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ゲーム終了、シナリオの読み込み開始

私は叫び石竜子の手を振りほどいた。

「良美!」

ヒロインが私を呼び手を取る。

「大丈夫か!?」

ノエルが駆けつける。

「もう、貴方の好き勝手にはさせません!」

アランは石竜子を睨みきっぱりと言い切った。

匠も英里佳様も小松さんも石竜子を睨んでいる。

周囲にいるパーティ参加者も石竜子を遠巻きにしたした。

「お嬢様…私を捨てるのですか?

捨てないでください。

私はまた貴方を殺したくない…」

縋るような泣きそうな声で同情を誘ってくる。

思わずぐっとなるが、隣にいるヒロインが肩を叩き私にしっかりしろと言ってくる。

私が口を開いた瞬間。

「騒々しい」

場が静まった。

私のお父様がその場にやってきたからだ。

「石竜子、なにがあった?」

「そ、それは…」

「言わずとも知っているがな。」

「!?」

「ここではなんだから、場を移すぞ」

「あ、はい。」

私は頷く。

これ以上はパーティ会場でやるような事じゃない。

落ち着いて話せる個室ですべきだ。

だが、お父様は私が思っていた場所ではない所へ私、石竜子、ノエルを連れて行った。


最初、パーティ会場の電源が全ておちたのかと思った。

だが、すぐに違うと思い直す。

それにしてはあまりに暗く足元が不安定だったからだ。

「ここは…?」

瞬きする一瞬でこんな場所に連れてこられ私は慌てる。

私の手を握っていたはずのヒロインも堂本もいない。

ノエルも辺りをキョロキョロ見回していた。

石竜子だけが通常通りだ。

目の前には私達を連れてきたお父様がいる。

「おめでとう。」

「え?」

「ゲームは終わった。」

「え?ゲーム?」

ゲームって…

「え?知ってるよね?ここが乙女ゲームラブ&マネーの世界だって。」

「え?まぁ、え?でも…」

私はノエルを見る。

ノエルと目があった。

次に石竜子を見る。

石竜子はお父様から視線を外さない。

というかこんなに暗いのにお互いの姿はしっかり見える不思議。

「ここにいる3人は知ってるはずなんだけどな?」

「え?えええええ!?」

石竜子を私は見る。

石竜子はノエルを見ていた。

「待ってください。彼は?

聞いてないです。」

ここで漸く石竜子が話す。

「うん、話してないものね。

でも、気づく要素あったよね?

気づかなかった?ダメだね、良美に気を取られすぎ」

石竜子が記憶を探るような表情を見せる。

「ああ…っち。

気付けていれば…」

「もっとやりようがあったね」

ケタケタ笑うお父様。

「ちょ、ちょっとまって!

話が見えない。

一から説明してくれるかな!?」

「うん、いいよ」

お父様は割とあっさり言う。

「ここはどこ?」

「ここはゲームでいう所のリーディング画面。」

リーディング画面?

「そう。ゲームは終わった。

後はシナリオを読み込むだけの作業。

その準備画面さ。

本来は瞬きするほんの一瞬しかないから認識出来ないんだけどね。

ここで話した方が邪魔も入らず、時間経過も気にせず済むからいいかなって招待した。」

「なんでそんな事が?」

ノエルのつぶやきにお父様は笑う。

「まあ、そこはおいおい。

それより、盛大なるネタばらしと華麗なるエンディングへ突入だよ。」

楽しげに言う様は幼い子供のようで覇王とは思えない。

「ふふ。ゲームが終わったからね。

ゲームの縛りから解かれたんだ。

厄介だよね、ゲーム進行中はメインキャラクターしかゲームに介入できないって。

おかげで僕は見てるしかできなかった。」

ほっぺを膨らませて言う。

ちょっと色々理解が追いつかない。

「さて、まずは自己紹介からしようかな。

僕は覇王。良美の父親。

それがこのゲームでの役割。

でも、もう一個役割がある。

覚えてる?ゲームの開始画面のポイントツール」

言われて私は思い出す。

ゲーム開始するボタンを選択するポイントツールがデフォルメされたお父様だった事を。

それだけじゃない。

設定画面でも確か使用されていた。

彼の持つ杖でアイコンを選択するのだ。

決定ボタンを押すと杖でばちっと叩くという訳のわからない仕様だったと記憶している。

「あ、思い出したわ…」

「私も…」

「そう。よかった。

僕はゲームそのもの。設定画面の選択権を持っているから、神様っていってもいいかもね?」

「はっ」

ここで石竜子が笑う。

「何が神様ですか?

すぐにボロがでますよ?

何もかも話すのだとしたら…ね?」

言われてお父様はむぅと唸る。

妙に子供っぽい仕草なのはデフォルメされるキャラクター故なのか?

「まあ…ね。神様だったらこんな所いないものね。」

お父様はため息をつきつつあっさり認める。

「まあ、自己紹介といっても名前はゲームの通り北帝としかでてこないし、ゲーム開始の選択ボタンを押す事と設定を弄れるくらいしかできないから特に言う事もないんだけどね。」

肩をすくめる

「でも、次はたくさん話す事あるよ。」

楽しげに笑う。

見た目はおっさんなのに、子供のようだ。

「前世のお話。

君たち三人随分因縁深いね。

怖い怖い!」

「因縁?」

「そう、まずは…うん、やっぱりこの話から。

…君達が前世と呼ぶ世界で生きていた、とある天才の話から進めようか。」

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