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石竜子断罪2

「お嬢様、まさか、あんな戯言信じたりしないでしょう?」

石竜子がやんわりと横から聞いてくる。

私はアランを見ていた。

見ているだけで、頭の中はそうと認識していない。

ただ、ひたすら考えていた。

犯人はアラン?それとも石竜子?

今迄にあがった証拠はいずれも石竜子が犯人と断定出来る程のものではない。

だけど、全部纏まれば犯人はアランでもないと言ってよいレベルにはなっている気もする。

少なくても北帝を使って調査すべきと結論付けてもよいのではないだろうか?

アランの部屋の指紋調査。

ワンピース及び業者服の入手経路

足跡調査

しっかり調査すれば色々わかるでしょう。

頭の悪い私でもそれくらいの判断は出来る。

なのに何故、石竜子はそうと言わないのだろうか?

いつもの石竜子なら私と同じ判断を下し調査を促すだろう。

なのに、今回に限り彼はただ闇雲にアラン達の言い分を切って捨てろと言う。

明らかにおかしい。

いつもと違う。

それってさ、つまりはさ。

「…石竜子、調べ直したら困るの?」

私は隣を見ずに聞く。

見る勇気がなかったからだ。

「まさか!ですが、彼らの言う証拠なるものはあまり信憑性がなく…」

「それも含めて調査すればいいんじゃない?」

「しかし、お嬢様、まさか、この私をお疑いで…?」

私は隣を見ない。

「お嬢様?」

私は隣を見ない。

「お嬢様!?」

悲痛な叫びと共に私の手を石竜子は引き、抱き寄せる。

石竜子のあいた手が背中にまわり抱きしめられる。

「お嬢様、私にはお嬢様しかいないのですよ?

どうして信じてくださらないのです?」

「ちょっ…と、石竜子!離して!」

「嫌です。今離したら逃げるでしょう?

そして二度と戻ってこないでしょう?」

「良美!」

ヒロインが走り寄り私と石竜子を引き離そうとする。

「良美を離しなさいよ!」

「私に勝手に触れるな!」

ヒロインに怒り任せに叫ぶ石竜子。

ヒロインを突き飛ばす。

「てめえ!」

それに切れた堂本が石竜子に向かっていく。

石竜子に渾身の右ストレートがはいり、私を手放し倒れこむ。

「良美!大丈夫か!?」

「え、あ、うん。でも、石竜子…」

「あいつはどうでもいい!

こっちに来い!」

「だめです!行ってはいけません!」

右頬を押さえながら立ち上がる石竜子。

「ねえ?石竜子。貴方が私を階段から突き落としたの?」

私は聞く。

もっと早く聞けばよかった。

石竜子は私に嘘はつかない。

だから本当の事を言ってくれる。

私はじっと見つめる。

石竜子も私を見つめる。

「…ええ、私ですよ。」

『!?』

皆が息を飲む。

「なんで?」

「お嬢様を私の物にする為に。

アランから遠ざける為に。

途中までうまくいっていたんですけどね?」

ぷっと床に血の混じった唾きを吐く。

石竜子が一歩私に近づく。

私の前に堂本が立ちふさがる。

「お嬢様!私の元に戻って来てください!

でないと…」

一瞬言葉を詰まらせる石竜子。

「でないと、なんだ?」

堂本が問う。

「また、殺してしまいます」

また。

またって言った。

「は?またってなんだよ?」

堂本は問うが答える言葉はない。

私だけが理解出来ればよいのだから。

ああ、やはりか。

彼はアランがいなくなってからよく背中をさするようになった。

彼は知っていたのだ。

私が前世誰かに押されて殺された事を。

そして、その犯人が目の前にいる石竜子だって事なんだろう。

私は取り縋るような目で私を見る石竜子に半ば本能で答えていた。

「絶対いや!」


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