悪役令嬢行方をくらます
文化祭が終わって割りかしすぐに修学旅行がある。タイトスケジュールだが、二学期は短い。
何事も駆け足だ。
修学旅行の行き先は京都。
中学生かよ!と思う。
だってうちの高校、結構金持ち率が高いのだ。
海外くらい行かせて欲しい。
しかし、敢えて京都。逆に行ったことない生徒が多いからだ。
かく言う私もハワイやバリには行ったことあっても京都はないので、ちょっと楽しみ。
なお、ヒロインは中学の時に修学旅行で行ったらしく、今回のコースはヒロイン希望のものがそのまま反映されてる。
源氏物語を訪ね歩く…現代風に言うところの聖地巡礼ってやつだ。
センスいいな、ヒロインと思ったら、結構定番コースらしい。奥が深いぞ、京都!
「あー、楽しみだー」
「そんな、楽しみなのって珍しい。」
ヒロインが半ば呆れ気味にいう。
だって、友達と旅行だよ?
夏は邪魔が入ったけど、今回は違う!
最初から最後までじっくりヒロインと楽しめる!
匠は女子3人に押し付けて、私はヒロインと楽しく遊ぶんだ!
石竜子?置いてきたよ!
さすがに、学校行事に連れてはいけないからね。
最後まで抵抗していたけど、黙らせましたよ。
我儘悪役令嬢らしくびしっと言ってやった!
石竜子がいないってだけでのびのびできる!
命の洗濯やー
京都へは新幹線で行く。私とヒロインは隣あって座っていた。匠は女子3人組に押し付けた。私達は久しぶりに二人だけで楽しくおしゃべりをして過ごす。ああ、このまま、楽しく時間が過ぎて修学旅行が終わるんだろうなって心から感じた。
トイレに行きたくなり、席をたったその時までは。
「ちょっとトイレ!」
新幹線が途中駅に止まったタイミングで良美が席を立ち、私は暫し沈黙した。
やっぱ、良美は楽しい奴だ。しかも可愛い。
本人は全く気づいてないけど、最近、クラスの男子が良美をちらちら見てる。それを匠が睨み返して追い払っているのだ。ミスターコン二連覇の男の睨みに勝てる男子この学校にはいない。
暫く、良美には悪い虫なんてつかないだろう。少なくても、匠と私の屍を超えるような男でないと、良美には釣り合わない。
「なあ、香織!」
女子3人組に押し付けていた匠が私に話しかけてきた。
「何?」
良美と仲良しで羨ましいだろう?
文句でも言いに来たか?
「北帝はどこ行った?」
「トイレだよ?」
「一人で?」
「そうよ」
匠は眉をしかめる。
本当、過保護な男だ。良美の執事並だ。
トイレぐらい一人で行かせてあげなよ。
「大丈夫か?」
「子供じゃないんだから、迷子になんてならないわよ」
「北帝は男慣れしてないから…」
ああ、ナンパが心配と。
「大丈夫よ、ナンパになんてついていかないから」
「それにしたって遅くないか?」
言われて気づく。確かに席を立ち15分くらい経つ。でも女の子ってトイレタイムが長いもの。まだまだ許容範囲だ。
「大丈夫でしょ。」
「俺、見てくる」
匠はくるりとトイレに向かう
なぜ、カメラを持っていくのかは怖くて聞けない。
私は匠を見送り景色を眺めながらお茶を飲む。
良美、早く帰ってこないかな?
匠の過保護ぶりを笑ってやりたい。
だが、良美より早く匠が戻ってきた。
「北帝がいないぞ!」
「は?そんな馬鹿な?別のトイレに行ってるんじゃない?」
「あっちに向かったんだよな?」
良美は進行方向のトイレに向かった。
私は頷く。
「あっちにトイレは一箇所しかない。」
と、いうことは他のトイレを使う場合、一度こちらに戻る必要がある。だが、良美は戻ってない。
冷たい汗が流れた。私はお茶をサイドテーブルに置く。
「一緒に、探そう」
私の言葉に匠は頷いた。




