六話
クロービスとアルメッテ様から語られたオルレア。
オルレアの森。
クロービスと違うコボルトの一族が住む森です。
力こそ他の森より劣りますが、数、大きさで言えば間違いなく一番でしょう。
その森からの反対と聞いて『ああそういうことか』と理解した。
ロザリー様の顔が青い。私と同じ原因に考え至ったのだろう。
「我が子の問題にロカを巻き込むような事はしたくない。が、恥を忍んでお願いする。一時町を出て、ランドルトとカイリーア嬢を探して欲しい」
アルメッテ様とロザリー様の長男。ランドルト・アルメッテ様。
オルレアの長の娘。カイリーアさん。
お二人は、かけ落ちしたのだ。
お二人がどこで、いつから、会っていたのかは良くわかりません。私とクロービスより前なのは確かです。
コボルト族との休戦が決まったきっかけとも言われていますが、いまだ一部がギクシャクしている原因でもあります。
アルメッテ様はお世継ぎであったランドルト様を失っても次男であるルシエール様が居るのですが、オルレアの長に長男は居ません。カイリーアさんだけがお世継ぎであったため、二人がかけ落ちしてしまった事を恨んでいるようです。
それで同じような境遇の私とクロービスの事を良く思ってないのでしょう。
きちんと説得(物理)はしたのですが、それでもダメだったのです。
一族の興廃にかかわる事ですもんねえ…。
◆
「ホットケ。よーつヲ守ラズに森落チシタ奴等ダ」
ですが、クロービスは探す事に難色を示していた。
オーデンバルドは『ヨーツ』の教えを守る事に厳しいようです。
それを破る精神を持つものは唾棄すべき者なのかもしれない。
決して、彼等がかけ落ちしたのが原因で私達の事にまでいちゃもん付けられた事を恨んでいるという個人的感情ではない。
ないと思う。
ないよね?クロービス。
コラ、目逸らすな。それはヨーツに反しているぞ。
「二人を探す事も大事なんだけど、本来の目的は教育を受けに行く事なのよ。」
頭をわしゃわしゃしたり、ブラッシングをしてあげて、クロービスのご機嫌をとりながら話を続ける。
私だってどちらか一つであったなら断っただろう。
「キョーイク?」
「教育。ええと、勉強かな」
「ベンキョウ。修行カ?…イツ戻ッテ来ル?」
「一年くらいかな。それ以上長くならないはず」
そこは私の努力次第。
ああ、でも王国標準語さえままならない私に王国の礼儀作法など勤まるのだろうか。勇気と努力と力でどうにかなるものだと良いのだが。その3つについては私は誰にも負ける気がしません。
魔王が相手でも素手で立ち向かえます。勝敗は別として。
そんな事をつらつらと考えて強気になったり弱きになったりしているとき、クロービスが立ち上がった。首から下げていたアクセサリを外して「モッテケ」と私につき出す。
何か大きな牙が付いている。
「なにこれ?」
「成人ノ儀デ狩ッタ獲物ノ牙ダ。ツガイヲ決メル時ニ女ニ渡ス」
そういえば…。
一年経ったら私は15歳。成人です。つまりこれは…。
「ろかハ俺ノえんぶら」
プロポーズです。
ストーリーは行き当たりばったりぎみで書いているので改定が入る事があるかもしれません。




