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悪役令嬢と悪役執事の情事

どうやら、三人だけでなく、英里佳様も私を探していたらしく、文句をぶーぶー言われた。しかし、それどころではなく、右から左であった。それでも、帰り際、英里佳様が匠に連絡するね!とか言ってるのを聞いた時は驚いた。あの子、男嫌いだから男に自分から連絡とか絶対しなかったのに…やはり、イケメンだからだろうか?匠も頷いているし。並ぶと美男美女だから何の違和感もないわ。内面変態でも。


車で全員を送り届け、家に着いた。部屋でソファに座り込む。

「お疲れですか?」

「まぁね…」

勿論パーティーそのもので疲れた訳じゃない。あの時の…。この先を想像しそうになって首をブンブン振る。

「お嬢様?」

石竜子が私の前で睨みなから声をかける。

「なんでもないわ…」

「…何かありましたね?」

「!」

今度こそ、鮮明に思い出して顔が赤くなる。ちょっと自分がおかしい。

「何がありました?」

「いや、何も?」

私はとぼける。

「ほう?」

石竜子は目を細める。なんか、纏うオーラが冷たい。何かあったと気づいた石竜子をうまく騙せた事はかつて一度もない事を私は思い出した。顔が引きつる。ここで話さないと話すまで口をきいて貰えないのだ。諦めるしかない

「いや、本当に大した事ないのよ?なんか知らない人と話しただけよ?」

「そんな訳ありませんね?」

あっさり嘘を見抜いてくる。

「は、はは….で、ちょっと、その…」

「その?」

「…き、き、キスしただけ…」

「は?」

「え、いや、その…」

石竜子の視線から逃れるように目をそらす。が、くいっと顎を持たれて強制的に視線を直される。

「キス?大した事ない?そんな訳ないでしょう?お嬢様の初めてですよ?それがどこの馬の骨ともわからない輩に奪われたなどあってはならない事です」

「あ。」

言われて私は思い出す。キス、初めてじゃないわ。堂本の一件があったではないか。石竜子には報告してないけど。

「今のあ、はなんですか?今のあ、は?」

「いや、その…」

「今更隠し事しても意味ないですよ?」

「いや、ファーストキスではないなと」

「はい?どういう事です?」

「えーっと…」

「お、じょ、う、さ、ま?」

やばいやばい!マジでキレてる。怖い!

「その…、堂本とした事あったなと…うん!?」

石竜子が私の唇に噛み付くようなキスをした。

「!?」

石竜子が唇を離す。

「堂本?かなり前の話ですね?聞いてないですよ。そんな前にお嬢様の初めてが奪われていたなんて…」

耳元で石竜子の怒りに染まった声を聞く。本能的に逃げなきゃと思うが左手で私の後頭部を押さえつけて私の膝の上に跨ってきたので叶わない。

「今のは堂本の分、そして…」

「う…」

再び唇が重なる。抵抗を試みるが無駄に終わる。

「これは、知らぬ男に奪われた分…そして」

至近距離で囁く。濡れた唇が官能的だ。

三回目のキスが私の唇に押し当てられる。今迄で一番強く長いキスだった。

「これが私の口づけです。他の男の跡を塗り替えただけで満足出来るほど私は我慢強くないのでね。」

「…!」






やはり、調べ始めたか。

男は鼻で笑う。全ては予想通り。でも、そこからは何もでない。

「そういえば、いましたか?」

報告に来た部下に問われ、男は笑みを深める。

「いたよ。僕の天使もいた。」

「いえ、貴方の天使でなくて。」

そこではない、と言わんばかりに言ってくるが無論男もわかってる。

「運よく、接触もできた。でも…」

「?」

「初めて会ったが、そこまで醜いか?」

あの程度、ごろごろいるではないか。必要以上に彼女は貶められているように感じた。

「最近、変わったらしいですよ」

「最近?本当に?」

「ええ、社交界ではかなり噂になってますよ」

男は社交界に顔など滅多にださない。出れる程の地位を持っていないからだ。

「ふーん、でも、それは好都合。」

「と、いうと?」

「彼女はまだまだ綺麗になる。そして、それにいち早く気づいたのは僕だ。今なら男を知らないから簡単に彼女を落とせる。そして、天使も北帝も手に入れ、悪魔を殺す。」

冗談ではなく本気で男は言う。本当に欲しいのは天使だけ。その為には邪魔な悪魔を殺したい。その武器として北帝が必要なだけ。ただそれだけだ。

「大丈夫。うまくやれる」

彼女の初心な反応を思い出して自然と笑みがこぼれる。


一つに纏めていた髪を解いて搔き上げ、男は次の一手を打つタイミングを窺う。

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