五十話
頭にある角を此方に向けて突っ込んでくる牛頭の魔物。すれ違いざまに膝にツルハシを打ち込んで動きを封じます。
土煙を上げて転がった牛頭の背中を踏みつけ…
「よいしょっとぉ」
勢い良く首に薪割り斧を振り下ろすと、一度では切れなかったために牛頭が暴れる。
二度、三度同じところに斧を振り下ろし、首が取れたところで牛頭は静かになりました。
無理に首取らないで頭かち割ってればよかったかもしれません。
「ふー…生きている者ーしゅうごー」
周りで行われた戦闘も終わったようだったので、持っていた斧を振り回して部隊を集結させる。
辺りは死屍累々。羽の生えた子供のようなおっさん顔の魔物や、付いて来た帝国兵の死体が転がっている。
「何人?」
「3人持ってかれました。出発時の丁度半分になった計算ですね」
苦悶の表情で目を見開いたままとなった兵士の目を静かに閉じて血を拭う。
半分か。
帝都が目視できる距離まで近づいたところですが、その段階で半分は残ったというべきか少ないと考えるべきか。
進軍経路は帝都への最短距離だったのですが、敵が居ません。
帝国が戦ったという山のような魔王軍はどこに行ったのでしょう?
散発的に襲ってくる魔物はいるのですが、それはむしろ私達を道案内しつつ撤退し辛い状況に追い込んでいる気がします。
「私と勇者を残して撤退すべきですかね」
「お言葉ですが隊長。その三方を抜いて我々のみで撤退する場合、王都まで生き残れる可能性が皆無です。情報の為に戻るのであれば、一度帝都に入ってから全員で撤退するかと」
「もともとこの作戦は賭けみたいなもんでしょ。お偉方も一つでも情報持ち帰って満点、勇者がうまく魔王倒せて奇跡、みたいな感じなんじゃないすか?」
その作戦についてくる彼方達は何なんだと言いたい。
普通は勇者共のように嫌がるだろうに。
「彼等は…なんというかまだ子供です。本来は正規の軍人だって嫌がるような戦場に赴けと言われて嬉々として向かうほうがどうかしています」
「私もまだ子供で女ですが」
「隊長は別もんでしょ。ミノタウロスを易々と屠って喰らうような鬼神の如き姿を見れば、誰も隊長を女だ子供だと侮りませんて」
「失礼ですね!」
話しを聞いていた周りの兵や傭兵達が一斉に笑う。
むう、確かにミノタウロスは魔物なのに美味しかったです。
シンイチとかいう魔王の勇者が炎で焼き払ったところ、大変美味しそうな香りがしたために、焼けたところを少し食べてみたところ、少し固めの肉で淡白ながら噛むほどに濃厚な味わいとなり、塩のみで味付けをするとたまらない美味しさでした。
それからミノタウロスが出ると狩って食べていたのです。
周りの皆さんは引きつっておりましたが。
「それじゃ、最後の大休止にします。その牛を食べたら全員で帝都へ向かうわよ。わかったんだけど素焼きの(ピー)玉が一番美味しいわよ。皆で串焼きにして食べましょ」
そう言ったところ、男性の皆さんはキュっと内股になった。
六十で終わるか怪しくなってきた




