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石竜子断罪

私には不釣り合いな煌びやかな世界。

それが私の為にひらかれたパーティだというのだから笑える。

私は石竜子に寄り添いながら色々な人に挨拶をしていく。

石竜子はいつの間にか北帝の後継者として認知されており皆彼に対して友好的である。

本当、いつの間に?

と、思っていたら私が学校や会社に行ってる間にお父様について挨拶回りをしていたらしい。

凄いなぁ。

私は素直に感心する。

石竜子の愛想笑いを不思議な思いで見つめていると、不意に顔が硬くなる。

「?」

なんだか、少し離れた所を見ている。

私は石竜子の視線を追って…

「!!?」

私の体も硬くなった。

アランがいたからだ。

ううん、アランだけじゃない。

ノエル、ヒロイン、雪平君、英里佳様、匠、堂本、小松さんまで何故かいる。

皆んな私を睨んでいる。

「大丈夫です。」

「…うん」

石竜子を見上げる。

その顔は硬いが私の手をぎゅっとしてくれる。

彼らは私達につかつかと近寄ってきた。

そして対峙する。

よく見ると私を睨んでると思ったが、私ではなく石竜子を睨んでいた。

「石竜子!良美から離れろ!」

アランが会場中に響く声で言う。

その言葉に石竜子は鼻で笑い私の腰を抱く。

「何故?私はお嬢様の婚約者ですよ?

貴方方こそお呼びした覚えがありませんが?」

「ちゃんと招待されてます!」

招待状を掲げて見せてくる。

「ちっ、あの野郎。」

石竜子が珍しく口調を乱す。

どうやらお父様が招待した事を知らなかったようだ。

「で?一体なんのようです?

お嬢様に害を与えておいてよく顔を出せましたね?」

石竜子は私の背中をそっと撫でる。

途端あの日の事を思い出し体が震える。

「それは僕じゃないよ。

やったのは石竜子、君だ。」

えっ!?

私は全く想像してこなかった事を言われて思わず石竜子を見る。

いつもの顔で安心する。

そう、そんな訳ない。

「何を言い出すかと思えば…一体何を根拠にそのような事を?」

「まず、あのワンピース。

あれは僕のホテルのクローゼットの中に勝手に入っていたもので僕のあずかり知らぬ事。

それを入れたのは石竜子、君だ。」

「証拠でも?」

「ホテルの支配人が石竜子、君にマスターキーを渡したと証言した。

これが、その音声データ。」

「!」

録音機からホテル支配人と思われる人物の声が流れてくる。

え?

ちょっと…?

私は隣にいる人が石竜子である事を確認する。

うん、当たり前だけど石竜子だ。

「確かにこの方はマスターキーを私に渡したと証言してますが、実際部屋に入りワンピースを置いたかは別問題でしょう。」

石竜子はいつものように話す。

「ホテルのクローゼットにはワンピース以外にもこの服がありました。」

アランの言葉にノエルが服を出す。

それは男物の服だった。

はて、この服どこかで見たような?

えーっと…

あ。

思い出した。

「それ、会社に出入りしてる業者の制服。」

そこまで言って細部が違う事に気付く。

でも意図的に似せて作ってあるのは確実だ。

「この服に石竜子の指紋が付着していた。」

アランの言葉に小松さんが書類を私に渡してくる。

え?

私に渡すの??

思わず受け取ってしまったので、中身を読む。

…確かに石竜子の指紋が検出されたと出ている。

指紋を確認した施設も信頼出来るところだ。

会社に出入りしている業者によく似た服に付着していた石竜子の指紋。

それ即ち、石竜子がアランのホテルの部屋に不法侵入しクローゼットの中に服を入れた事になる。

ホテル中隈なく探せばもっと石竜子の指紋は見つかるかもしれない。

私は痛む頭を押さえながら階段から落とされた日を思いだす。

私は犯人を見ていない。

私以外の人も犯人を見ていない。

私はずっと犯人は会社の誰かと思っていた。

外部からの侵入者だとはアランが犯人と思うまで想像もしてなかった。

だって、外部犯だったら目立つし。

でも。

これを着ていたら?

多分、そこにいても誰も気に留めない。

ほんの一瞬なら服の細部まで気にならない。

そして、周りに同化するなら異国の人であるアランより石竜子の方が向いているだろう。

私は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。

何故だろう、石竜子の方を向けない。

ヒロインが私を見ている事に気付く。

「さらに、ワンピースに付着していた蹴り跡。

これは僕の蹴り跡ではない。」

「これは俺が武道家として確認した。

アランは蹴りを入れる時、若干つま先が右に寄る癖があるが、この服に付いてる蹴り跡は真っ直ぐだ。」

…確かにワンピースに付着している蹴り跡は真っ直ぐだった。

「石竜子、お前の蹴り跡確認して見るか?

何、100回以上蹴り込めばいいだけだ。

簡単だろう?」

石竜子はニヤリと笑う。

頭に血が通わない。

そんな感じがした。

「良美、僕は良美を階段から突き落としたりしていない。

証拠は集めるだけ集めた。

あとは良美が信じるかどうかだよ。」

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