元悪役令嬢一年を振り返り決意を新たに出来ず
今日は終了式だ。
私が前世の記憶を取り戻して丁度一年経った。
この一年いろいろあった。
匠に振られて、ヒロインと友達になり、ヒロインに彼氏を作り、その合間を縫うように、自分を磨いた。
一年前の自分と今の自分では、中身も見た目もだいぶ違う。
この一年本当に楽しかった。
ずっと続けばいいとさえ思った。
でも、そうもいかない。
ヒロインは、堂本を支えていく為の勉強を開始した。
匠は、英里佳様と親密にしているようだが、このまま関係を進めるなら、それ相応の覚悟が必要になってくると予想される。
そして、私は婚約者選定と同時に北帝として必要な勉強…基本は私の未来の夫が経営するが、私も学ばなくてはならない…を開始した。
語学、経営、経済、歴史、IT…赤点常習犯の私にはかなり辛いがやるしかない。
高校卒業まであと一年。
ゲーム終了まであと一年。
高校卒業式でゲーム終了だ。
ヒロインのストーリーはゴールが見えた。
堂本とのハッピーエンドで間違いないだろう。
前世では見る事の出来なかったエンディングを迎えられそうで、感慨深い。
しかし、重要なのは私だ。
最早、ヒロインに構ってる場合ではない。
自分の今後を見据えてこの一年過ごさなくてはならない。
これからもイベントはあるだろう。
フラグもバンバン立つだろう。
それをノエルは豊富な知識を活用してプレイヤーとして回収しにいくのだろう。
その最もたる例が先月のバレンタインデーだ。
あれは今思い返しても酷い。
私は確かに見た目的にはチョコをあげた事になっているが、心からはあげていない。実質何もあげてないに等しいと思ってる。
あの時、心からチョコをあげたのは攻略対象ではない石竜子だけだった。
それが何を意味し、どう動くのか、私にはわからない。
きっとゲームにないシナリオなんだろう。
ゲームだと、登場人物の心の動きはご都合主義もあり単純だが、現実では違うのだ。
迷って悩んで答えを見つけていくのだが、果たしてその時間があるのだろうか…?
この小説が始まってからそっと立ててた匠フラグの回収がこのままでは難しいとようやく気付きました。匠フラグの回収は別枠で書いていきたいと思います。…いつになるのかな。