二十九話
あれから一月経ちました。
半月あたりで4人ほどご実家の都合で帰られた方がいらっしゃいました。残念です。
「半分は一年を越えずにいなくなるさ。そういう予定になっている」
ランディは何か知っているような口ぶりでしたが、なんなんでしょう。
貴族の方でご実家の都合と聞くと一大事に聞こえるのですが、それで半数がいなくなるとなると…流行病でお世継ぎが亡くなっているとかなんですかね。
「ロカはエネルギーの塊のようだから気にならないかもしれんが、今の状況は俺達でも結構辛いものがある。ボンボンにゃ長く耐えられまい」
今の状況…って普段通り走っているだけですよ。
ああ、2週目から朝走るようになりましたね。朝起きるのが辛くて耐えられないのでしょうか。
私も冬の朝なら起きるのが辛いですが。
「たまに寒くて起きるのは辛いとそのまま二度と起きない人も居ただな。HAHAHA」
「ダークすぎて笑えねえよ。怖いな田舎」
冗談はさておき、最近は皆さん走るのに慣れてきたようで先頭集団の人数が10人くらいになりました。
その殆どはランディのような騎士爵の人たちや軍関係の方達で、最初からそこそこ鍛えられていた人達らしいです。
ですが、ほかの男爵以上の方達ではそもそも走ることすらまともにしないとか。
運動不足に音を上げたってことですね。
「はっ…はっ…そ、それで尋ね人の捜索結果はどうよ」
「一応大まかな場所はつかめただ…コリン、無理に着いてきても良いことないだよ」
「ろ、ロカに…できるなら…俺にだって…」
「各々自分のペースで走りきることが重要だべ。ええと、そんでアインの話しだったな」
話しをするのなら少しペースを落としてあげましょう。
アインことランドルト様の足取りは先週につかめました。神聖王国経由で帝国に向かった事がわかったのですが、そこから先は今のところ不明です。有名な傭兵団なので帝国で雇われて魔王軍と戦っているという話しでした。
「隻腕のアインか…我が国で騎士爵にて召抱えるという話しも聞いたことがある。新規でかつ軍人としてハンデがある人間であるというのに異例の話であったな」
「騎士だか…それは考え物だ。戦闘はともかく戦術や戦略に目があった記憶ないべ」
「それでも今を見るに兵団を率いる統率力はあるってことだ。それだけで利はあったはずだ」
どちらにせよカイリーアさんの件があったから召抱えるのは不可能だったでしょう。
まあ、居場所がわかれば後は手紙か直接会ってお二人を帰すだけ。半年経たずに依頼達成できそうですね。
これで私も大手を振ってクロービスのお、奥さんになれるというものです。
「…おまえら随分余裕だな。食事抜きであと2刻ほど走らせてやろうか?」
「ふははは たいちょー 何ならあと4刻走り続けてみせましょかー」
「「「ヤメテ!」」」




