第15話 監獄の番人
ヘルガの腹に突き刺さり貫通した剣。そして、ユーシアはその先に在た。
- 今、一瞬であそこまで移動したのか、?あれは速いとかそういうんじゃなかったぞ。
マモルはそう思った。目で追えなかったのだ。消えて、現れた。そう見えた。
ヘルガは吐血する。そのまま横に倒れた。
「さすがに死にはしないか」
ユーシアはそう言って剣をヘルガから抜いた
「ふざっ…け、んなよ…」
ヘルガは苦痛に悶えながらそう言った。
「…さて、改めてアガリオ、そしてマモル。よくやってくれた。ありがとう。マモルには、本当に申し訳ないことをした。だが君のおかげで奴を捕らえられた。白竜の尻尾の先をかすめるくらいはできたよ。」
と、ユーシア。
「いや、俺はそんな…。戦ってたのはあんたたちだし」
「いや、おまえあのでっけえ熊ぶっ飛ばしたやん。そうとう強ェだろ。」
と、スザク。
公開処刑の時の大熊だろうとマモルは思った。
「マモルは、ラグナを探してたらしいんですよ」
と、アガリオ。
「ラグナを?いったいなんで?」
「マモルはルガルクロ、ってかこの世界とは別の世界から来たらしくて」
「別の、世界、?本当かよ。まずそんなとこがあんのか?」
「にほんって国のちばってところだ。」
「にほん…、ちば…、知らないな。聞いたこともない。」
「なら、どうやって来たんだ?この世界に。」
マモルは答える。
「元の世界で、俺は死んだ。起きたら、この世界に来てたんだ」
「え、?死んだって?」
「本当かよ。死んでここに来たって。あれか?転生ってやつか、?」
「俺にも分からない」
「…嘘をついているとは思えないしなぁ」
「そんで、ラグナなら何か知ってると思ったわけか」
「ああ」
「そうか…悪いが知らないな。きっと騎士団にも知っている者は恐らくいない、と思う」
「だな。聞いたこともねぇよ。おまえを信じてないわけじゃないが、おまえがボケてるとかそういう可能性のが圧倒的に高いと思うぜ」
「…いや、あれは現実だよ。間違いなく」
マモルはそう言った。
- 19年間、ずっと意味も分からずに生きてきたんだ。あれが夢とか妄想とか、あり得ねぇよ。
「…けよ…」
苦痛に悶えながらヘルガは、
「おぼえ、て…おけよ…」
マモルを見ていた。
「おまえは、許さねぇ…俺が、必ず…殺す…」
そう言った。
「元気な野郎だな。土手っ腹に穴空いてるってのによ」
スザクが皮肉を言う。
「そろそろ、ここを出ようか」
と、ユーシア。
スザク。ユーシア。アガリオ。そしてマモルはエレベーターに向かう。中に入り、再び47階のボタンを押すとエレベーターは動き始めた。
「今いたのって、47階だったよな?なんでまた同じところ…。ってかエレベーターも動いてるし」
「それがガイアロックの構造なんだよマモル」
と、アガリオ。
「…まぁ、本当は絶対駄目なんだけどおまえには教えても大丈夫か。」
スザクはそう言った。
「ガイアロックはな。海底にあるんだよ。監獄そのものがな」
「え、海底、!?」
と、マモル。
「闘技場は地上にあったんだけど、?」
「あれは地上にみせて作られてるだけだ。公開処刑のオーディエンスも全て偽モン」
「な、」
「ガイアロックから出る方法はたった一つ、番人の能力に頼るしかない。まぁ囚人が外に出ることはないけどな。そんな奴らはここにはこねぇよ。ここにいる犯罪者はそういうやつが集められてるんだ」
「番人の能力ってのは、?」
「 ‘‘ 正体不明の姿なき門 ” (ツェルガバン) って能力だ。簡単に言えば人間とかを瞬間移動させるやつ。それを使ってガイアロックに行き来ができる」
「あれは瞬間移動とは別物ですけどね」
「うるせーなアガリオ、簡単に言えばって言ったろ」
マモルはあまりに意外な真実に驚いた。
「これ、他の奴に言うなよ絶対」
スザクはマモルにそう言った。
マモルは頷く。
「ああ、そういえば」と、ユーシア。
「自己紹介がまだだった。僕はユーシア。王国騎士団7番隊の隊長だ。こっちのやる気なさそうな男がスザク。一応、3番隊隊長」
「一応ってなんだおまえ。まぁ、そういうことだ。よろしくな」
「ちなみに僕が、隊長の中で一番年下なんだよ?
マモル」
「おまえがしゃしゃり出んじゃねぇ」
スザクがアガリオを蹴りつける。
「痛ァッ!何するんですかスザクさん僕怪我人なんですよ!?」
「おまえが弱いから攻撃食うんだろうが」
「スザクさん遠距離からじゃん基本!あのでかい銃ずるいわぁ。俺は完全に接近型ですもん」
「ユーシアを見てみろ。攻撃くらってないだろ」
「ユーシアさんのもずるい能力じゃないですか。俺はそんな特殊じゃないっすもん!」
「俺はアガリオの轟沈の能力羨ましいけどなぁ」
「ユーシアさん優しいなぁやっぱり」
「要らねぇだろあんな使いにくいの」
「ほーらまたそういうこと言うスザクさん」
マモルは騎士というか、同級生を見ているような気分だった。歳が近いこともあったが、戦っていない彼らはとても絵に描いたような騎士ではなかった。
そんなことを考えていた最中、不意にユーシアが言った。
「そういえばマモル、君に会わせたい人がいる。」




