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婚約者候補、悪役執事との敵対を決意する

「おい!」

ノエルが席を離れた私にこっそり声をかける。

「おい、あいつが…」

「うん、わかってる」

私は全てを言わせず肯定する。

「お前知ってたのか?」

「気付いたのは最近だよ。」

「だったら言ってくれよ」

「いやぁ、ははは…」

私は笑ってごまかした。

これから起こるはイベント。

私がドラゴンルートに入るかアランルートに入るか決まる重要なイベントだ。

この重要なイベントにいないわけがない。

つまりはそういうことなんだろう。

思い返せば、こう要所要所でポイントを押さえていたしね。

「選んでくれよ?」

「…」

私は否定も肯定もしなかった。

できるはずもなかった。


目的地に着いた。

青い空!

青い海!!

輝く太陽!!!

来たぞ、リゾート!

もう、海辺のコテージ見た瞬間イベント問題頭からふっとんだ!

だって、砂浜白いんだよ!

海の透明度高いんだよ!

風が気持ちいんだよ!

うわー、色々な問題がなければもっと楽しく過ごせるのに!!!

「喜んでくれて何よりだよ!

ここはプライベートビーチだから関係者以外いないから思いっきり羽を伸ばせるよ」

「わー、ありがとう!」

「いや…喜んでもらえたようで…」

何故かアランに視線を外される。

笑顔でお礼を言ったつもりだったけど悪役顔だから怖かったのかな?

「お嬢様、荷物をお運びします。」

石竜子が私のトランクをコテージへ運びいれようとする。

「あ、部屋に案内するよ」

アランが石竜子を先導する。

珍しいツーショットだな、と思い見送った。




ガチャリ

アランが私をお嬢様の部屋へ案内する。

中々立派な部屋ではありますが、北帝の所有する別荘では中の下ランクです。

「鍵は君に渡せばいいかな?」

「はい、頂きます」

アランが私に鍵を渡す。

「…で、君がドラゴン?」

おや?

「気づきました?」

ならば、執事として取り繕う必要はないね。

「やっぱりね。だってドラゴンじゃなかったら一介の使用人風情が花を持ってくるなんてあのタイミングで言うわけないもの。」

「使用人、使用人うるさいですね。

私は北帝様より認められた正式な婚約者ですよ。」

「婚約者候補だろ?」

「貴方とは違います。私が婚約者です。」

どう違うかって?

お前がいなければとっくにお嬢様は私のものだったってわからないのか?

「お嬢様が明確に貴方を選ばない限り私がお嬢様の夫になれるんです。

いい加減、私達の邪魔するのやめて頂きたい」

そう言って止める訳がないし、アランがいなければ私が成り立たないのも分かっている。

でも邪魔なものは邪魔。

いっそ…いや、ダメだ。

彼は守られている。

「…彼女に花を贈るのは僕だよ。」

「いいえ、私です。」

「彼女に相応しいのは僕だよ。

そう、努力してきた。」

「それは私も同じこと。」

「…」

「…」

私達の視線がぶつかる。

決して相容れぬもの同士。

手に入れる為ならなんでもするという目をお互いしていることだろう。

だか、私に分があるのを彼は知らない。

「…さて、行きましょう。

お嬢様がお待ちです」

「…そうだね」

アランが先に動き私が後を追った。



「あ、戻ってきた。」

私は手を振る。

私達の横には馬が人数分待機している。

「遅い、これから島を見るって話になったんだ。

馬は乗れるだろ?」

ノエルが石竜子に聞き、石竜子は頷く。

車でもいいけど、森に入るから馬の方が勝手がよいのだ。

「良美馬乗れるの?」

「一応ね。」

お嬢様スキルって奴だ。

ひらりと栗毛の馬にまたがり手綱を握る。

うん、ジーンズで来てよかった。

「僕の後ろに乗せたかったな。

ノエル、気を回してよ」

「こいつが自分で乗るってうるさかったんだよ」

「ノエル、こいつではなくお嬢様、もしくは良美様と呼ぶように。」

アランとノエルは二人して白馬に乗る。

どちらも様になるがやはりアラン、お伽話から飛び出てきたかのような王子様ぶりだ。

石竜子はノエルに注意しながら黒毛の馬にまたがる。

本当、この人なんでもこなす。

何者なんだろう?

「じゃあ、案内するぜ。」

ノエルが先頭きって進みだしたのだった。


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