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五十六話

「クソっ!」


 尽きる様子の見えない魔族の軍勢に火の魔術を放つ。

 着弾した地点にいる魔族が炎に包まれるのが見えるが、倒れる者は居ない。

 何匹かが火を消すために地面を転げるが、すぐに立ち上がり此方へと向かってくる。


「クソっ!クソっ!」


 ケチが付き始めたのはいつからだろうか。

 アレニウス侯爵家の四男に生まれ、魔術の適性に恵まれ、生まれながらに選ばれた者であったはずだ。

 兄達のような安穏とした生活を蔑み、自らを高める為に魔術を磨き、学院を主席で卒業、そのまま宮廷魔術団に行ってもよかったのだが、新設された女王付近衛へと所属することになった。

 それからだろう。


「クソっ!クソっ!クソっ!」


 近衛とは名ばかり、半分は礼儀も知らない平民の寄せ集め。

 ため息を付きたい心境であったが、その中で私はこの集団を高貴なる自分がまとめる事こそが、自分の使命であると考えた。

 平民に身分の違いを判らせる必要がある。

 そんな時に出合ったのがあの、ロカ・アルメッテである。


 聞いたことも無い男爵の嫡男で、ただ切っただけのような歪な髪をした田舎臭い小僧。

 小さい身体で呆れるような体力バカ。領地では平民のように畑でも耕していたのだろう。

 何度かその山猿に礼儀の一つを教えてやろうとしたが、まったくの無駄であった。


 あれからだ。

 奴に会ってから何もかも上手くいかない。


 屋敷に蟄居を命じられ、それが解かれる前に魔王が攻めてきた。

 何故か最前線の魔術団に組みれられ、沸き続ける魔王軍に魔術を使い続けている。

 私の魔術を使えば一薙ぎにできると思っていた魔物達は、平然と進軍を続け、血の雨を降らせる。

 どこからか飛来した槍が、私の前で魔術を使っていた魔術師の頭を砕き、その欠片を身体に降らせる。


「クヒっ…」


 目の前に立った一体の魔物。

 昔倒したオーガより大きいその身体は、濁った灰色をしていて、髑髏のような顔に赤い目が光っている。

 魔物は先ほど魔術師の頭を砕いた槍を抜き取り、その槍を私に向けて振り上げた。



「………くそぅ」


短め。

文の順番をどうすれば良いかまだ迷い中

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