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四十八話

「帝国国境には帝国軍の残存部隊と傭兵隊を配置、後方の町を砦としましたが辺りは難民でいっぱいです。遠からず問題が発生するでしょう」

「神聖王国との国境には我が国の正規兵を配置しました。問題とされていた我が国の教会やディーパ教徒についてですが、今のところ暴動等は発生していないそうです。しかし、状況によってはこちらも問題が発生するでしょう。市民がディーパ教徒を襲うか、その逆かはわかりませんが」


「…ふむ、部隊の展開が追いついたのは僥倖であるが、時間あまり残されていないようだな」


「今のところ魔王軍は数は多いのですが、その大多数がゴブリンやコボルトのような弱兵で構成されております。抑えるのは容易です。といっても、数そのものが十分凶器である上に終わりが見えません。さらに、帝国軍の士気が低いため膠着状態となるかと」

「神聖王国軍は重騎兵ではありますが、今のところ此方を攻める気配はありません。おそらく帝国の時と同じように、魔王軍が雪崩れ込んだタイミングでこちらに攻め込むものと思われます」


「やはり一点突破で魔王へと攻め込むしかないのう…このままでは無駄に消耗戦を強いられて終いじゃ。例の勇者はどうしている?」


「臨時砦にいるそうです。まだ士気を保っている部隊や、傭兵隊と共に突破口を開くための部隊を編成中です」


               ◆


 ランドルト様達を見送ってから約一ヶ月。

 あれから何も変わってません。

 逃げて来た兵に市民で国境沿いがごった返しては治安維持のフィン王国兵が走り回る。

 そんな事してないで早く攻め返したほうがいいと思うんだけど…。

 聞いた話では帝国内に留まったままの兵達は市民を逃がすために残りながら戦っているそうです。

 一転反攻していればその兵達と合流して帝国領の巻き返しくらいはできたんじゃないかな。少なくとも、戦える程度の魔物しか帝国に入ってないようですし。

 それでも最近は国境に来る難民が減ったところを見ると…全員死んだかな?


「いや、それはないだろう。帝都や城塞都市に篭っているか王国の国境へ向かうことが出来ずに落ち延びているか、どちらにせよそう易々と死んではいないさ」


 そうですか。

 篭城は現状の打破とはまったく無関係な気がしますが、それを判っててここで一ヶ月黙ってたのでしょうか。


「…その帝都なんだが逃げ延びた難民から妙な話を聞いてな」


 ふと、一人の帝国兵の方が胡乱げな顔をしたままそう言いました。


「帝都には魔王が入り、落ち着きを取り戻している…と」


 それで難民が減っている…と。

 …それが事実なら難民を全部帝国に帰せばいいのでは?


「国民は上が何であろうと、自分の生活が守られれば文句言わないのでしょう?帝国が魔王国になったとしても問題ないのでは?現に神聖王国は魔王に加担しても難民は発生してないのでしょう?」

「魔物の国に人が住めるわけないだろう!」

「それに神聖王国は裏切り者だとしても、上は人間だろう」


 現在の勢力図からいえばフィン王国のほうが少数派のような気がしますけどね。

 それに、神聖王国って本当に人間ですか?人間だとすると以前考えた通りに国としての今後が立ち行かなくなると思うのですが。

 まあ、魔物は私も嫌いですから反対はしません。あいつら美味しくありませから。


 さて、そんな話しをしているのですが、私は何故かここ、カイリーアさん達と泊まっていた国境の町の臨時指揮所に居て。

 周りには、王国の兵、帝国の兵、傭兵団団長等が居て…


「明日からの反攻戦。切り込み隊の指揮はロカ殿に任せる」



 何故か部隊を率いてます。

 どうしてこうなった。

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