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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第1章】 厄災を呼ぶ妖精少女 篇
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第11話 暗い底からの離脱


ギィィイィィンンッ!!

ギィィイィィンンッッ!!


今日も起床の鐘が鳴る。

轟音は容赦なく鼓膜を叩きつけ寝入っている者は皆強引に意識を覚醒させられた。

いつものように立ち上がり素振りから入るトレーニングをする。が、しばらくしてマモルはトレーニングを止め、檻を出てフロアを歩き回る。どこかに39階より下のフロアへ行く何らかの手段を探していた。


その間、マモルはそれまでの自分の考えや不信感をアガリオの話を踏まえて考える。


- ガイアロックを最強の監獄として成り立たせる構造とシステム。ラグナが間違いなく関わっている。


マモルはこれまで不思議に思っていた。


- 公開処刑のとき、囚人たちは地上に出ることになる。そのときになんで監獄を出ようとする者がいない?

- わざわざ脱獄を図るよりも、最初から地上にいる状態で逃げる方が遥かに簡単で成功する確率も高い。しかも39階以上の全ての囚人があの場に一気に集まる。

単独でも複数でも逃げやすいに決まっている。

- そして、処刑は一般の人間も観覧することができる。多くの囚人も集まる場に集めるのは危険だしあり得ない。


マモルの立てた仮説はこうだった。


闘技場である地上1階には魔法かラグナの力、異能力の類で外へと出れないようになっている。

触れると爆発する、といったものではなくひかりの壁などの物理と特殊を強制的に遮断するもの。

これによって一般の人間への安全も確保される。

考え自体はシンプルであるが一番の策だと考えられた。

処刑のとき、あつまる囚人は実はせいぜい3〜5階程度の人数のみで残りの囚人は囚人に扮した監獄側の人間。ガイアロックには、マモルが知る限り監獄側の人間は各階の階長と、監獄長、副監獄長。それ以外は知られていないだけでかなりの人数がいる。しかしそれが監獄側の人間だとは判断できない。

と、考えれば処刑のときの闘技場は逃げやすいどころか罠。囚人たちも、具体的には知らないが何らかの細工が施されていることは分かっている。



- あとは、ガイアロック自体の構造だ。


マモルは自分の疑問に対しては大方の予測がついていたが、肝心のガイアロックの構造については分かっていなかった。


ただ一つ確信していたのは、


- 本来行くことのできない39階より下のフロアに行く手段は通常のエレベーターとは別にある。

ヘルガの言う脱獄の手段が一体どんなものか、マモルには想像が出来なかった。



自由時間が終わるまでには檻に戻らなくてはいけない。鍵は時間が来ると勝手に閉まり、また勝手に開くのだ。恐らくは魔法を使っているのだろう。マモルは急いだ。


とうとうマモルは全てのフロアを見尽くした。大人しく自分の檻へ引き返す。


- とくにそれらしいものは見つからなかった。一体どこに、?。


マモルが自分の檻へ戻る途中、


「おい、」と、背後から声をかけられた。

マモルは振り向く。

そこにはヘルガがいた。

マモルは動揺する。

そこにヘルガがいたことではない。

そこにヘルガが来ていたことだ。


- こいつ、一体どこから来た。!?


「例の件、答えは出たか?」


ヘルガはマモルにそう言った。

マモルはアガリオとの約束を思い出し答える。


「…ああ、分かった。俺もアンタといっしょに脱獄する。」


ヘルガは少し意外、といった表情をしたがすぐに

「それはよかった。」と、言った。


マモルは顔には出さないが心中でほっとした。

脱獄についての話しを切り出す。


「なら、俺たちはこれ…、


「待て。」と、マモルが話しを切り出そうとするのを止めるように言った。

マモルは少しだけ驚く。


ヘルガは鋭い目つきでマモルをじっと見つめる。

そしてこう言った。


「もしも、だ。もしもおまえが俺を裏切ったら、俺はおまえを殺す。それが発覚した瞬間にだ。」


ヘルガの殺気をむき出しにしての警告。


マモルにはそれが分かった。


「ああ、分かった。大丈夫だ。」






「…分かった。」


ヘルガは殺気を放つのを止め、静かに答えた。

マモルは空気を変えるようにいった。


「それで、決行はいつだ?」


ヘルガは静かに答える。








「今夜だ。」



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