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六十一話

 投射された映像は愉快なことになっていた。

 何をどうやったかは知らないが、アルメッテからの援軍はもう到着しているようだ。

 みんな楽しそうだな。

 肉と肉のぶつかり合い。頭に響く爆音に鼻を焦がす匂い。

 たとえ一方的な殲滅であっても、久しぶりの闘争に心が躍る。


「な、なんだこれは…なんだこれは!…なんなんだこいつらは!」


 魔王様もエキサイトしています。

 いや、違うか。

 木の葉のように蹴散らされる魔王軍の姿を、信じられないものを見るような目で見ています。


「あいつら…あんなことが許されるはずが…許されない!」

「なら死ね」


 今度は真正面からアーマーを砕く一撃を入れる。

 さきほど減衰させたので、まだ回復しきってないはずです。正面から全力で当たれば行ける。

 貫けば魔王の首を刈れるように、下から掬い上げるに斧を振るう。

 が、持っていた斧が耐え切れなかった。

 木の柄が砕け散り、無手の私にカウンターの魔術が襲い掛かる。


「ぐっ」


 十数メルふっとばされた。

 口に血の味が広がる。内臓でも傷めたかと思ったが口の中を切っただけだった。

 肋骨も一本がひび入った痛みを訴えてる程度。腕も足も無事だ。

 減衰していたのが功を奏したのだろう。直撃にしてはマシだ。


 ツルハシが何処に行ったか見当たらない。

 武器となりそうなものは、腰の小さなナイフだけ。これで切りかかるのは無理がある。

 魔王の魔術アーマーは健在だが、薄くなっている。


「まずはそれを破壊する」


 バカの一つ覚えのように石礫を撃つ。

 土では相性が悪いため貫通することはできないが、それは風にもいえること。減衰していた魔王のアーマーはすぐ砕け散った。

 さっきの斧が壊れなければ届いただろうに。やっぱ拾った斧じゃだめか。

 拳を構えて魔王に肉薄する。


「なめるなっ!」


 魔王は火の範囲魔術を使用してくるが、予想通りだ。

 接近戦を嫌がる若いゴブリンは、近づく相手を面で押し返そうとする。わかっていれば対処しやすい。

 風圧の魔術を下に使い炎の壁を乗り越え、今度は逆に上に風を起こして急降下、魔王の眼前に立って…また左へと緩く加速後、右へ急加速。

 肋骨が悲鳴を上げて私も悲鳴を上げそうになったが、魔王の視線が無防備に揺れたのを見て左拳を叩き付けた。


「がっ!?」

「もういっちょう!」


 振りぬいた左肩に風爆の魔術を用いての二段撃。魔王といえど脳があるならかなり効いたはず。

 肩が外れてぷらぷらしている左肩が痛むがまだ戦える。


「まだ生きているでしょう。起きろ、起きて戦え。立って戦え。まだ戦え。私と戦え。死ぬまで戦え。お互い生きている限り闘いは終わらないわよ」

「…化け物、化け物共。森の堕落した者が何故私の邪魔をする」

「敵だからよ」


 よろよろと起き上がった魔王はまだ元気そうだ。よろしい。

 血の混じった唾を右手吐いて強く握る。

 たぶん傍から見ればボロボロなのは私の方だろう。それでもどうしようもなく興奮している。

 先ほどの映像を見たときから、近づいている彼の鼓動を感じた。

 今の私の姿を見て、彼は何て褒めてくれるだろうか。

 そう考えてしまい、顔がにやける。



 少し早いが初めての共同作業が魔王殺害とか素敵。

 だから…


「手伝ってくれてもいいのよ。クロービス」


 天窓を完全に砕いて現れた天からの銀の光。

 それは魔王の左腕をもぎ取って地に降り立った。

仕事ががが

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