三十一話
食べながら話すのもはしたないのでパンは食べてしまおう。
もぐもぐごっくん。
「んで?今からするだか」
「また卑怯な不意打ちをされては適わんからな。夜の8の時に訓練場へ来い」
「8の時だな」
それだけ言うと3人で去っていきました。
ご飯食べないのでしょうかね。
さて…途中でランディが激昂しかけましたがなんとか押さえ込みました。こちらのほうが個人的に大変だったんですけど、なんか今でも睨まれてるし。
「そったら睨まんでもええべ。ランディまで巻き込まれる必要ないだよ」
「…策でもあるのか。手伝いは?」
策はあるような無いような。
手伝いか…
「私が勝ったとして素直に認めるだかな。あの3人」
「無いな。勝ったらさらにしつこくなるだけだ」
「それはいやだな。暑苦しい」
「立会人が居ればいいのではないか」
今度来たのはフェリクスさんでした。
立会い人か。でもそれがなんで?
「第三者が居れば結果を否定はできん。だがそれは…」
「ロカにもいえることだ」
「なら勝てばいいだな」
魔術の手加減は山で覚えましたので大丈夫でしょう。
◆
「で、なんでこーなっただ?」
「立会人は多いほうがいいだろう」
だからってクラスの全員を連れてくるとか。
ランディは無駄に行動力ありますね。
フェリクスさんは来てないようですけど…あ、兵舎横に居ましたーってハーケン隊長もいた。
フェリクスさんとハーケン隊長と見たこと無い二人。ここの関係者でしょうか。
でもなんで隊長が?
「フェリクスが話しを通してな。実戦訓練ってことにしてもらったんだよ。これで最悪の事態は避けれる」
ああ、救護の方でしたか。
これなら万が一何か間違いがあっても間に合うかもしれません。何がとは言いませんが。
「で、こっちは特に準備することもないだが、そっちももういいだか?」
「準備するものなどない。観客も多いようだしな早く無様に負けてみせろ」
剣と盾装備の二人組みと杖を持ったボッシュさん。3人そろって支給品と違う煌びやかな装備をしてお待ちしております。いつ取りに行ったのやら。
ちなみに何故3人そろっているかといえば…
「我々と戦えと言っただろう?条件を飲んだのは奴だ」
と、言われたからです。これには私もニガ笑い。
それで納得できるならこちらに文句もないですけど、こういう場合もう少しカッコつけようとか思わないのかな。
「つきなみではあるが、コインの落ちた合図で始める」
相対したところでランディがコインを上に弾きました。コインなんて普段目にしないので、なんとなく目で追ってしまいます。
ーーキンーー
開始の合図直後に借りた剣と盾を捨て魔術を撃ちます。実験の通りにヘソの上あたりに向けて少し大きめの石礫を前衛の取り巻き組に発射。
鎧を貫通しなければ死ぬ事はないでしょう。
ブリキバケツを蹴っ飛ばしたような音が続いて取り巻きが3メルほど飛びました。実験通りあれなら死にません。
『Sweet dreames…なんてね』
落ちる盾に足を掛けてボッシュさんに向けて蹴り飛ばし、自分は背中を押すように空圧の魔術を使って一気に近寄…
「ぐぁっ!」
「うわっとっとっとと!」
…ボッシュさんが盾をかわそうとした隙に一撃を入れるつもりが、顔面に直撃して倒れてしまいました。これが私の隙を伺うためのフリだとするなら強敵です。
なんですが…
「起きてこないだな」
3人とも完全にノビてしまいました。
「ランディ 勝っただよ」
「お、おう」




