石竜子、アラン、良美
視点がコロコロ変わるので少し読みづらいです。
堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた堕ちた!
私は内心笑いが止まらなかった。
寝ているふりがこんなに難しかった事がかつてあったでしょうか?
これで彼はいなくなる。
でも、彼は納得なんてしないでしょうし、あの見習い執事が邪魔で仕方ない。
私とお嬢様との二人だけの世界で完結しているのですからいらないんですよ。
そろそろ、仕掛けを動かす時ですね。
大丈夫、うまくいく。
そして、邪魔な奴ら全てを排除したら、私とお嬢様二人で生きていくのです。
もう二度と逃さない。
***
納得いかなかった。
いくわけなかった。
本当の彼女を僕が知らない?
そんな事ない。
彼女こそ本当の自分を知らなさすぎる。
自分を弱いと嘆くけど、人間誰しも弱いものだ。
良美はそれを良しとしない強さを持っている。
前向きではないと言うけれど、それでも歩みを止めずに真っ直ぐ進んでいくじゃないか。
弱いというなら僕が支える。
前を向けない時は僕が君の目になる。
歩けない時は僕も一緒に立ち止まる。
必要なら君のために道を作るし、おぶって進むよ。
それでもダメなのかな。
聞くまでもないね。
きっとダメなのだろう。
全ては彼女が自分を正しく知らなさすぎるからだ。
思えば彼女は少し自分を知らなさすぎる。
とても可愛い顔立ちなのに、目つきが悪い事を気にしすぎている。
とても…その、男の視線を惹きつける体をしているのに自信なく隠してしまう。
華やかなものを極端に恐れている。
かつて醜かったというけれど、ここまで綺麗になったのだ。
醜かった事などとっくに過去になり、自信をもって自分を誇ってよいと思う。
なのにしない…と、いうよりできない。
まるで長い間君は醜い、見苦しいと言われ続けたかのような…真実を見る事がないよう洗脳でもされているような…そんな印象を受ける。
そんな彼女に自分を知ってほしいと切に願う。
もしかしたら、真実を見れるように…洗脳が解けたあかつきには…僕のおもいは届くかもしれない。
いや、届く。
少なくても、あの執事では良美を幸せにできるとは思えない。
寧ろ、自分に自信がない事を良いことに閉じ込めて囲ってしまいそうだ。
ダメだダメだ。
彼女には自由に笑顔で毎日を過ごしてほしい。
あの執事ではダメだ!
どうすればいい?
どうすれば、彼女のそばにまだいれる?
…そうだ、彼女の弱点を使おう。
彼女の弱点は優しすぎるところだ。
子供の頃から変わらないその弱点を全力でつこう。
僕は目尻に涙を浮かべる。
大人になってから身につけた嘘泣き。
いや、泣きそうなのは事実か。
溜まった涙を一雫零す。
そして、言った。
***
思わずぎょっとした。
いや、まさかいい歳した大人の男の人が泣くなんて想像つかなかったんだ。
「ちょ、ちょっと!」
私は慌てて言う。
泣き顔が美しすぎて直視するのが難しかしい。
「良美…どうしても…貴方を諦める事ができません。
子供の頃は元より今の良美と過ごした日々はかけがえのない宝です。
それを今すぐ手放せと言われてもできません。」
アランが熱のこもった声で話す。
彼の視線が痛い。
「バレンタインデーに頂いたチョコに一欠片も愛が入ってなかったとは信じられない。
その一欠片の愛を信じてまたチャンスを狙ってもよろしいでしょうか?」
…うっ!
バレンタインデーのチョコ!
まさかここで出てくるとは!
作ってない、渡したとは言い難い。
てか、ごめん、愛は篭ってない。
どうしよう、でもこの場ではそんな事言えない
仕方なく…
私は小さく頷くしかなかったのだった。