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イベント〜アランvs石竜子

ブックマーク件数2000件超!

話数100超!!

ありがとうございます!

イベントまで後1日。

今日は朝から雨だった。

中々強く降っている。

今日は外では遊べないので、室内で過ごす事になった。


私は午前中、読書をしていた。

娯楽小説ではなく、ビジネス書だ。

面白くはないが、今後の自分に必要な知識をくれる本なので暇を見つけて読むようにしている。

私が本を読んでいる間、暇を持て余した石竜子とアランは何を思ったかチェス勝負をする事にしたらしい。

私はチェスなんてルールもしらないが、二人は違うらしい。

二人は向かいあい、チェスボードを挟み対戦する。

私は興味がなかったから読書を続けたが、後からノエルに聞いた所、三回勝負して石竜子が三勝したらしい。

石竜子すごい。

チェス勝負が終わった頃、お昼の時間になったので、食事になった。

作った人はノエル。

ランチ内容は和食だった。

私は和食が好きだ。

でも、外国にいる時は洋食が食べたい派だ。

特にこの洋風のコテージに和食は似合わない。

そう、文句を言ってやろうとノエルを見たら横に座るアランと石竜子が妙にウキウキしていたので黙る事にした。

この二人、和食通らしい。

変な所で気があっている。

食事が終わったので、私も含めてトランプで遊ぶ事になった。

私でも楽しめるゲームという事でババ抜きをする。

ババ抜きは運要素が強いゲームだが、何故か三回やって三回負けた。

最弱とノエルに馬鹿にされて悔しかったので、続けて大貧民をやる。

こちらは三回やって三回とも大富豪で終わった。

金持ちはゲームでも金に愛されるという事だ。

因みに三回中二回は大貧民を争い石竜子とアランがぶつかっていた。

トランプに飽きたのでジェンカをやることにする。

ここで、石竜子が立て続けにジェンカを崩し、苦手分野を晒した。

器用なはずだが、バランス感覚がないのかもしれない。

ジェンカが終わる頃、雨があがり外が暗くなっていたので、日本から持ち込んだ花火をやる事にする。コンビニで売ってるアレだ。

アランは初めてやるらしくテンションがあがっていた。

ノエルがネズミ花火に火をつけて、さりげなく石竜子に仕掛けるが、逆襲にあっていた。

私は線香花火をやったが、結構早い段階で火が落ちてしまいちょっとへこんだ。

ふと、見上げた夜空に一条の光が疾るのを見た。

流れ星。

私は何を願えばよいのだろうか?

気づけば、イベントは明日に迫っていた。




イベント当日。

今日は朝から晴天だった。

昨日の土砂降りが嘘のようだった。

昨日とは打って変わって、アランと石竜子は目を合わせず、ピリピリしていた。

ノエルは空気を読んで二人が同じ空間にいないように上手く調節していた。

石竜子は1日自分の部屋に閉じこもり、アランは近辺を散策して過ごしていた。

私は海辺でのんびり過ごした。

時間はあっという間に過ぎ、日が沈み、夜空に満月が浮かんだ。

夕飯を済ました後、私達は外にでた。

私とノエルより先に外にでていたアランと石竜子は既に馬に跨っていた。

二人共、散歩の時には持っていなかった馬用の鞭を腰に下げていた。

石竜子もアランも所謂乗馬用の服装で纏めていた。

驚く程似合っていて思わず見惚れてしまう。

「二人共、準備はどうだ?」

ノエルが二人に聞く

「大丈夫だよ」

「問題ありません。」

「了解、ルールは簡単。花開いた麗月花を先に良美に持ってきた方がプロポーズする権利を得る。

二人共、怪我しないようにな。」

ノエルの言葉に二人は同時に頷く。

「良美もいいな?」

私は少し躊躇い、結局頷いた。

「じゃあ、二人共前を向いて…用意…スタート!」

『はっ!』

二人は同時に鞭を馬に振るい泉に向かい走っていった。

私はそれをただ見守る事しかできなかった。





私とアランは馬を走らせ泉に向かう。

私は乗馬に自信があったのですが、アランも中々の腕前らしく、お互いの距離が離れない。

内心舌打ちする。

馬の蹄が土を蹴る音と鞭打つ音が夜の森に響き、やがて泉に着く。

「…!」

思わず、目を見張る。

泉に映る無数の星々。

光輝く滝。

そして、何より中央の盛り土部分に咲く一輪の花。

月光を全身に浴びて輝く様は女神の化身のよう。

最も、これは唯の花であり、私にとっての女神はお嬢様唯一人ですが。

一瞬この光景に見惚れてしまったが為にアランが一歩先に花の元へと行ってしまう。

こんな景色如きに遅れをとった自分が許せず、隠す事なく舌打ちし、私も泉へと侵入する。

泉の中では馬は上手く走ってはくれず、先に花を手にしたのはアランだった。

彼と目があった。

彼は笑う。

「先に行くぞ!」

アランは馬を巧みに操り泉から出ようとする。

そうはさせない。

私はアランの側に向かい、アランの横腹に蹴りを叩き込んだ。

迷いなく入れた一撃にアランは落馬する。

落馬と言えば、それはとても危険な事故だ。

落馬が原因で下半身不随になった人が前にニュースにでていた。

無様に落馬したアランはこれが原因で同じ末路…いや、命を落とす可能性もあった。

しかし、それがなんだというのか。

どうせ目撃者はいない。

ここで何が起ころうとも、それは不幸な事故なのだ。

最も、そうはならないのだが。

予想どおり、アランはふらつきながらも無傷で立ち上がる。

そして、私を睨む。

「なにをする!」

「何って、花を奪おうとしたんですよ。」

「だからって…」

「手段は選びませんよ?」

手段を選ぶも選ばないも結果は決まっているのだから。

私は笑う。

彼は死ぬどころかなにをしても怪我等しないとわかっているが、憎くて仕方ないこの気持ちを抑える事は出来ない。

私は鞭を振る。

…アランに。

「!」

アランは間一髪、鞭から逃れる。

映画とかならそのお綺麗な顔に一条の切り傷が出来たりするのですが、そんな事は無く。

続けて私はアランを追いかける。

私は馬上、アランはずぶ濡れで態勢もままならない状態。

どう考えても私が有利に事を運べる。

「アラン!死にたくなければ花を寄越しなさい!」

「誰が!」

アランは全力で断ってくる。

本当に私をイラつかせる奴だ。

一体、どのように動いたのか私にもわからないが、いつの間にか私はアランを滝の裏側に追い詰めていた。

逃げ道はない。

さあ、フィナーレへの第一歩だ。

私は鞭の切っ先をアランに突きつける。

「アラン!花を寄越しなさい!」

「嫌だ!」

「では、そのまま打たれろ!」

私は鞭を振るう。

パシッ

軽い音と共に打たれたのはアランではなく私の方だった。

アランは自分の腰に下げていた鞭で私の鞭を払ったのだ。

私は鞭を取りこぼす。

私は思わず弧を描いて落ちていった鞭を見つめる。

その隙にアランは逃げた。

「待て!」

私は馬を操りアランを追おうとして。

不穏な音を頭上に聞いた。


私は笑う。

私はこの音が何か知っていたから。

私の目には大量の土砂が降ってくる様子が映っていた。

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