三十二話
あんだけ盛り上がりを見せた皆さんがだんまりになってしまいました。
どうも私は失敗したようです。少々エンターテイメント性に欠ける戦い方だったかもしれません。
「ランディ!救護の人を呼んでほしいだ。やり直しを要求するべ」
「お、おう…いや待て勝ったのになんでやり直すんだよ!」
「もうちっと魅せる戦いばせなギャラリーが納得しないだよ」
「その必要は無い。ロカ・アルメッテ 見事…?見事な戦いだった」
隊長とフェリクスさんと救護さん二人に止められてしまいました。
毎度ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
大きい救護さん(二人ともフードローブを深くかぶっているので大きさ以外に見分けつきません)は気絶している取り巻き二人の様子を見に行きました。一応確認してくれるのかな。
「しかし、ロカ。ボッシュに盾が当たる前に二人が吹き飛んだようだが…あれは何をやったのだ?」
隊長は私が影になる位置にいましたからうまく見えなかったのでしょうか。いえ、そもそも照明があるとはいえ夜ですから周りの方も見えてなくて盛り上がりに欠けたのかもしれません。
「魔力の揺らぎを感じましたので魔術をお使いでしたよね?」
こちらは小さい救護さん。女性のようです。
魔力を揺らぎて感じるとはゴブリンのようなかたですね。ちなみに私は耳にキーンとする感じです。
「石礫の魔術だべ。気絶させるには便利だべな」
上に指を向けて軽く石を撃ち出すと、1メルくらい上がってポテっと落ちました。
これの速射は魔術を使う相手には効果あります。邪魔できるので牽制にもなるんですよ。連発にすればコボルトにだってかわせません。
「無詠唱術も使えるのか…」
「素晴らしいですわ」
無詠唱ってなんですか。
そういえば私こちらで魔術を見たことないのですが、違いがるのでしょうか。魔法を使うのに何か言う必要があるのですかね?
魔術に必要なのは頭で使う魔術を明確に描くことです。
アルメッテの魔術の覚え方は、丸太の杭に両手両足を縛られた状態で周りから魔術を乱発されるというものでした。
顔の真横ギリギリに石礫や火の玉がガンガン飛んでくるのを見て覚えるのです。
たまに当たる事もありましたが、当たった時は色々出ました。ナニがとは言えません。乙女ですから。
おかげで自分が使用するものがどのようなものかは嫌というほど明確に覚えました。
そんな感じで見て覚えるわけではなく、言葉で唱えるということはイメージを頭に描くために、考えて口で言う事でそのイメージを明確にするとかかな。
でも、口でいちいち言わなきゃならないとなると、戦場じゃ使えないんじゃないでしょうか。
『…爆炎てになる炎パワーの火および私のパワー風の…』
そうそうこんな風に口で言うと目立ちますし。不意打ちで使えません。
ん?
誰が…と思ったら、ボッシュさん起き上がってますね。
彼方は負けたので沙汰を下すまで寝ていてほしかったですよ。
でも起きて早々に何やらわけのわからない事を言っていますね。打ち所悪かったのかもしれません。
『…喰らい自己報酬の仇なす人々地獄…』
が、耳にキーンとした感じが来ましたから魔術を使うところなんでしょうね。
そしてあれが詠唱というやつですか。此方に手を向けて目を瞑り先ほどのさっぱりわからない事をブツブツ言ってます。
隙だらけですね。
当然そんな隙を見逃すはずもなく…ボッシュさんは魔術を完成させる前に大きな救護さんに後ろから殴られました。
「やめんか愚か者が!貴様はどこまでアレニウス名を落せば気が済むのだ!」
「ち…父上」
大きい救護さんはボッシュさんのお父さんでしたか…あれ?それって侯爵様ってこと?
なんでこんなところにいんの?
魔術詠唱の作成協力:エキサイトさん




