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ノエルの独白

電話を切った。

良美が怪我をした為今日は帰らないという石竜子からの電話だった。

どこの病院にいるのか等聞きたい事は山のようにあったが有無を言わさず、切れてしまった。

ッチ!

これではアランに伝える事ができない。

石竜子によるあからさまな妨害に俺は舌打ちするしかなかった。


俺は部屋で考える。

良美が怪我をする…なんて場面はゲームではなかった。

少なくても自分がたどったアランルートでは。

だが、現実、良美は怪我をして入院中。

俺が辿ってない方法でアランルートに入ろうとしているのか、ゲーム補正とやらか、はたまた、ドラゴンルートに入ろうとしているのか?

驚く程、ゲーム知識が役に立たない事に苛立ちを覚える。

流石、規格外乙女ゲームといったところだ。

プログラムされたゲームでもふとした瞬間にはバッドエンド一歩手前だったりするのだ。

デッドエンドがないだけが唯一の救いだとまで言われていたゲームに生きているのだ。

「ゲーム知識が逆に邪魔している気がする」

俺は独り言をつぶやく。

ゲームではこうだった、ああだった、だからこう動こう、こう回避しようは通じない。

前世のような一寸先の未来もわからないようなつもりで生きなければならないのは、薄々分かるが、時折、自分が知るゲームイベントが起きたりして俺を混乱させる。


このゲームには好感度がわかるパラメータがない。

これがゲームの難易度をぐいぐいあげている。

だが、ゲーム途中で時折好感度を確認できるミニイベントがある。

坂上香織が匠ルートに入った時に起こるクラス委員決めみたいなやつだ。

このミニイベントを上手く使えばルート状況の確認ができる。

最近では無理矢理起こしたバレンタインイベント。

チョコをあげて好感度を上げるだけでなく、現時点での好感度の高低を何個チョコを食べるかで確認できるのだ。

あれを見る限り、アランの良美に対する好感度はマックスと言っていいが俺が仕組まなければ、そもそもチョコを送らなかっただろうという点から良美のアランに対する好感度は低いだろう。

ドラゴンにはあげてない…というか、会えてないのだからアラン有利なのが唯一の救いか?

一番好感度が高いチョコの食べさせあいイベントがおこるのがベストだったのだが…。

まあ、起こるはずもなかった。

つまり、バレンタインイベントを踏まえると良美はアランルートに入ってないのだ。



そろそろ夏になる。

本格的な夏になる前にルートに入らなければアランルートの芽はないと言っていい。

だが、それはドラゴンルートも同じ事。

このままではバッドエンド一択だ。

どんなエンディングなのかは知らないが、バッドなのだからろくなものではないだろう。

アランが悲しむのは勿論、良美が不幸になるのも俺は嫌だ。


良美の為に、アランの為にできること。

ゲームから離れて。

それは勇気がいる。

ゲームでは出てこなくなったキャラが、どこで何しているかなんて考えなくてもよかったが、ここは現実。

考えなければ負けな気がする。

ドラゴンの行方と良美がドラゴンルートに入っているか否かの確認。

見えないから無いではダメ。

見えないなら見に行く必要がある。

ヒントは何も無いに等しいけれど。

やるしかない。

大丈夫。

大丈夫。

「まずはホテルに行くか。」

アランと同じホテルに泊まっている。

それは良美の父親が言っていたから事実だろう。

見張っていればそれらしき人物がいるかもしれないし…。

俺は外出する事にした。

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