第14話 騎士参戦
左腕から出血。深手を負いながらもアガリオはヘルガを自身の能力で地面に叩きつけた。
「どーだよ。盗賊さん」
「てめぇ…っ!!」
ヘルガは起き上がる。
「轟沈を食らってもまだ立ち上がるのか。大体、それでみんな終わるんだけど」
「…てめぇの能力は下に向けて放たなきゃ発動しねぇ。ネタが割れれば二度同じ手は食わない」
「お互い様だよそんなの。君は自分から僕に能力を明かした」
互いの能力が知れている状況で、より深手を負っているのはヘルガだ。しかし、これより後の戦闘においては能力のタイプを考慮するとヘルガが圧倒的に有利であった。
「…関係ねぇんだよ。おまえを殺して、そこにいる裏切り者のハンパ野郎も殺せばな!」
ヘルガは距離を置いていたマモルに向け、鋭く形を変えたオーラを放つ。
マモルは咄嗟に避けた。
しかし次々にオーラが飛んでくる。
マモルは何とか避け続ける。
すべてを避けたところで、目の前にはヘルガ。
オーラでの攻撃の間に距離を詰められていた。
- まずい、!!
既に剣は振るわれていた。
マモルは間に合わず右手で剣を止める。
八つ裂き…!!
その時、マモルにだけは見えた。
自身の右手から透明な4つの箱型が出現し、すぐさま
壊れるように消えてしまった。
何が起こったかは分からない。
ヘルガの必中の斬撃は不発に終わった。
「…なっ!」
ヘルガは驚嘆した。
その直後、背後から何かが向かってきた。
気づいたが既に遅かった。
現れた二人組にヘルガは取り押さえられた。手足を拘束されて動けない。
「よし、何とか間に合った。」
「少し遅れたようだがな。」
ヘルガは喚く。
「てめぇら…騎士団か!?ふざけるなよ!!!」
見ると二人組は確かに騎士のようは身なりをしていた。奇襲とはいえ、ヘルガを取り押さえることに成功
した男たち。マモルは只者ではないと悟った。
アガリオが駆け寄る。
「スザクさん、ユーシアさん!応援に来てくれたんですね!」
「おぉアガリオ。よく一人で持ちこたえたな」
「いえ、…マモル、いや、彼も自分で自分の身は守りましたから」
「そうみたいだね」
アガリオと同じくらいかそれ以上の年齢だと思われる二人組み。一人はスザクと呼ばれていた白髪の青年。
目は真っ赤で白髪によってその赤さがより引き立てられていた。
一方、白に近いがやや薄い桃色の長い髪と長い刀身の剣を持っていたのがユーシア。
「邪魔だァッ!!」
腕の拘束を解いたヘルガは剣を振るう。
スザクとユーシアは自身の剣で受けるが、さらに8発の斬撃。手足が自由になったヘルガは2人から距離をとる。
「っと…、なんだ、こういう能力ってことか?」
「そうらしいな。追い打ちか?」
「その類だろうな。一度に複数分攻撃されるとかたしかにキツいな。」
「接近戦でやり合ったらこちらが不利だ。」
2人の騎士はヘルガを捕らえるべく考える。
「身体に攻撃くらうのは気をつけてください。こうなります。」
アガリオは自身の腕を指して言った。
「なるほどな。やっぱり追い打ち。…、8発、か」
「アガリオ、おまえは大人しくしてろよ」
「いっしょに戦いたいっすけどね。まぁ、この場は任せますよ」
スザクとユーシアはヘルガに相対するように立ちはだかる。
- この人たちも、ラグナなのか、?
マモルは後方で見ていた。
スザクとユーシアは顔を見合わせる。そして頷く。互いにやるべきことを理解していた。
ヘルガは剣を構える。
スザクは「ふーーっ、」と息を吐いて剣を鞘に納めた。そして手を前に差し出しヘルガに向ける。
何かを握るように。
ヘルガはさらに身構え、警戒する。
- …何かの能力。いったい何がくる、?
するとスザクの手に大きな銃が出現し、握られた。
リボルバーのようなタイプの、かなり大きい拳銃だ。
スザクは引き金を引く。発射された。
ヘルガは弾に斬りかかるつもりでいたがそれがすぐに不可能になった。
発射されたのは大きな炎、というより熱の塊。
細い一本道のフロア、逃げ場はない。
熱の塊はヘルガを追い詰める。
退くしかないと思われたが、咄嗟にヘルガは斬撃を飛ばすように床に剣を振るった。斬撃は床を走って熱の塊に向かっていく。当然、熱の塊そのものは斬れないが空気が震えてわずかに裂け目が生まれた。ヘルガはその裂け目に向かった。熱の塊をかいくぐった勢いでスザクとユーシアに向かってくる。距離を詰めて一気に決めてしまうつもりだった。
「…おみごとだね」
ユーシアは長い刀身の剣を向ける。
次の瞬間、剣はヘルガの腹に突き刺さり貫通。
ユーシアはその先に在た。




