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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第1章】 厄災を呼ぶ妖精少女 篇
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第10話 水面下よりも地下で



「もう少しここにいてほしいんだ」







「え。?」


マモルは、動揺した。


「昨日の君の公開処刑、あれで事態が動いたんだ。」


「…どういう、ことだ?」


「ふーっ。」と、アガリオは一呼吸おく。


「ガイアロックの39階より下のフロア、あそこにいるのは極めて凶悪で危険な囚人たちだ。その中に一人、騎士団が目をつけている男がいる。

そいつはとあるブラックリストの殺戮集団の一員で、強力な囚人をグループに引き入れるためにあえてガイアロックに収監されたって説がある。

そいつは仲間を集め、脱獄を図っている。

昨日の君の公開処刑で、君のこともおそらくグループに引き入れようとするはずだ。

だからあえてそこで協力的なフリをして情報を聞き出してほしい。」


「協力的なフリをして情報を、か」


「まぁ、本来なら君はもうここにいる必要はないし、かなり危険だ。無理に協力することを強制はできない。」


「…なるほどな」


「まぁ、やるかどうかはきみが決めてくれ。」


「…そいつの、名前ってわかるか?」


「ヘルガって男だ。」


「…ヘルガ、?」


昨晩マモルの所にやって来て脱獄の話を持ちかけた奴だった。


「アガリオ。そいつ、もう俺と話した」


「話したのか!?ヘルガと?」


「あぁ、脱獄の話を持ちかけられた」


「…そうか。もうすでに、動き出しているのか」


アガリオはそう呟いた。


「これはヘルガの脱獄を止めるだけじゃない。奴らグループを壊滅させるのにもつながる。その功績はかなり大きい。マモル、協力してくれ。」


…マモルには、自分の中でずっと引っかかっていた不信感があった。そしてその正体はおそらくヘルガという男に関わりがある。


- ここを出た後にいく当ても無い。どうせラグナに会って話をいろいろ聞くつもりなら、王国騎士団に恩を売っておくのもありだな。


「…分かった」


「ありがとう」


「それと…、」 と、マモル。


「奴は、ガイアロックから脱獄する手段を知ってると言っていた。」


「ガイアロックから脱獄する手段だって、?ガイアロックは絶対に脱獄することはできない。奴は何かを知っているのか?」


「なんで、ガイアロックからは絶対に脱獄できないんだ?」


「…構造だよ。ガイアロックはとても特殊な造りとシステムで成り立っているんだ。」


「…その構造ってのは?」


「それは言えない。ガイアロックは構造が知れれば最強の監獄ではなくなる。知っている人間は数えるほどしかいないんだ。」


「そうか。ラグナの力も、関わっているのか?」


「詳しいことは言えない、けど、まぁ、ラグナがガイアロックの構造に大きく関わっているのは間違いない。僕も全ては知らないんだ。」


マモルは再び考え始めた。

不信感の正体がガイアロックの構造に関わっていることを確信した。


「具体的に、俺はどうすればいい?」


「ヘルガが君に再び接近し脱獄の話を持ちかけてきたらそれを受けるんだ。明確な実行の日時や計画、奴の持っている情報をできる限り聞き出してくれ。」


「奴は俺に、脱獄後に連れていきたいところがある。俺にとって悪い話ではない。と、そう言っていた。」


「それは間違いなく奴らの仲間となる者を求めてるんだ。これで決まりだ。奴は確実にグループの一員としてここに来た」


「その盗賊のグループってのは、そんなにヤバいのか?」


アガリオは頷いて答える。


「最悪だね。"白龍"というグループだ」


「…白龍」


「ルガルクロにいて白龍を知らない人はいないよ。マモルは本当に知らなかったのか。」


「前に言ったろ、俺は日本って国から来たんだ」


「そういえばそうだったね」


アガリオは笑って答えた。



話を終え、アガリオは去っていた。



- 白龍、か。


マモルにとって、懐かしい名前だった。

マモルがまだボクサーとしては青い時代に名を馳せていたアンダーグラウンドのチャンプ。

圧倒的な速さが武器で、ほとんどの試合で攻撃を食らわずに勝利を収めていたことから「 白龍 」と異名がついた。

マモルが成長し絶対王者として君臨するようになる頃には彼はいつのまにから姿を消したていた。



- 懐かしいな。こんなことを思い出すなんて。






マモルはそのまま、いつもの硬い岩の床の上に横たわり、いつものように眠りについた。



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