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最後のパーティ

途中、久しぶりに良美視点

ワンピースに着いた足跡の癖。

ホテル支配人の証言。

用途不明の服に付着した石竜子の指紋。

どれも石竜子が良美を階段から突き落とした犯人と指すには弱かった。

全部足してようやく疑ってみようかなといったレベルだ。

でも、これ以上は素人な俺達には無理だった。

時間もなかった。

あとは出たとこ勝負。

石竜子が口を滑らせればラッキー、最悪良美を階段から突き落とした犯人がアランではないと良美の中で決定されれば良い。

あとは良美の家に行くだけだ。

話が纏まったところで、ここにいる全員に招待状が届いた。

差出人は良美の父親だった。

良美の誕生日パーティへの招待状だった。

もう、そんな時期なのだ。

ああ、ゲームが終わる。

正確日来年の2月1日がゲームの終了日だが、実質この良美の誕生日パーティがラストゲームだ。

ゲームでは多数の招待客が招かれ華やかにパーティはひらかれる。

「ここで、石竜子を断罪しよう。」

俺は言う。

「そうだね。人目がない所で詰め寄っても逃げられてしまう。」

「良美の父親にも石竜子の人間性を見てもらい、婚約者に相応しくないと判断して貰う。」

「必要に応じて警察だ。」

皆口々に言う。

小松さんは招待状を眺めていた。

「小松さんも来るでしょ?」

「え、うん、行くよ。でもさ。」

「?」

「なんで、北帝さんは私達がここにいるって知ってるんだろう。」

「…」

それは北帝の謎だ。

突っ込んだら負けである。



遂に勝負の日が来た。

男はスーツ、女性はドレスを着ていた。

行き先が去年と違って楽しくないパーティだから皆顔が硬い。

「さあ、行くぞ!」



***

「お嬢様、ドレスお似合いです。」

「そう?」

私はどうも納得がいかないので首をかしげる。

アランが犯人と思い始めてから、あっという間に時が経ち私の誕生日になってしまった。

特にダイエットとかしてないのに痩せた私はスレンダーなドレスを着ていた。

石竜子が私の為に仕立ててくれたのだ。

それだけじゃない、ヘッドドレスもネックレスもイヤリングも全て石竜子が私の為に特注した。

化粧もしてくれた。

ここ数ヶ月、石竜子以外の人間の顔を見たいない。

学校にも会社にも行ってないからだ。

石竜子が行く必要ないと言うし、私も行く気がしなかった。

毎日嫌な夢を見て落ち込む事が増えた。

そんな私の側にいてくれたのが誰でもない石竜子だった。

私の我儘も癇癪も鬱状態も全て受け止めてくれた。

きっと石竜子が側にいなかったら私は死んでしまっていただろう。

今の私には石竜子が必要で側にいないと不安で仕方ないのだ。

そんな私の心がわかるのか、石竜子はずっと側にいてくれる。

それにしても、これからパーティだ。

すごく久しぶりに石竜子以外の人間と会う。

「具合が悪くなったらすぐに言って下さい。

私が側におります。」

「ありがとう、石竜子…」

「では、時間です。参りましょう。」

石竜子が私に手を差し出す。

なんの抵抗もなく私は手をのせる。

私は石竜子のエスコートでパーティ会場へと向かったのだった。

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