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三十九話

『やめてロカ!私よ、私はカイリーアよ!』


 ふと耳に入った言葉に手が止まる。

 カイリーア?カイリーアさん。

 ランドルト様と一緒にいた人間が何故カイリーアさんと同じ名前を名乗る。

 思考に沈みかけていた私の腹に強烈な一撃を貰った。


 痛い。

 でも、いい目覚ましになった。

 カイリーアさんと同じ名前…って訳じゃなさそうだ。何より私の名前を呼んだ。

 じゃ、なんで人間になっているんだ?

 魔術で形だけ変えているとか。神聖王国や帝国へはこれが目的で?

 子供を作る方法を探すという理由でアルメッテを出たのではなかったっけ?

 …

 コボルトと人間で子供ができないから人間になったってこと!?


「ふっ…っつつ」


 思わず飛び起きた。お腹のダメージがまだ残ってるが立てないほどじゃない。

 周りを見ると倒れた人に殺気立って武器を構える人数人。

 おぼろげな記憶からすると、少々やりすぎたようですね。


『ランドルト様、彼女はオルレアのカイリーアさんですか』

『…そうだ』


 そうですか。

 持っていた鉈をしまうと、ランドルト様も剣を納めました。

 とりあえず…


『ランドルト様、カイリーアさんお久しぶりです。早速ですが現状の説明をお願いします』

『おう、説明する前にぶっぱなされたがな』

『…ロカ』


               ◆


 さて、説明を受けるために傭兵団の天幕まで連行されましたが、周りはまだ殺気立つ人たちでいっぱいです。

 対面にランドルト様とカイリーアさんがいます。

 私の隣には先ほど吹き飛ばされたらしいジョイルさん。さっきはごめんなさい。


「まずは…元気でなによりだ。ロカが町を出ているとは知らなかったぞ」

「そうね、いつから王都に来てたの?」

「町を出たつもりは無いだよ。アルメッテ様から任務を受けて実行中なだけだべ。出てきたのは…半年前くらいになるだかな」


 結構経ちましたね。

 そろそろホームシックになりそうです。帰ってもふりたい。

 そのためにも任務を遂行しましょう。


「想像は出来とると思うだが、二人を連れ戻すのが任務だべ。アルメッテに帰ってくんろ。子供できたんたべ?」


 私の仕事や森の現状をかいつまんで話した。

 お二人が戻らないと主に私が被害をこうむるので、帰って皆を説得してきてください。

 それに子供を育てるなら傭兵やフィン王国では問題があります。

 どうせ、ここはもうすぐ戦乱が吹き荒れるのですから。


「おい、戦乱て何の話だ」


 ランドルト様の後ろ辺りにいた傭兵の方に、そう聞かれました。

 はて?

 帝国の話しはまだ知らないのですか。

 ランドルト様たちは神聖王国経由だったため、帝国国境からの情報のほうが早かったのですかね。


「傭兵部隊が帝国から帰ったあとに、帝国が魔王軍に負けたべ。神聖王国が魔王側についたべな、次に襲われるのはここだっつー話しだべな」

「はぁ!?」


 だからアルメッテに二人で帰ったほうがいいんですよ。

 と、言っているのです。



 ついでにジョエルさん連れてってね。


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