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イベント内容

夏休み。

なんと、心躍る言葉だろう。

高校最後の夏休みに突入した。

今日この日を迎えるにあたりとても努力した。

課題を大量にこなしつつテストでは赤点回避。

そして、遂に!

夏休みを迎えたのだ!

学業においてのみなんの憂いを残さずに!

私はウキウキしながら旅行の準備をしていた。

それを横でノエルが手伝う。

「今回の旅行はイベントだってわかってるよな?」

「まあね。」

私はトランクを開けながら頷く。

「今回のイベントがおそらく最後のルート分岐だ。」

「最後?」

「アランルートに行くかドラゴンルートに行くかを選べる最後のルート分岐。」

「そうなの?これってアランと親密度をあげるものじゃないの?」

「そういう意味合いもあるだろうよ。

でも、お前にとって大事なのはルートを選択する事。いい加減、アランを選べ。

ここでアランを選択しないとドラゴンルートへ強制突入だ。」

ぎくり。

私の心が震える。

私と彼が?

まさかね?

「どうした?」

「いや、なんでもない。」

「そうか?とにかく、これが最後のチャンスだ。

ここで選ばなければ、アランと俺はゲームから退場だ。」

だから。

と、一拍置く

「どうか、選んでやってくれ。

アランはお前の事が本当に好きだ。

絶対、幸せになれる。それは前世でハッピーエンドを迎えた俺が保証する。」

ここでわかったよと笑えばよいのだろうが、なぜかできない。

もしかして私は?

いや、まさかね。

私は曖昧な笑みを浮かべてトランクに荷物を詰め込み続けた。



数日後。

私はプライベートジェットに乗っていた。

向かうは勿論、アランの故郷。

そこに所有する島だ。

どうやら、私のリクエストに応えた結果だそうな。

現在このプライベートジェットには私とアラン以外に二人の人間が乗っている。

一人は我らがサポートキャラクターノエル。

もしかしたらこれが最後のサポートになるかもしれないのだから来るのは当たり前との事。

そして、もう一人は私の専属執事石竜子だ。

何故いるかなんて問うまでもないだろう。

寧ろ役者が揃ったとしか言えない。

「我が家所有の島は綺麗ですよ。」

「波は穏やかだし、泳ぐにはもってこいだ。」

「バーベキューも楽しいよ」

「夜は満天の星が楽しめる。」

アランとノエルがこれから行く場所の説明というか売りというか自慢をする。

「何も北帝所有の別荘地で対応可能のものですね。」

石竜子がしれっとバカにする。

「まあ北帝なら当然か…」

ノエルが呟く。

「あ、でもね、これから行く島にしか生えていない花がある。」

「へえ?」

私が興味を持つ。

「ああ、そういやあったな。なんて言ったか?」

麗月花(れいげっか)

アランが言う。

「美の女神が我が領地の美しさを祝福して贈られた美の象徴。」

アランが言う。

乙女ゲームな設定だな、と思いながら聞く。

「丁度この時期に咲く。」

「確か、夏の間、満月の時だけ咲くんだっけ?」

「そう、僕は見た事ないけどね。」

「ならば、その花、お嬢様にこそ相応しい。」

石竜子が言う。

「何を言うかな?」

私の言葉に石竜子は無表情でさらに言う。

「そこにしか無く、咲く時期すら短い希少性の高い花。そこに美の象徴という付加価値まででつくならば、北帝の姫たるお嬢様にこそ相応しいと思うのは当たり前の事。」

「その通り。」

アランがそこに同意する。

「滞在中満月に当たる日がある。」

ノエルが言う。

「確か3日後。」

「良美、婚約者としてその花を君に捧げるよ」

「ふふふ」

石竜子が笑う。

石竜子が笑った!

声を出して笑った!!

初めて見た…

「何がおかしい?」

アランが気分を害して言う。

「いえ、婚約者としてではなく、婚約者候補としての間違いですよね。

未だ自分の立場をわかってらっしゃらないようで滑稽なだけです」

「間も無く、婚約者だ。

それに使用人が言う言葉ではない。」

「そうですね?使用人が言う言葉ではないですね。ふふふ…

では、お嬢様。」

「な、何…」

腰がひけるのは仕方ないよね?

「私にその花をもってこいとお命じください

お嬢様が望んだものを誰より早くお持ちしましょう。」

言われて私はノエルを見る。

「石竜子、お前まさか…?」

信じられないものを見たと言わんばかりの声をあげる。

そしておもむろに立ち上がり、石竜子の後ろに立とうとして…

すぐさま振り返りノエルを背後に置かないようにする。

「…」

「…」

しばし、見つめ合う。

石竜子の口元が三日月型に歪む。

「あんたが…」

ノエルが大きく深呼吸する。

「ノエル?石竜子?」

この一連の動きになんの意味があるのか不明だ。

「どうした?」

アランもわからないと言った面持ちだ。

「なんでもない。」

「ええ、なんでも」

ノエルと石竜子は離れる。

ノエルは席に座る。

ノエルと私の視線がぶつかる。

ああ、なぜかはわからないが、ノエルも気づいたんだね。

ノエルの口元が僅かに動く。

その通りに、私は言う。

これはイベント。

どうなるかはわからないけど起こさなくてはならないイベントだ。

「石竜子、花を持ってきなさい。」



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