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コンテスト開始

最初とあるモブ視点

我が学年には我が校始まって以来最も美しいと言われている女の子が二人いる。

一人は一年生の時に転入してきた。

彼女を初めて見た時の衝撃が忘れられないと言う男は僕以外にもたくさんいるに違いない。

芸能人にだって彼女以上の美少女がいないのだから。

彼女は外見だけでなく性格もすこぶる良い。

いつもニコニコ笑っていてマジ天使だ。

彼女以上の美少女なんてこの先見る事はないだろう…

そう思っていた時がありました。


僕の考えをがつんと変える美少女が現れたのだ。


いや、正しくはいたのだ。

彼女は幼稚舎からずっとこの学校に通っていた生粋のお嬢様だ。

家が家なだけあって大変目立つ存在だ。

しかし、彼女を美少女と思ったのは結構最近の話。

どちらかと言うと同情したくなる顔立…天は二物を与えないんだなぁと思わせる顔だった。

なのに今では隠れファンクラブまで存在する、先に述べた美少女と人気を二分する状態だ。

彼女に何があったのか僕は知らない。

けど、二年の半ばくらいからアレと思う変化がおこりあれよあれよと言う間に美少女になっていた。

さながら蛹から蝶が羽化するが如く。

女の子ってすごい…!

と、素直に僕は思ったよ。


さてこの二人同じクラスに在籍していてしかも親友同士。

仲の良い二人を見て周囲はほっこりしているわけだが、そのぶん今回のミスコンの注目度は高い。

普段争う事のない二人が美を競うのだ。

普段から周囲ではどちらが可愛いかで度々ぶつかっていたので甲乙つけるまたのない機会に皆んなワクワクしていたのだ。

因みに僕はお嬢様派。

だって、胸が…ね?

うん、男の子だもん、仕方ない。


だからさ。


お嬢様の水着姿に思わず鼻血だしちゃったのは笑って流して欲しいんだ。


天使と呼ばれお嬢様からはヒロインなんて可愛い渾名で呼ばれる坂上香織。

満面の笑顔で堂々とその姿態を晒して堂々舞台に上がった。

去年は何故か彼女の弟が彼女のふりして壇上に上がっていたが今年は間違いなく本人のようだ。

そこはやっぱり胸で判断しました。

うん、堂々と天使の胸を見れる最後の機会。

堪能しよう。

彼方此方から香織ちゃんコールが聞こえる。

さすが凄い人気だ!


そしてラストは僕の一押し。

お嬢様の中のお嬢様。

北帝良美様。

「ほぅ…」

思わず口から感嘆の息が漏れてしまった。

開いた口が塞がらない。

瞬きなんて勿体無くて出来ない。


舞台に上がった…いや、降臨したのは紛う事なき女神だった。

悪を払う力強い瞳。

ダリアの様な唇。

艶やかな髪。

白い滑らかな肌。

男の本能を掻き立てるその姿。

凛とした立ち姿は美の女神ビーナスと呼ぶに相応しいと僕は思った。


天使か女神か。

このコンテストはこの二人の勝負の為にあると言っていいだろう。


***

「エントリーナンバー4!貴方の笑顔の為ならどんな犯罪も厭わない!我が校に舞い降りた美貌の天使!坂上香織ちゃん!」

ヒロインが先に舞台に上がった。

両手を広げて満面の笑みで舞台を歩く度に会場からは香織ちゃんコールが湧き上がる。

凄い!

凄いよ、ヒロイン!

己に絶対の自信を持つ女性特有の見せ方をしていた。

うう…私にあんなの無理だよ!

私はパーカーを脱ぎながら思う。

あの空気の中本当に行かなくちゃダメなの?

私が行ったら会場のボルテージだだ下がりじゃない?

そんな私のビビリを無視して司会の声が聞こえる。

「それではエントリーナンバー5!

我が校の隠れ美少女!二年連続のミスターコンにて今年もぶっちぎりの優勝候補長谷川匠もその美しさに降った麗しの女王北帝良美様だ!」

隠れってなんだ!?

隠しキャラだからか!?

心の中で思わず突っ込む私。

それでもええいままよ!と舞台に上がった。

瞬間。

会場が静まり返った。

やっ、やっぱり、私なんかがこんな所場違いだよね?

何こいつがいんの?って思ってるんだよね?

調子こいてこんな所きてごめんなさい。

今にも泣きそうだが、ここで泣くわけにはいかないので目に力を込めた。

仮にも北帝の家に生まれた人間なのだ。

例え完全にアゥエーでも背中を丸める訳にはいかない。

しゃんと歩き、引き立て役と承知でヒロインの横に立った。



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