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ゲーム補正?もしかしたら…

眠っても眠っても疲れがとれない。

起きろと声が聞こえる。

嫌だ、このまま惰眠を貪りたい。


どす。


額の上に何かが落ちてきた。

さすがに目が覚めた。

開けた目に映るのは…

「ノエル!」

ノエルが私の額の上に鞄を置いたのだ。

「起きろ!」

「今日はお休みだよー。このまま寝たい。」

「宿題は?課題は?」

言われてまだ終わってない事を思い出す。

もぞもぞ起きる。

「てか、石竜子は?」

「休暇です。」

「あの人、休暇なんてとるの!?」

てか、取得可能な職場だったんだ!

24時間365日文字通り離れた事がなかったので驚きだ。

「とりましたよ。俺が入ったからか、結構ちょくちょくとってるぜ?」

「そうなの!?」

「細切れでとってるみたいだけどな。」

主に私が学校に行ってる間、会社に行ってる間等の空き時間を休暇に当てているらしい。

へー。

何してんだろ〜。

今度聞いてみよう。

「で、起きろ」

改めてノエルに言わらる。

「はいはい。」

額を抑えながら私は起きる。

「疲れてる?」

「うん。」

私は素直に頷く。

「アランに癒してもらう?」

「逆に疲れる」

私は即却下したらノエルは顔をしかめる。

「アランは癒し系だろ?」

「美形が近くにいるだけで緊張する。」

「お前も充分美形の粋だろ?」

「は?何?朝から何言ってんの?」

痩せた。

髪質も改善され、似合う髪型がわかってきた。

ベースメイクが様になってきた。

でも、美形か?

私が?

アランと同等とかありえねー。

「前から思ってたんだけど、なんでそんな卑屈なの?」

ノエルは心底不思議そうにとう。

「お前、ゲーム上の良美とは似つかない姿になったじゃん。

彼女を醜いと言わせていたポイントは全て解消したじゃん?

なのに、まだダメなの?」

そう、全て解消した。

でも、足りない。

何が足りないのかも最近わからない。

ただ、綺麗、可愛いと言われても、

所詮お世辞だとの意識が強い。

だって、何かが足りないって私自身が思っているから。

この前テレビでダイエット番組を見た。

太った女性がダイエットに励むのを密着取材していた。時にリバウンドし、時に停滞し、弱音を吐きして頑張る様に涙した。

そして、目標体重に達した彼女は己に自信を持ちキラキラしていた。

私も似たような体験をした。

目標体重に達した。

でも、何故か彼女のように自信は持てなかった。

彼女と私の違いってなんだろう?

私は頭を振った。

「わからないけど、なんかダメなの。」

「ふーん、なんかトラウマでもあるのかね?」

そんなものあるのか?

ないな。

なんにもない。

「ゲームでは何か出てきた?」

「いや?出てきてたら聞かない。」

だよね。

「ゲームといえばさ。」

「うん?」

「俺が知ってるゲーム上の進行とは全然違うんだよな。

なにがいけないのか考えたんだよ。」

「ほう?」

「お前が勝手に綺麗になったのがまずかったんじゃね?」

「え?私!?私がいけないの?」

まさかのダメ出しだ。

「元々はアランと初対面時には醜いままの良美なはずだったんだ。故に卑屈になる良美をアランが支え、綺麗になっていくってのがアランルートの大体の流れってのを前に話したかと思う。

でも、その流れに乗れないよな。」

認めはしないが、確かに支えはいらない。

「代わりが、お前が抱えてる問題なのかなとも思ったんだ。」

「ゲーム補正?」

「なんだ、それ?」

「キャラクターがどんな動きをしても、ゲームのシナリオ通りになるよう大いなる力が働く事を言うのよ。」

ここでは綺麗になるために支えるが、会社や学校で起こる問題解決の為支えるに代わるって事だ。

「ふーん、それならいいんだ。

ゲーム補正でもアランルートに入ってくれれば、俺達は幸せになれる。」

ここで、ノエルは一息つく

「でも、違う可能性もあるだろ?」

「違う可能性?」

「そう、ゲームのシナリオ通りに俺達はちゃんと動いている可能性。」

「どういうこと?」

「アランルートに入ってない可能性。」

「…てことは?」

「ドラゴンルートに入ってる可能性もある」

「まっ…」

さか!

「いやいや、ドラゴンとはパーティー以来会ってないよ。どうやってはいるの?」

それに、私は去年からビューティ計画を発動していたのだ。

そんな前から私はドラゴンルートに入る布石を打っていた事になる。

会った事ない人のルートに入る為に私はビューティ計画を発動させた訳ではない…って?

「あれ?そういや私、恋をする為にダイエットしようって思ったんだ。」

「は?」

「振られて、前世の記憶を思い出して、それで次こそは素敵な恋をしよう、私だけの愛を見つけようって…だから、ゲーム上ではモブになりたかったんだ。」

ゲーム上ではモブになる。

ゲームには関わらない。

そして、私だけの物語を紡ぐ。

ところが、ヒロインと友達になった事でそう、うまくはいかなくて。

攻略対象の知り合いも増えていくし。

極め付けは自分がゲームの主人公。

一体私はなにしてんだか。

綺麗になろうって思った瞬間から誰かと恋に落ちる事が決定されていて、アランルートとは違う流れを踏んでいるなら、私はドラゴンルートにあの時から入っていたのかもしれない。

未だ見ぬ彼に恋する為に。


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