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後輩ちゃんの過去

「まあ、座りなよ。」

私は努めて笑顔で語りかける。

三人は何故か震えてる。

あれー?私、いじめてないのになんでだろー?

「で、事情説明してもらいましょうか?」

言われて三人はバラバラに話し始める。

なんのかんのと話をまとめてみると。


私が通うこの高校は幼稚園から大学までのエスカレーター式の私立高校。私は幼稚園から通っている完全内部生。対して、彼女…小松さんは中学までは別の学校に通っていた外部生。

彼女は中学まで聖マニアンヌ女学院に通っていたが、そこでお金持ちのお嬢様に虐められていたとの事。

イジメが原因で我が高校に外部受験してきたら、中学時代のトラウマを思い起こされるお嬢様…つまり私がいた。

で、やられる前にやっちまえという事で、私に喧嘩売ったと。

彼女の中ではお嬢様という生き物は等しくイジメをするものと認識しており、自分は正しい事をしていると信じて疑ってないとのこと。

…なんて、タチが悪い。

私はため息をつく。

イジメが原因なんて知ったら、無碍にできないじゃないか。

なんなら、私の排除に動く事で心が安定するなら少しぐらい我慢してもいい。

所詮、私の悪い噂は一年のみ信じていて上の学年は全く気にしていないから。

大丈夫。我慢できる。

私は、小松さんの事はひとまず置いておく事にした。


「…と、いう事がわかったのよ。」

「なるほど。しかし、彼女は何故いじめられたのでしょうね?」

石竜子が言う。

「可愛いからじゃない?」

女は嫉妬で動く。

小松さんはとても可愛いからきっとそうに違いない。

「念のため、調べておきます。」

「必要ないわ。」

「ですが…。

「人の心の傷を抉るような事したくないの。」

「そうですか。ですが、お嬢様が我慢する必要もないかと。」

「我慢なんて大したことじゃないわよ。卒業まで一年もないし。」

私は笑う。

そう、本当に大した事ではない。

「我慢はひとつの手でしょう。ですが、最良とは言い難いかと。」

私は眉をひそめる

「どういうこと?」

「そこは自分で考えるべきかと。」

石竜子は無表情で言った。




「…って石竜子は言うんだけど、そうかな?」

休日にアランが自宅に遊びにきた。

応接室でアランに聞いてみる。

「そうだね。そんな見ず知らずの子の為に良美が心労を患う必要はないと思う。」

「心労というほどじゃないんだけど…」

「良美は気づいてないのかな?」

アランは可愛らしく小首を傾げる。

「僕の可愛いお姫様は進級してから、眉間に皺よせてばかりになっているよ。」

なんだって!?

私は慌てて眉間を指でなぞる。

「大丈夫って言ってるけど、言うほど大丈夫じゃないと思う。他の解決方法を考えるべきじゃないかな?」

「…でも、他の方法なんて思いつかない。」

「良美は嫌なのかもしれないけど、彼女の中学時代を調べた方がいいよ。彼女が何故いじめられたのか、根本的な事をスルーしたら、またいつか同じ過ちを彼女は繰り返すかもよ。」

「あ!」

それは考えてなかった。

仮に私が我慢して一年乗り切っても、またいつかどこかでトラウマを思い起こされるお嬢様に出会ったら。そのお嬢様にも同じ事をするのはまずい気がする。そのお嬢様が私同様我慢するとは限らない。喧嘩を買った時、小松さんはどうなるのか。

「…わかった。調べてみるよ」

私はアランの言葉に頷いた。

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