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四十七話

「炎と土の精霊イフリフタスよ、我と血の盟約に従い、その力示し仇名す者を燃やし尽くせ!”エターナル・フォース・フレイム”」


 黒いのの詠唱から放たれた炎が此方に向かってきます。

 壁爆破したときに炎が使える事は知っていましたが、この乱戦にも炎を使うとは思いませんでした。

 魔法とやらは一種類しか使えないのでしょうか。

 髪が焦げそうなので少し射線から離れよう。


「おおっと、ネエちゃん離れないでくれよ」


 コボルトに気が付かれ、匍匐中の足を掴まれてしまいました。

 死なばもろともですか。本当にコボルトらしくないですね。

 ですが、生きているうちは足掻かせてもらいます。


「あ痛っ アバレんなよ。面白いモンが見れるぜ」


 そういって私の足を持ち上げたまま炎の盾にされました。でも私小さいから盾になりませんよ?

 そうは思いましたが炎の柱は無常にも私とコボルトを包み…ません。私達がいる前で炎が二股に分かれてしまいました。

 なにこれ?


「その髪飾りはファイアドラゴンの逆鱗だゼ。身に着けていればヨウガンだって泳げる」


 ほう、これは牙じゃなく鱗でしたか。

 しかも火が熱くなくなるおまけつき。お風呂が寒くなるな。


「このマテンロウ様でも持ってない逸品だゼ。…今日のところはコレで見逃してヤルヨ。じゃーナ、灰になるなよ」


 ぶちぶちっ私の髪と牙の飾りをコボルトに引っ張られました。

 って!


『待て!っ』


 コボルトがいなくなると炎の柱が閉じた。

 間一髪のところを伏せてやり過ごしたが、背中が少し熱い。

 …クロービスからの髪飾りが無くなったせいで炎を防げなくなったからか。

 …


 ◆


 …

 あれから5日。

 王都に戻った私達は、ランドルト様とジョイルさんがアルメッテに向かう準備に取り掛かり、少し前倒しになりますが本日向かうことになりました。


「山脈の麓の村は私が来る時に廃村になってるだよ。山を登るのならもっと前に準備する必要あるべ」

「それは知らなかった。ジョイルさんの足の事もあるし、山越えは避けるルートにしよう」

「気つけてな。ジョイルさんも、無理せんで。リサさんに会っても自棄おこしちゃ駄目だべよ」

「ありがとう、嬢ちゃん。…パシェール、しばらく帰れなくなるが…お母さんと一緒に帰るからな。…これから王都も酷い事になる。いざという時はランディや騎士に従って王都からも逃げるんだ」

「うん、いってらっしゃい。私は大丈夫だから、絶対にお母さんを連れ帰って、また3人でお店開こう」

「ああ、行ってくる」


 こうして朝靄の漂う中、二人は北へと旅立ちました。


「そういえば、昨日ロカちゃん何してたの?」


 昨日はジョイルさん家にやっかいになっていました。

 店のソファを借りただけですが。


「手紙を書いてただよ」

「誰に?」

「ミック兄ちゃんと、アルメッテ様とクロービス…ええと、リサさんを保護している人と領主様と私の婚約者だべ」

「こ、婚約者?ロカちゃんて婚約者いるの?どんな人?かっこいい?」


 逞しくて、強くて、頼りになって、かっこかわいい人です。

 今は、あわせる顔がありませんがね。


『ロカ…盗られた髪飾りって…』

『ええ、クロービスの成人の儀の獲物です』


 カイリーアさんがそっと目を伏せる。

 いえ、悪いのは私です。

 油断、慢心、なんでもいいですが、招いた結果は私が原因です。

 いろいろうまく行き過ぎていたのかもしれません。

 そのせいで、最近の私は理を軽視していました。


 力こそ正義


 向かう者向かってくる者、全て力で捻じ伏せろ。

 生と死しかない森では次がない。故に、慢心も油断もできない。


 でも

 だから

 もし、次があるのなら…


「ボソギデゼロ グダギドス…」


 私は取り戻す。

 その日まで、私の逆鱗を大事に持っていろよ。


EFBを考えた人は天才だと思う

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