四十二話
フェリクスさんに馬を借りて、私達は爆発の起きたらしい国境に向かっています。
あ、私はカイリーアさんの後ろにひっついてますよ。四本足の馬に乗ったことありませんから。
『先ほどの爆発は魔術ですよね?魔力の収束がおかしくありませんでした?』
「ボボゼザ リント ボ ボドダ ゼ ザバゲ ロカ」
『知らない単語が多いのでうまく説明できないのですよ』
『ちゃんとお勉強しないとダメよ?』
カイリーアさんが先ほどから何故かお姉さんです。
あれか、奥さんと呼んだのが嬉しかったのか、それとも義姉呼びしたのが嬉しかったのか。
まあいいとして、先ほどの爆発。
爆発の音が聞こえた時に大規模な魔力の収束を感じました。
その前には何も無かったんです。
魔力の感知は(私は耳がキーンとする)感じる範囲で魔術を行使した場合例外を除いて即座にわかります。
それと違い爆発や衝撃は距離があると遅れて感じるのです。理由はわかりませんが、以前ルシエール様が難しい説明で教えてくれました。そういうものらしいです。
で、先ほどの爆発。
”魔力を使わずに爆発を起こしてから魔力を収束した”ような感じでした。
『私もそう感じたのよね。でもその魔術…いえ、魔法の使い方をする人達を知ってるわ』
『魔法?』
ってなに?
コボルトの知り合い、なわけないか。感知は得意でも行使は苦手ですからね。
となると
『帝国の勇者とか』
『そう。私を変化させたときに使った魔術らしきものの発動がさっきのと同じなのよ。彼女達はそれを魔法って呼んでいたの』
魔力の収束なしで使用できる力とか、あるのかそんなの。代償が無いなら使い放題だが…うーん。
それよりなんでそんなもんが国境で爆発してるんですか。
勇者なにしてんだ。
◆
帝国国境は高い壁と小さな門、それに櫓のような物が立っているだけでした。
あとは簡便的な砦のような建物。防衛上問題ありませんか、これ。
「防衛時にはさっきの町が拠点となる。ここでは常に帝国を監視する場所でしかない」
ふーん
それであの壁に空いたでっかい穴は戦略上どのような利点があるんですか。
その穴からぞろぞろと入ってくる難民と違う鎧姿の人達。
魔物の進攻には見えませんから神聖王国…なわけないか。
「鎧は帝国兵のものだな」
「トチ狂って攻めてきたんだべか」
「逃げてきたんじゃないかしら?行ってみましょう」
ええ、例の怪しい魔力の収束の件から勇者と撤退した帝国軍でしょう。
それで先ほどの爆発はあの穴空けるためか。
とにかく入ってきた帝国の連中は先頭をフィン王国の兵士に囲まれながらも人数を増やしています。
その先頭で言い争っている黒っぽい人。全身真っ黒です。
あれが勇者とやら?そうですか。でもなんで明後日見てるんですか、カイリーアさんは。
話聞こえるところまで近寄りましょう。
フェリクスさんがいるために近寄る事を止める人はいません。
「…で…あ……して…貴様ら日和見主義者共と違う。俺達は一時の転進を行い反撃のチャンスを窺っているところだ。不服であるが勇者として召喚されたこの身、破壊と混沌の魔王であるぶべらっ」
あの言葉の文法間違ってるかも




