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四十話

 今私は馬車に揺られています。


 帝国敗戦の報を伝えると、ランドルト様は突然天幕を畳む指示を出して傭兵団を移動しはじめました。

 王都ではなく帝国国境に向けて。


「神聖王国の怪しさは結構な数が気づいていた。だから帝国軍の話しの判る奴には、もしもの事態があった場合は王国に撤退をするように言ってあるんだが…まさか魔王軍に付いて攻めてくるとは思わなかったぜ」


 怪しかった…か、私はディーパ教とやらを知らないので何ともいいがたいのですが、そもそもなんで魔王軍に、というか人間の敵にまわったのでしょう。


「怪しい連中ってのは、人間批判している連中がいてな。そいつらによるとディーパ教の聖なる力は魔物を遠ざけ、魔物から襲われることがなくなるが、人間には効かない。だから真の敵は人間だ。って話しだ」


 そりゃまた…人間が言うにはツッコミ所の多い理屈ですね。

 で、実際に襲われないのですか?ディーパ教の力とかは。


「一山いくらの雑魚みたいな魔物ならな。頭良い奴には効かないし、野山の獣にも効かないな」


 ダメじゃん。

 よくそれで信用を得れるな。


「その一山いくらのほうが無駄に多いせい被害が大きいんだよ。それが防げるだけで入信する価値があったんだろう」


 なるほどなー。

 それで、私達が今国境に向かっている理由は?

 できれば余計なことしないでアルメッテに帰って欲しいのですが。


「帝国の勇者が生きているなら助ける。男の方はどうでもいいがヨーコには借りがある」


               ◆


 道すがら聞いてみると、どうやらそのヨーコさんがカイリーアさんを魔術で人間にしたらしい。

 しかし、変わった魔術ですね。ゴブリンでもそんな魔術を使ったという話しは聞いたことありません。

 最近できたとか勇者しか使えないとかあるのかな。

 まあ、そんなことは私が考えても判る分けないのですが、カイリーアさんを人間に変えることができたのなら戻すこともできるのではないでしょうか。

 可能ならば子供生まれた後に戻してもらうように言ってみるか。


「ということで、ランドルト様には一回アルメッテに戻ってほしいべ。子供が産まれたらカイリーアさんともう一度帰るってことで」

「…」

「言いいたかないだが、お二人がお二人の幸せを優先させるんだら、私は私の幸せを優先させてもらうだよ」

「…わかった。俺達のせいでロカが迷惑している部分もあるからそれでいい。ただ、俺が戻るまでカイリーアの傍にいてくれ。世話と護衛が俺がアルメッテに帰る事と引き換えだ」


 それは問題ありませんよ。全身全霊で当たらせて頂きます。



 こうしてランドルト様をアルメッテに戻す事を約束したところで、国境の町に入ったのだが…。

 気の早い事に、帝国国境は逃げてきた難民でいっぱいになっていた。


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