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朝霧家の日常  作者: ピルリンガ
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1-4

時刻は朝。制服姿に着替えた裕人と華が玄関で靴を履いていた。ユリルは見送る形で玄関にいる……のだが、

「それじゃ俺たちは学校に行くけど絶対に来るなよ。もう一度言うぞ。絶対に来るなよ。」

「しつこいわね。行かないよう善処するわ。」

「善処って何!?お留守番しといてくれ!」

「だって暇だもの。私も学校に行きたいわ。」

このように、学校に来る気満々である。

たしかに裕人としても連れていってやりたいという気持ちはある。今のユリルにとって、裕人と華は唯一頼れる人だ。記憶喪失ということで不安もたくさんあるだろう。そんなユリルを1人にさせるなんて……………。

連れていってやってもいい気がしてきた。

「どうしようか………ん?」

ユリルについて考えていると玄関に近づいてくる気配を感じる。玄関を開けてみるとよくお世話になっている運送業者の人がダンボールを持って来るのが見えた。

「おはようございます(っすよ)。」

「おはようございます。朝霧さんのお家でしょうか?」

「そうです。」

「ではこちらにサインをお願いします。」

サインを書いて荷物を受け取る。

「誰からっすか?………うげっ!学園長っすか!」

裕人たちが通う高校の学園長は朝霧ガブリエルと旧知の仲だ。そのため、裕人たちも学園長と関わることも多い。

「とりあえず開けるか………。」

学園長からの届け物(ダンボール)を慣れた手つきで開け中身を確認する。

「……狙ったとしか思えないっすね、学園長」

「……そういえば親父が言ってたな。他にも色々やっとくとかなんとか。」

ダンボールの中身を確認して、周りの大人たちの行動力にため息を吐く。ありがたいといえばありがたいが。

ダンボールの中には1つの手紙と、華と同じデザインで、華より小さめの制服が入っていた。


★★★★★★★★★★


「ユリル・フェミナスよ。よろしく。」

朝早く、裕人と華が在籍する教室に凛とした声が響き渡る。教卓の前に堂々と立っている制服姿のユリル(美少女)の姿に、男子だけでなく女子にも頬を染めている者がいる。ちなみに、右手の方には華からのプレゼントである腕時計をつけている。

「というわけでコミュニーションターイム。何か質問がある人はどんどんユリルさんに聞いてねー。」

「はーい!ユリルちゃんってどこから来たのー?」

三十路前の女性の担任が促すと1人の生徒が質問をする。

「覚えてないわ。記憶喪失ってやつなの。」

「え…?」

ユリルの回答に一瞬呆けるもすぐに気を取り直す少女。

「記憶喪失!?ってことは何?また朝霧くん繋がり?」

「またってなに!?その問題児や珍しい人間が来るたびに俺関連にするのやめろ!」

「違うの?」

「……………………………………。」

同級生の問いかけに視線を逸らす裕人。嘘をつくことが苦手というわけではないが、嘘をつくことに抵抗を持つ男なのである。今回の場合、嘘をついてもすぐバレる理由もあるが。

「は、はいはい!ユリルちゃん!ど、どこに住んでるんですか!!」

1人の男が質問する。同級生の女子に質問する内容としてはアウトな気がするが、裕人繋がりということでそんなものは無視される。

質問の回答を、男子は怯えと怒りの表情を、女子はワクワクしているような表情を見せ待っている。

「裕人の家だけどそれがどうかーー」

「殺せ!!今すぐそいつを殺せ!!」

「囲まれた!?」

質問に答えてる途中に、クラスの男子が裕人を囲む。訓練されたとしか思えない俊敏な動きだ。

「朝霧裕人。貴様は1つ罪を犯した…。俺たちに殺人を行わせるという殺人教唆をな!!」

「いやしてねえし殺すなよ。」

呆れ気味にジト目で突っ込む裕人。もちろんそんなツッコミは無視である。

「うるせぇ!弥生ちゃんや華ちゃんやあのエッロい姉ちゃんだけじゃなくこんな可愛いロリっ子まで侍らせておいて何が「誰がロリっ子ですってぇ!?」イタタタタ!すいません!ロリっ子じゃなくて美しい少女です!ですので肘をそれ以上曲げないでくださいぃぃぃぃ!!」

ユリルのことをロリっ子といた男が腕を曲げられていた。一部の生徒が「ユリルちゃんに触られてなんていい奴…」と聞こえたのは気のせいだろう。ちなみに、話に出た華は「私のために争わないで!」とか言って完全に面白がっている。

「大丈夫か?」

「折れるかと思ったぁ………。ではなく!貴様の人生はここで終わりだ!!全軍突撃ぃ!!」

男の呼びかけに4人の男が同時に攻撃を仕掛ける。それぞれ避け場をなくすように攻撃された見事な連携だ。

「日に日に攻撃速度も上がってきてんなお前ら…。」

疲れたような声を出しながら全ての攻撃を片手で捌く。技術でいなすのではなく、圧倒的スピードで弾いてるのだ。

「くっ!これでもダメか…!ならお前ら!ジェットストリー「なにやってんのよぉぉ!!!!」ムゥゥゥゥゥゥゥ!?!?!?」

腕を曲げられた男が今度は顔面に蹴りをくらった。ユリルの見事な飛び蹴りだ。そのせいで周りにいた何人かの男子生徒にパンツを見られてしまい、男子生徒は血の涙を流していた。喜びの血の涙と、見られなかった男子生徒の悔しさの血の涙だ。

「い、いきなりなにを……。」

「何をじゃないわよ!何裕人に暴力振るってるのよ!暴力はいけないことなのよ!」

蹴られた男の訴えをユリルは一蹴する。

「え?いやだって朝霧相手だからどうせ怪我しないし………というかユリルちゃんも今俺に飛び蹴りと言う名の暴力をしたよね?」

「正当防衛ってやつよ!」

「助けてくれたことは嬉しいけど違うからな?正当防衛とは言わねえからな?」

ユリルのドヤ顔に突っ込む裕人。自分のためにしてくれたことなのでお礼は言っておく。

「でも今度から蹴りはやめとけ。殴るとか叩くとかにしといた方がいいぞ。」

「?分かったわ。」

理由は分かってないっぽいが、パンツが見えるぞなんて言ったら絶対殴られるので言わなくて済んだことにホッとする。

そんな裕人の目の前に悪戯が大好きな悪魔が登場する。

「ユリルー。ユリルの縞々は可愛かったっすけど今度から止めなくても大丈夫っすよ〜。恒例行事みたいなもんすから。」

「今のが恒例行事?変なのがあるものねぇ………………。って何で縞々って知ってるのよ!!」

「昨日一緒に風呂から出たじゃないすか〜。まあ今さっきの飛び蹴り見た人は何人かいると思うすけど。ねー裕人さん?」

ニヤニヤと笑う華の視線には、冷や汗をだらだらとかき、後ろを向いている裕人の姿が。

「……………なるほど。さっきの蹴りはやめとけっていうのはそういうことなのね。裕人。こっちを見なさい。」

ユリルのいうとおり振り向く。そこには満面の笑みを浮かべた美少女がいた。もちろん目は笑っていない。

「落ち着けユリル。あれは不可抗力だ。見てしまったことは悪いと思うがわざとじゃなくて事故なんだ。だからその振り上げてる腕を下ろへぶしっ!!!」

その日……。

1時間目の授業が終わるまで、裕人の頰にはビンタのあとが残っていた。


★★★★★★★★★★


高級住宅街にあるマンションの屋上に2人組はいた。

「……なるほど。あの女の魔力を感じた。あっち側だ。」

その男は騎士の格好をしていた。銀色の綺麗な鎧、顔全体を覆う兜、腰には剣を下げ、左手に盾を掲げている。

その別の男も同じような格好をしていた。違う点といえば剣の代わりに槍を持っていることだろう。

「分かりました。しかしこの世界はすごいですね。馬車なんかとは比べ物にならないくらい早い乗り物がありますし。文明に関してはボロ負けですね。」

口調からして部下らしき槍の男が返す。

「その点は確かにな……。まあいい。早く済ませるぞ。重要な任務だからな。」

「了解。とは言っても気は乗りませんけどね。上からの命令だからといって年頃の女の子を殺すなんて。」

そして男たちは走り出す。重要な任務のために。


前回の後書きにいつ学園やアクションになるんだとか書いてたらなった。

こうならないようにみんなはプロットを練ろうね!!!

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