ハイスペックな攻略対象にだってできませんよ。
部屋に呼んだコックに今後の食事の相談をして今は一休み中。コックはついにお嬢様がやる気に!と喜んでいた。石竜子とは大違いだ。
しかし、専属執事にコックである。良美金持ち設定半端ない。大体この部屋も前世の実家のリビングより広いのだ。キングサイズのベッド、ソファセット、鏡台、本棚、クローゼット、トイレとお風呂もついているのだ、この部屋には。セレブである。そして私に一番近くにいる専属執事は攻略対象ときたもんだ。匠ルートに入ったヒロインを適当にいびってると二人は出会う。だが、石竜子は攻略対象の癖に例外的に金持ちではない。金持ちではないのでヒロインの目に止まる可能性は低いが止まって匠ルートから脱出すると次の行き先は石竜子になる。すわ、愛に生きるのかヒロインと思うが違う。なんとヒロイン石竜子に北帝家の乗っ取りを唆す。ゲスい。ゲスいぞヒロイン。これが上手くいくと私はお金持ちの娘から一般家庭の娘へランクダウンである。が、多分そうはならない。何故なら石竜子ルートでのハッピーエンドは最難関と言われているのだ。その理由はゲーム上では石竜子にはどうやら惚れた女がいると説明されヒロインに振り向かないのだ。この女が誰なのかはゲームでは明らかにされていない。よしんば石竜子を落としても日本どころか世界有数の大企業グループ北帝を乗っ取れる執事などいる訳なく。超無理ゲーなのだ。まぁ、仮に上手くいっても別にいいのだ。前世では一般家庭の娘だった私だから金持ちじゃないと生活できない!とかない。てか、乗っ取り前に素敵な恋人を作って嫁いじゃえば実家がどうなっても私は痛くも痒くもない。両親はどうだか知らんが。
そんな事を考えていると再びノックと共に噂の石竜子が部屋に入ってくる。
「お嬢様、車の準備整いました。」
言われて私は立ち上がる。
今日から春休み。幸い時間はそこそこある。良美ビューティ計画発動なのだ。