故に二つの部屋があるだけのフロア。
「カリファさん!!いますか!?」
ユーシアが名前を呼ぶと、二つあるうちの一つの部屋から黒いコートを身にまとった女性が出てきた。
マモルはその女性に見覚えがあった。
- この人、俺が王城の地下牢からガイアロックに来るときにいた…
「カリファさん、外までお願いします」
「おーけい。部屋に入ってくれるかしら?」
カリファと呼ばれる女性はそう答えた。マモルは魔女みたいな人だと思って部屋に入った。部屋の中はとても広かった。
スザクがマモルに言う。
「今の人が番人だ」
「ついたぞ」
そしてすぐにユーシアが扉を開ける。そこは長い通路。ガイアロックとは別の建物だった。通路を進み大きな扉を開ける。
眩しい、とマモルは思った。
数週間ぶりに浴びる陽の光。
そこは地上だった。
後ろを振り返るとルガルクロの王城がそびえ立っていた。今自分たちが出てきた建物である。
前には大階段。初めて王城に来たとき騎士が殺され、
マモルがその犯人として捕らえられた場所であった。
- この世界に来て大体二ヶ月くらいか。
マモルがぼんやりとしていると、ユーシア達はマモルに言った。
「ほら、はやくいくぞ騎士団の本部」
「どうせ帰るところもないだろうしな。ラグナにだって会える」
「君なら歓迎だよ」
マモルは言われるがままにユーシア達についていった。
王城から離れ、歩きながらマモルはユーシアに尋ねた。
「俺に会わせたいって、いったい誰なんだ?」
「君が無実だと証言してくれた子だよ」
ユーシアは微笑んで答えた。
「俺を、知ってるのか?」
「知ってるさ」
「そんなやつあんたらくらいしか」
「けど、向こうはお前のこと、恩人だって言ってたぞ」
- 恩人?俺が?誰かと間違えてんのか…?
やがて、騎士団の本部が見えてきた。
おそらく王都で王城の次に大きな建造物。数種類の色の旗が飾らせており、巨大で古風な外観からはギルドを連想させた。
- ここが騎士団の本部か。けっこうデカイな
「おつかれさまです」
「おう、ひさびさだな」
本部の入り口である門の前に騎士が2人。隊長であるアガリオ達と挨拶を交わす。
中へと入る。
「ここが、ルガルクロ王国騎士団本部だ」
中は広く、左右に二つ大きな階段がある。中央には受け付けのような場所が設けられており、多くの騎士がいた。騎士達はそれぞれの制服が異なっていた。数種類ある旗と色やデザインが酷似している。
「ここにはいろんな隊の騎士がいるから、それぞれ所属する隊によって制服とかが違うんだよ。隊は全部で7隊。俺たち以外にあと4人の隊長と、騎士団全体の団長、副団長がいるんだ。」
「全員、ラグナなのか?」 と、マモル。
「ああ、そうだよ」
「まぁ一言でラグナって言ってもいろいろいるからな。別にラグナ自体は珍しくもねーよ。」
「ラグナの中でも、強力な能力者からそうでもないのまでいるからな。」
- そう、なのか。
マモルは個室に案内された。
アガリオ達3人は部屋から退散する。
「今呼んでくるから少し待っててくれ。」
- 呼んでくる?…ああ、会わせたい人ってやつか。
「分かった」
マモルは一人になり、部屋の中を見渡すと一枚の絵が気になった。
それは虹の花の絵だった。
「その絵が気になるのか?」
背後から突然声がして、マモルは驚いて振り返る。
それはアガリオだった。
「その絵は、なんでも先代の王が描いたらしいよ。今の王が王になる時に受け取ったんだとか。まぁ王選が始まれば今の王も変わっちゃうんだけどね。」
「…アガリオか、どうした?」
「いや、少し気になったことがあって。」
「なんだ?」
「マモルがヘルガと戦ったとき、一度ヘルガの攻撃を防いだよね?あれ、どうやったの?」
「え、。?」
「覚えてない?透明な箱みたいなのがいきなり表れたように見えたんだけどね。」
マモルはそれを聞いて思い出した。
「…分からない。俺も、突然で何が起こったのか。」
「そうなのか。…あれは間違いなく異能の類の力だよ。それも、単なる魔法や能力じゃなかった。」
「俺がラグナだって言いたいのか?」
「さぁね。ただ、君がこの世界に来たっていうのは何かの意味があったり、して。…なんてね。」
「俺は人間だよ。」
「そうか。悪かったね。ぼくも出て行くよ。また後でマモル。」
そういってアガリオは部屋を出て行った。
- …俺が、異能の力を?たしかにあれは何かおかしいとは思ったけど…、まさかそんなこと」
ガチャッ と、不意に扉の開く音がした。




