後藤先生は悪役令嬢と高みの見物を決め込む
全力で逃げた。理事長室に鍵かけて立てこもった。
けど、捕獲され、無理矢理服を脱がされ、着せられて。普段適当にくくってる髪をおろされブローされ。化粧までされてしまった。
うう…もうお婿にいけない。
そして、罪人のごとく腕を掴まれミスターコンの会場にきた。まずはミスコン。次がミスターコン。
下馬評だと、去年に引き続き今年も長谷川が優勝との事。俺の大事なセカンドキスが奪われるのか…。泣いていいかな?
ミスコンが開始した。壇上には5人の美女が舞台に登る。…ちょっとまて。
エントリーナンバー4。
あれ、坂上じゃないな。
ついこの間まで惚れた女を見間違える程俺は馬鹿じゃない。あれは…
「雪平君よ」
「北帝!」
いつの間に横にいたのか、北帝が話しかけてくる。
「裏切り者!」
「いやいやいや…実力不足で申し訳ない。
所で…チョーーー似合ってる…プププ」
肩を震わせ北帝が笑う。フザケンナ!!
「俺はこの後、男とちゅーなんだぞ。」
「見ものです!」
清々しい笑顔で言われた。チキショウ。
目の前ではミスコンの選考が進む。
「所でミスコンの王子は誰が務めるんだ?」
北帝ではないと聞いたが…?
「もうすぐわかりますよ」
にやりと笑う北帝は怖かった。
予想通り、坂上雪平が優勝した。
これより、王子がエスコートをする。
…って、あれ?
「なあ、あの横で王子様ルックな奴は…」
お腹が痛い。あの鋭い気配をブンブン振りまいているのは、間違いない。だが…
「おい、あいつはどうやって王子役になったんだ?」
俺は北帝に聞いた。
「え?単純に委員会で萌えについてあつぅく語っただけですよ?」
「雪平込みでか?」
「まっさかー!」
「王子も知ってるのか?」
「まっさかー!」
「ですよね!」
俺は引きつった笑みを浮かべる。
萌えってなんだ、萌えって。聞きたいが聞くと不幸になる気がするので聞けない。
ただ、確実に言える事が一つ。
俺以外にも不幸な奴はいた。
それだけが救いか。
ファンファーレと共に、王子が登場する。
王子のイケメンぶりに凄く会場は盛り上がった。
それと反比例するかのように、坂上雪平が目を見開いた。王子は坂上雪平を見てにこやかに微笑んだ。
「あいつ、気づいてないのか?」
「気づくとおもったんだけどな。」
「俺でも一瞬でわかったんだがな」
俺は王子を見つめる。
坂上雪平はすでに及び腰状態だ。
「今回の王子様を紹介しましょう!こちらはクイーンの恋人、堂本様だ!」
おーーー!
割れんばかりの拍手喝采!
そして、キスコール。
ニヤニヤの堂本王子。
「なあ、種明かしはいつするんだ。」
「キス直後、雪平がビンタしてバレるに一票」
堂本が、坂上雪平の耳元で何事かを囁いた。
腕を引き、腰を抱きよせ、
人前ちゅーきました!!
ばちーーーん
予想通りの一発&坂上雪平はズラをとった!
「!?」
さすがに気づいた堂本王子!
坂上雪平はもう、泣きながら怒ってる!
「おおっと、優勝は坂上香織かと思ったら、飛び入り参加の弟、雪平君でした!雪平君、お姉さんの恋人とキスした感想は!?」
司会が容赦ないツッコミを入れる。
「こ、こ、こいつ!!」
フルフル震えながら堂本を指差す。
「舌いれてきやがった!!」
聞いて、俺は思った。
こらから、俺がする事なんて大したことないな。と…