バッドエンド2
あくまで不正『疑惑』である。
しかし、テレビでの放送では度々『疑惑』の一文が抜け落ちて報道された。
そもそも報道された最初の疑惑はよくある脱税だった。
この程度、一年通じてテレビを見ていれば、どこかしらの会社が報道されるものであり、追徴金を支払ってお終いである。
しかし、そこは天下の北帝。
ここぞとばかりに北帝の歴史を掘り返してくる。
長い歴史を持つ北帝の初スキャンダル。
皆が嬉々として食らいついた。
叩けばそれなりに埃も出る。
それこそ、関係者全員生きてないくらい昔の話から先日行った私のパーティの支払い額まで。
とにかく連日報道された。
でも、こんなもの、バラエティの延長上程度のスキャンダルでしかない。
没落を呼ぶには弱すぎる。
だが、まるで望まれるかのように事件は唐突に起きる。
覇王死去。
不正疑惑報道後過熱するマスコミ対策に避難目的で入院していた病院でまさかの心臓発作。
還らぬ人となる。
因みに、病院から連絡を貰い、葬儀終了、納棺までしっかり立ち会ったにも関わらず、彼の遺体はついぞ見ることはなかった。
だけど、死に目に会えた事になっていたからちゃんとゲーム補正はきいているらしい。
とにかく、これで報道はさらに過熱。
彼が一人で支えていた北帝が根底から覆っていく。
最初は小さな下請け企業だった。
ここが最初に耐えきれず、倒産する。
すると堰を切ったようように連鎖が始まる。
一度勢いのついた連鎖反応を止める術を持つものはいなかった。
日本経済、世界経済が恐慌状態に陥る。
世界規模の不況が訪れ、後に経済史に名を残す大不況にまで発展する。
無論、私事北帝良美も無傷ではすまない。
最初の不正疑惑報道の時点で手持ちの不動産、動産を可能な限り売り払った。
そのお金を倒産の後始末にどんどん使う。
神のなり損ないが最後に残したバッドエンドの言葉ですぐにピンときて早めに動いたからこそ、お金を捻出できたのは僥倖だったが、私はもう、お嬢様ではなくなった。
そして、ゲーム終了の日。
新聞で号外が出た。
北帝倒産。
これをもってバッドエンドは完成した。
次回最終回予定