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低スペックは足掻きたい

トントン

ノックの音がして一瞬ビクッとする。

「入っていいわよ」

入室の許可とともに入ってきたのは良美専属の執事…石竜子だ。茶色に染められた柔らかい髪は可愛らしいのに男も女も恐く感じる程目つきが悪い。眼鏡の度数が合ってないのではといつも思う。

「お嬢様具合はいかがでしょうか?」

「具合?」

「ええ、昨日帰宅するとともに具合が悪いから部屋に近づくなと仰っておりましたが」

言われて思い出した。本当なら昨日は学校から帰った後バイオリンのレッスンが入っていたがそんな気になれず具合が悪いでサボったのだ。

「ああ、もう大丈夫よ。」

私の言葉に彼は眉間に皺を寄せる。

そしてツカツカと私の前に来て私の目元にそっと触れる。

「泣かれていたのですか?」

「…別に…」

べしっと彼の手を払いのけ素気無く言う。

てか、勝手に触んな、この低スペックな顔に。

「あの男が何かしたのでしょうか?必要ならあの男が新しく契約した携帯電話の番号をお調べしますが。」

おおう?

今こいつしれっとストーカー行為を推奨しましたよ。てか、なんで良美は匠の携帯番号とラインIDを知ってるんだろうとは思っていたがこいつが裏で糸引いてたか。

「必要ないわ」

「しかし、既に彼の携帯は解約されているようですし新しい物を知らなければ日課のモーニングコールができかねますが?」

あれ?もしかして良美のストーカー行為は彼の掌て行われていたのか?いやいや、優秀な執事が気を利かせただけだよね。多分。

「必要ないわ。もう、モーニングコールもしない。」

私の言葉に彼は目を見張る。

そんなに驚きますか。あなたのお嬢様が真っ当な道に進むんですよ。喜んで下さい。

「それより、今何時?」

「朝の7時でございます。」

いつもの起床時刻。

「春休みの予定は全てキャンセルしてちょうだい。」

「何故でしょう?」

「他にやるべき事が出来たのよ」

「やるべき事とは?」

「新しい恋を探す」

「…」

何故に無言?

ああ、この顔で恋とか言ったからか?

「かしこまりました、そのように手配いたします。それで具体的にはどのようにお探しで?旦那様がお持ちの縁談の中からお選びするのですか?」

彼の言葉に顔を横に振る。

「ではどのように?」

「私は花の高校生なのよ?学校でに決まってるでしょう?スクールラブってやつよ!」

「はあ…」

お前無理だろ的な声をだす。失礼なやつだ。

いや、私もわかってる。今のままでは無理だって。

「だからダイエットするわ。」

「なっ!?」

驚きすぎだ。

「後、皮膚科予約しておいて。いい加減にきび治す。」

「いけません!」

間髪入れずらしくない大声をだす石竜子。

「なんでよ」

「旦那様から言いつけです」

言われて思い出した。

良美の父親は娘を溺愛している。非常識なレベルで。このにきびだらけの顔もたるんだ体も父親の言いつけに従った結果だ。父親曰く。虫除け出そうだ。効きすぎだから。てか、その虫と戯れたいんだよ。

「無視するわ。」

「いけません!」

「私はいつまでも親の言うことを聞く子供ではないのよ。私だって綺麗になりたいの。わかるでしょう?」

「…」

何故に無言になる?

にきび治しても痩せても低スペックは低スペックだって思ってる?そりゃあんたはイケメンだものね。攻略対象さん。

「あと、コックを部屋に呼んで頂戴。」

「し、しかし!」

「しかし、何よ?いいから言う通りになさい!」

ヒステリックに叫ぶのは良美がよくやる自己主張だ。思い通りにならないとヒステリーになるお嬢様、それが良美なのだ。

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