挿話 ある手紙との邂逅・前
「ランドルト、君達の処遇については今は置いておこう。ロカからの手紙にも書いてあったが、中々厄介な状況にあるようだ。現状を聞かせてもらおう」
「はっ」
約二ヶ月をかけて、俺は懐かしのアルメッテに戻ってきた。
入るにあたって、何か咎められるかとも思っていたが、逆に暖かく迎えられた。彼等にとって離れていても家族であり友人であるようだ。ありがたい。
そして今、父の前にいる。
父も何も言わなかった。ロカからの手紙を楽しそうに読み終わったところで先ほどの台詞だ。
王都を出るまで、様々な伝を使って情報を集めるだけ集めていたが、俺がそうすることなどお見通しらしい。
何枚かのメモを取り出しながら淡々と報告を上げていく。
「次に各国の概算兵数です」
敵兵力
魔王軍兵力:現状で10万。全軍になると20万を越えると思われる。
神聖王国軍兵力:4万。全軍聖堂騎士隊。
友軍兵力
帝国軍:王国に逃げ伸びた部隊3万。そのうち半数が戦闘不能。帝国内に残っている兵力は不明。
王国軍兵力:4万。
「ふーむ…アルメッテから出すとすれば600人が限度だろうね」
戦えぬ者と町を守る最低数を引いた人数がアルメッテの兵力になる。この町に軍隊は無いので町人が戦うことになる。
「24万対5万5千と600人…話にならないな」
「まったくです」
溜息一つ、そらを仰ぐ父。それに完全に同意する俺。
思わず二人で噴出した。
「さて、久しぶりの戦に参加するとしても、残る問題は足だ。おそらく、戦端は開かれているころだろう。今から600人が移動したとして…3ヶ月がいいところか?」
もう少し早くつけるだろうが、大局的に違いはない。恐らく着いた頃には王国が無くなっているだろう。
確証は無いが…帰りの道中で思いついた事を確認したい。
「モグラのところなら何かあるかもしれません。彼等の興味を引きそうな物を例の勇者が知っているので、多少の助力なら得ることができると思います」
彼等が陸地を車輪のついた船で帆船で走っているのを一度見たことがある。あれなら平地で高速に、しかも大量輸送が可能だろう。
ああいったものを借りれるかもしれない。
それに町に戻って真直ぐ自宅こと領主館に来たので、まだお使いが残っている。
ロカに渡された三通の残りを届けなくては。
一通はゴブリンのエリシアに。
もう一通は俺と同じく、コボルトの恋人に。




